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陸上自衛隊:世界的にも珍しい『爆索展張式・投射型』地雷原処理システム「92式地雷原処理車」

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92式地雷原処理車のロケット発射。富士総合火力演習での展示のようす。

陸上自衛隊にはロケットを用いる地雷原処理車がある。92式地雷原処理車で爆索を展張する投射型の処理方法は世界的には珍しい。どんなクルマだろうか?
TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

2013年の自衛隊観閲式、朝霞訓練場に展示された92式地雷原処理車。車体上部に立ち上がっているのがロケットを内装したキャニスター。

92式地雷原処理車は、1988年(昭和63年)から開発を始め、1992年(平成4年)に制式化された。車体上部のキャニスターに大型の92式地雷原処理用ロケット弾を内装、これを発射し、地雷原に着弾させて起爆させる。地雷を爆破処理して車両用の通路を作るために使用する装備だ。陸上自衛隊の『戦闘工兵』である施設科を中心に、機甲科戦車連隊・本部管理中隊などに配備される。地雷処理を意味する「マインスイーパー」を基に、MCVなどと略されたり、単に「キューニー式」「処理車」などと呼び交わされているようだ。

車体は73式牽引車・87式砲測弾薬車をベースにする。砲測弾薬車というのは装甲を施されたキャタピラ式の弾薬輸送車のこと。弾薬庫や集積地から野砲の射撃地まで砲弾や射撃のための装薬を運ぶ車両だ。これの車体と脚周りを使い、上部に連装のロケット弾発射機を搭載する。

同じく富士総合火力演習での投射シーン。手前の74式戦車の奥方に位置した92式地雷原処理車がロケットを発射した瞬間。
ロケットが牽引する爆索がキャニスターへと伸びているのがわかる。

発射されるロケット弾は、長さ500mほどの特殊な索(ロープ)が接続されており、これを牽引しながら飛翔する。特殊索には全体の複数箇所に爆薬がセットされている。ロケットはこの爆薬付き特殊索(爆索)を引き伸ばしながら飛んでゆくわけだ。

先端のロケットが着弾(落下、着地)すると、92式地雷原処理車の前方には地雷処理用の爆薬の道が一直線に伸びていることになる。これに点火・爆発させれば、ロープの到達した範囲の地雷を誘爆させて爆破処理を行なうことができる。主に広範囲な地雷原に戦車などの車両群を通行させる用途に向いている。地雷原を一気に片付ける手法だが、一方で、林や森など木が密生する場所や電柱が林立する場所では、爆策がこうした障害物に引っ掛かり、爆薬が地面に接地できず、地雷を爆破処理できなくなるなどの欠点もあるという。

空中を飛翔したロケットと爆索が落下に入った。ロープの要所に爆薬が見えている。
弾着後に起爆させる。地雷原の中に幅約5m、長さ約500mの安全な通路ができあがる。

爆索を牽引し、弾着地の地雷を処理する「爆索展張式・投射型」の地雷原処理装置が配備されたのは本車が初めてではない。陸自では92式より先に、小型の70式地雷原爆破装置などが部隊配備されていた。こうした投射型の処理システムを陸自は長年研究し、発展させてきたといえる。

92式地雷原処理車のようなロケットで爆索を展張する投射型の処理方法は世界的には珍しい。一般に、車両に機器を積んで行なう地雷処理の場合、戦車などの車首にローラー様の器具を取り付けて処理する方法が軍民共通で一般的だといえる。ローラーとは、地均しを行なうロードローラーが備える円柱形のもので、これに鎖を幾つも取り付けて回転させ、地雷の埋まった地面を叩いたり、圧迫させることで起爆・誘爆させて爆破処理する方法だ。陸自でも90式戦車などにこうした地雷処理用装置(92式地雷原処理ローラ)を装備している。

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