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いすゞ・117クーペ(1968)クルマというより「作品」【週刊モーターファン ・アーカイブ】

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117クーペにいすゞ初のDOHCを搭載。加速の鋭さと同時に、粘り強い程回転トルクが注目となった。

日本車の歴史の中でも際立って美しいクルマとして賞賛されているのが117クーペ。
微妙な陰影を生み出すボディサイドなど、緻密な造り込みが多くのファンを生み出した。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●渡辺 陽一郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

コンパクトなリヤセクションながら、ノッチバックスタイルによって荷室容量を確保している。ルーフエンドも比較的高いわりに、それを感じさせない。

 今では乗用車生産から撤退したいすゞだが、60年代当時も主力の商品はトラックではあった。しかしこれが乗用車を造る上で独特の持ち味を生み出し、販売台数は多くないものの、上質なクルマが見受けられる。市場の要求よりも、開発者の理想でクルマを造っているような面があった。

 このようないすゞの乗用車を象徴する存在が、68年に登場した117クーペだろう。4灯式ヘッドランプを備えたフロントマスクは比較的オーソドックスだが、ボディパネルは美しい。フロントフェンダーからドアパネル、リヤフェンダーに至るウエストラインが絶妙なカーブを描く。豊かなボリュームを持たせたボディの面構成も緻密な仕上がりだ。

前後のピラー(天井を支えるボディ中央の支柱)は細くデザインされ、リヤウインドウも曲面構成で両側に回り込む。2ドアクーペでありながら、車内はとても開放的だった。

ウッドのパネルに複数のメーターを配する、クラシカルなインパネまわり。未来的なエクステリアに、本物としての説得力を配した。

 内装はもちろん上質。インパネに使われるウッドは楠で、ステアリングホイールやシフトノブもウッド。ィンパネの中央に装着される電圧計や袖圧計は、ドライバーに向けて角度を付けて並ぶ。操作性や視認性にも配慮されていた。

 フロントシートはバケット風のデザイン。注目すべきはリヤシートで、左右に分割された2人掛けだ。しかも左右独立式の簡易なリクライニング機能も備わり、2ドアクーペでありながら4名乗車時の居住性にも配慮されていた。

 モノコック構造のボディを持ち、シャシーの基本部分は同じ68年に登場した4ドアセダンのフローリアンと共通化されている。サスペンションはフロント側がダブルウイッシュボーン、リヤ側はリーフリジッド。2500mmのホイールベースなども、フローリアンと同じだ。

センターコンソールの高い、低いシートポジション。シフトレバーはほぼ肘の高さで、スポーティなシフトスタイルを取ることができる。
いすゞ初となるDOHCエンジン。これ以降、ベレットGTRに搭載されることになる。ロングノーズによりエンジン搭載位置を後退させている。

 ただしエンジンは異なり、いすゞとしては最初のツインカムとなる1.6ℓを積む。三国製のソレックスツインキャブレターを備え、最高出力は120ps(6400rpm)、最大トルクは14.5kgm(5000rpm)を発生した。スポーティクーペに相応しい動力性能を発揮し、69年には同じエンジンがベレットGTRにも搭載されている。

 東京地区の店頭売り渡し価格は172万円。69年に発売されたスカイライン2000GT-Rより22万円高く、ユーザーの数も限られた。それでも稀に都市部で見かけられ、ほかの日本車とは、たたずまいが違うことを実感したものだ。

ショーモデル"117スポルト"

 117クーペの発表に先行して、1966年のジュネーブショーに出品されたプロトタイプ。当時ギアに在籍していたG・ジウジアーロの作品。細部で異なるが、ほぼ量産に近いスタイルだ。比較的大きめのキャビンにもかかわらず、軽快に感じさせるのは、各ピラーが細くメッキ化されていることも効果があるようだ。生産車とのドアハンドルの違いに注目。

SPECIFICATIONS(Crown Hardtop SL 1968)

〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4280×1600×1320mm
ホイールベース:2500mm
トレッド前/後:1325/1310mm
車両重量:1050kg
乗車定員:4人
〈エンジン〉
直列4気筒DOHC
総排気量:1584
圧縮比:10.3
最高出力:120ps/6400rpm
最大トルク:14.5kgm/5000rpm
〈トランスミッション〉
4MT
〈駆動方式〉
RWD
〈ステアリング型式〉
ボールナット式
〈サスペンション〉
前・ダブルウイッシュボーン式、後・リジッド式
〈ブレーキ〉
前・ティスク、後・リーディングトレーリング式ドラム
〈タイヤサイズ〉
6.95H14-4
〈価格・当時〉
172.0万円(東京地区)

モーターファン別冊 その他のシリーズ 60年代国産車のすべて

「00年代国産車のすべて」「90年代国産車のすべて」「80年代国産車のすべて」「70年代国産車のすべて」と10年刻みで製作してきた雑誌ですが、こちらは60年代版。60年代とは日本車がオリジナルに目覚めた時代といってもいいでしょう。トヨタ2000GTを頂点として、いすゞ117クーペや日産スカイラインGT-R、日野コンテッサ、日産ブルーバード410,510そして2代目、3代目コロナと、様々な名が生まれたのも60年代です。これらのクルマを60年代のモーターファン誌の写真と記事をベースとして紹介しています。知らなかった事実に出会えるかもしれません。

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