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【DS3クロスバック試乗】フランスのラグジュアリーを最も身近に体感できるコンパクトSUV

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2014年に分社化されたDSオートモビル、日本のラインナップは二車種。フラッグシップのDS7クロスバックに続いて日本に上陸したのが、このDS3クロスバックだ。BセグメントのコンパクトSUV、つまりトヨタ・ヤリスクロスなど日本車にもライバルが多いカテゴリーだが、DS3クロスバックはフランス料理のような濃厚な味わいが楽しめる。

TEXT●安藤眞(ANDO Makoto)

全長4120mmの5ドアSUV。全高1550mmで立体駐車場にも対応するのがうれしい

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DS3クロスバックは、DSオートモビル2番目のモデルとして2019年にデビュー。3ドアハッチバックだったDS3の事実上の後継機種となる。

ボディタイプは5ドアSUVへと変貌を遂げたが、ピラー類をブラックアウトして屋根が宙に浮かんだように見える“フローティングルーフ”や、Bピラーに向かって後席ドアのペイント面を立ち上げた“シャークフィン”デザインは継承されている。

DS3クロスバックのフロントマスクは、DSウイングと呼ばれるメッキのデコレーションが特徴。
ボディカラーは8色、ルーフカラーは3色。それぞれを好みで組み合わせることができる。

細部のデザインはDSオートモビルの文法に則り、フランスの伝統芸術をモチーフにしたもの。特徴的なヘッドランプは、外側3灯がロービーム、内側がハイビーム。ハイビームは片側15個のLEDが格子状に配置されており、これを個別に制御するアダプティブ方式が採用される。こうした最新技術をグループPSAの中で真っ先に導入するのも、DSオートモビルの役割だという。

ボディサイズは全長4120mm×全幅1790mm×全高1550mm。国産車では、トヨタ・ヤリスクロスとだいたい同じ大きさだが、立体駐車場の使用頻度が多い都市生活者なら、全高が1590mmあるヤリスクロスよりDS3クロスバックのほうが安心だ。

DS3クロスバックのボディサイズは全長4120mm×全幅1790mm×全高1550mm。
ヘッドライトはLED。前走車などの状況に応じて照射範囲をコントロールしてくれる。
「シャークフィン」と呼ばれるBピラーの造形がサイドビューの特徴だ。

リモコンキーを持ってクルマに近づくと、普段はドアパネルとツライチになっているドアハンドルが、ひょいとせり出す。こうした「動きで魅せる」のも、DSのコンセプトだそうで、DS7クロスバックはドアロックを解除すると、ヘッドランプが紫の光を放ちながら、中にある3つのレンズがくるりと回転するらしい(日中だったので気付かなかった)。

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試乗車のグレードはGrand Chic(グランシック)で、“OPERA”という内装オプション(30万円也)が付いていた。シートだけでなくダッシュボードにもナッパレザーが貼られた贅沢な仕様で、表面にはユーズド風の加工が施されているのが新鮮。ツルツルでないから、運転中に体が滑ることもない。

ダッシュボードの中央には、スイッチやエアコン吹き出し口をダイヤモンド型にレイアウト。上部には7インチのタッチディスプレイが備わる。

センタークラスターのデザインは、ルーブル美術館にあるガラスのピラミッドをモチーフにしたものだそうで、スイッチも空調のレジスターも菱形。ここに並べられたスイッチはすべて静電容量式なのだが、菱形の区切り目を指でなぞれば、ブラインド操作も行いやすい。

その下にあるエンジンスタートスイッチを押すと、1.2L直列3気筒ターボエンジンに火が入る。3気筒特有の振動はよく抑えられており、4気筒と言われても信じてしまいそうだ。

DS3クロスバックのエンジンは、1.2L3気筒ターボ。インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーで4年連続最優秀賞に選ばれたという評価の高いエンジンだ。最高出力は130ps、最大トルクは230Nmを発揮。

アクセルをじわっと踏んで発進すると、最初に感じられるのは「クルマが軽いな」ということ。車重は1280kgとサイズ相応なのだが、エンジンは無過給領域からしっかりトルクが出ており、ターボラグも顕在化しないようにトランスミッションが制御されるため、加速にストレスはまったく感じない。アイシンAW製の8速ATはシフトショックがほとんどなく、いつ変速したのかすら気付かせないほど滑らかだ。

トランスミッションはアイシンAW製の8速AT。

首都高速に入り、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を試してみる。車線内走行を支援するレーンポジショニングアシストも付いている。グループPSAのそれは独特で、車線の中央を走るようにステアリングを制御するのではなく、ドライバーが選んだ位置を維持するように制御が行われる。大型トラックが連なっている横を通る際など、少し離れるようにドライバーが操舵すると、その位置が維持されるので安心感が高い。

ただしステアリングコラムから左下向きに伸びている操作スイッチは、表示部のほとんどがステアリングホイールに隠れてしまうので、操作方法を覚えてから使わないと、ちょっと戸惑うことになる。

操舵制御はそこそこのカーブでも追従してくれ、横浜から大黒ふ頭に向かうルートなら、制御任せで走り続けられる(ハンドルに手を添えている必要はある)。ただしカーブに合わせた減速は行われず、先行車がいなければ、ACCのセット速度のままコーナに入っていく。「どこまで自動で制御してくれるのか」は、きちんと把握しておいたほうがよい。

感心したのが、ドライブフィール全般。見た目のアヴァンギャルドさとは裏腹に、操舵感にはまったくクセがない。鼻につくスポーティさはないし、ストレスになるような応答遅れもなく、意図した通りにクルマが動く。旋回時のロールはヨー応答とよくシンクロしており、違和感も不安感もまったく無い。

タイヤはミシュラン・プライマシー4の215/55R18サイズを前後220kPaで使用するため、ジョイント段差でも空気量でショックを緩和してくれ、乗り心地も絶妙。万事そつが無いという点では、Bセグメント車全体でも屈指の仕上がりといえる。

一方で、後席の居住性はギリギリといったところ。身長181cmの僕が運転席を合わせた後ろに僕が乗ると、ヒザも頭上も隙間はゼロ。乗降時の足の動線もギリギリだ。大柄な人が乗る可能性があるなら、後席のチェックは必ずしておきたい。

後席の空間はそこそこ。高身長だと辛いかも。
時計のベルトのようなシート表皮に注目。

試乗車の価格はオプション込みで約493万円。値段だけ考えるとほかにもいろいろ選択肢はありそうだが、クルマとしての完成度と、フランス流ラグジュアリーが味わえるという点では、Bセグメントで唯一無二。支払う価値は十分にある。

DS3 クロスバック GRAND CHIC 諸元表

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
ホイールベース:2560mm
車両重量:1270kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.3m
燃料タンク容量:44L(無鉛プレミアム)

■エンジン
形式:水冷直列3気筒DOHCターボ
排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0×90.5mm
圧縮比:10.5
最高出力:96kW(130ps)/5500rpm
最大トルク:230Nm/1750rpm
燃料供給方式:電子制御式燃料噴射

■駆動系
トランスミッション:8速AT

■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:215/55R18

■価格
426万円

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