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トヨペット・コロナマークⅡ HT(1968)ハイソサエティー・コロナ【週刊モーターファン ・アーカイブ】

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コロナのテーマを持ちながら、より柔らかい面構成。ひとまわり大きなボディを持つのが、マークⅡ。ビジネスライクなコロナに対して、よりラグジュアリーな雰囲気が与えられている。

クラウンとコロナの間を埋める車種として登場したコロナマークⅡ。コロナが持つファミリーカーのイメージに上質感を加え、サイズアップを図りたいユーザーの間で人気を得た。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●渡辺 陽一郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

直線基調なスタイリングに豊かな面を絶妙に合わせる。ハードトップとしては高めの全高など室内寸法を意識しながらも、造形のマジックでスレンダーに見せている。

 60年代の後半になると、クラウンとコロナは3代目に発展。66年には初代カローラも登場して、トヨタは品ぞろえを充実させる段階に入っていた。

 特に当時はモータリゼーションの真っ只中。今とは逆に大きなクルマに代替えするユーザーが多く、コロナとクラウンの間に位置する車種が求められていた。クラウンは、法人向けのセンチュリーを除けば実質的にトヨタの最上級セダン。勤務する会社で重役が愛用していることも多く、敷居が高い。コロナのユーザーとしては、中間的な車種を求めたのは自然な流れだったろう。

 そこで「コロナ」の車名を冠した上で、マークⅡが投入された。

 ボディタイプはセダンと2ドアハードトップ、バン&ワゴン、ピックアップと多彩。双方ともに全長は4295mm、全輻は1610mm(1.9ℓモデル)。当時のコロナに比べると185mm長く、60mm幅広い。一方、クラウンのセダンに比べると370mm短く、80mm狭い。コロナとクラウンの間を巧みに突いたサイズであった。

ステアリングは肉抜きの施された、スポーティなスポークを持つステアリングが装備される。
左に8000rpmまで刻まれたタコメーターを、 190km/hまでのスピードメーターを右側に 配する。サイドブレーキはステッキ式。

 エンジン排気量も同様だ。コロナはスポーティグレードに1.6ℓも設定したが、主力は1.5ℓ。コロナマークⅡは直列4気筒の1.6ℓと1.9ℓを用意する。クラウンの2ℓまで踏み込まないところが絶妙だ。

 動力性能は、1.6ℓの最高出力は85ps(5500rpm)で、最大トルクは12.5kgm(3800rpm)。これが1.9ℓになると、最高出力は15ps増えて100ps(5500rpm)。最大トルクは2.5kgm高まって15kgm(3600rpm)になる。当時は馬力の数値に対する関心が高く、「100ps」は魅力だった。コロナの1.5ℓに比べると30psの上乗せだ。

 クルマ好きに注目されたのは、2ドアハードトップに設定されたSL。SU型ツインキャブレターの装着で、最高出力を110ps(6000rpm)、最大トルクを15.5kgm(4000rpm)まで高めた。

 外観はコロナの面影を残しながら、フロントマスクにメッキパーツを採用するなど、質感の向上を図っている。内装では横長のメーターが見やすく、コロナに比べると立体的な形状に仕上げた。

 68年は高度経済成長期の最中に当たり、同じ年には36階建ての霞ケ関ビルディングがオープンして話題になっている。初代コロナマークIIは、日本の生活が急速に豊かになっていく時代の象徴だったと思う。

Bピラーレスのハードトップボディは、とりわけ開放感が十分。またこのスタイリッシュなマークIlでも、三角窓が採用されているのに注目。
ダッシュボードの上面を手前に延長することで、 メーターパネルヘの直射日光の侵入を抑えメーターの見やすさを確保。

コロナマークⅡのスベシャルモデルGSS

 1969年にはマ ークIIを運命づけたともいえるモデルが登場している。1.9ℓエンジンをDOHC化して搭載したGSSである。三国製ソレックスを2連装で最高出力140ps/6400rpm、最大トルク17.0kgm/5200rpmを発揮。5速トランスミッションを介し、公称値では0-400m加速は16.6秒をマ ーク。さらに最高速度は200km/hに達する。 ノンスリップデフも装備し、オリジナルの状態からワインディングでの走りのポテンシャルも高めている。

SPECIFICATIONS(Corona Mark Ⅱ 1900 Hardtop SL 1968)

〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4295×1610×1395mm
ホイールベース:2510mm
トレッド前/後:1325/1320mm
車両重量:1020kg
乗車定員:5人
〈エンジン〉
直列4気筒OHC
総排気量:1858
圧縮比:10.0
最高出力:110ps/6000rpm
最大トルク:15.5kgm/4000rpm
〈トランスミッション〉
4MT
〈駆動方式〉
RWD
〈ステアリング型式〉
ボールナット式
〈サスペンション〉
前・ダブルウイッシュボーン式、後・リジット式
〈ブレーキ〉
前・ティスク、後・リーティングトレーリンク式ドラム
〈タイヤサイズ〉
6.45-13-4PR
〈最高速度〉
175km/h

モーターファン別冊 その他のシリーズ 60年代国産車のすべて

「00年代国産車のすべて」「90年代国産車のすべて」「80年代国産車のすべて」「70年代国産車のすべて」と10年刻みで製作してきた雑誌ですが、こちらは60年代版。60年代とは日本車がオリジナルに目覚めた時代といってもいいでしょう。トヨタ2000GTを頂点として、いすゞ117クーペや日産スカイラインGT-R、日野コンテッサ、日産ブルーバード410,510そして2代目、3代目コロナと、様々な名が生まれたのも60年代です。これらのクルマを60年代のモーターファン誌の写真と記事をベースとして紹介しています。知らなかった事実に出会えるかもしれません。

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