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火曜カーデザイン特集:これはどう見てもルノー5だが… ルノー5のプロトタイプ発表 EV化を宣言!

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なんと昨年まで、プジョーのデザイン・ディレクターだったジル・ヴィダル氏がルノー5プロトタイプの傍に! コンパクトなサイズ感も悪くないかも。そしてライトアップしても使える、新しいエンブレムも誇らしい。

ルノーは2021年1月14日、新時代の計画を示すルノリューション(Renalution)の発表会において、2025年までに14車種を発表することを公表した。またそのうち7台はEVで、7台はC/Dセグメントになるという。さらに新型車すべてがEVもしくはハイブリッド車を設定するという。そしてその発表会の中で、なんとEVとなるルノー5プロトタイプがお披露目されたのである。

ルノーの急速な進化がここから始まる

renaulution = renault & revolution, evolution....?

ルノーのルノリューションなる取り組みは、今後のルノーの大きな方向性を示したものとなった。
”ルノーは技術、サービス、クリーンエネルギーのブランドとなることで、自動車業界に現代性をもたらす。ルノーは、2025年までに欧州で最もグリーンなミックスを提供し、電動化と水素ソリューションを通じたエネルギー移行におけるリーダーシップを維持する。技術面では、「ソフトウェア」を活用する” と宣言し、自動車企業の新たな指針に舵を切る方針を示した。注目されるのは、水素への投資を行なうということだ。
 また2022年には、Googleビルトインを搭載した新しいインフォテインメントシステム「マイリンク」を導入する予定で、ルノーは、Googleのサービスを大衆車に導入した最初の自動車メーカーになるという。

衝撃的アピアランスは5(サンク)以外の何物でもないが…

フルEVの5ドアハッチバックとして、再登場となる5=サンク。初代5の合理的な3穴ホイールをイメージした、ホイールデザインを採用。

”過去の栄光に堕ちることなく、それと再接続し、インスピレーションを引き出して、栄光の時代の精神を見出す” いわば、温故知新の精神が5を再構築する狙いであるという。
 ルノーにとって5は、現代のルノーを形作ったマイルストーンであると言っていい存在で、1972年登場の初代、そして84年登場の2代目ともに、ルノーを牽引してきた小さな巨人だ。
 その合理的パッケージとともに、初代では同年登場のプジョー104とはその洗練の度合は比べるべくもないほど突出していた。何よりも世界初の樹脂バンパーを採用したことは、軽量化の観点ばかりでなくデザインの自由度の高さにも貢献した。
 初代ゴルフがその2年後の登場であったことからも、大衆車というカテゴリーにあってデザインはともかく、商品性として革命的であったことは紛れまもない事実だ。
 やがて、5はクリオ(日本名:ルーテシア)へと進化、成長していくことになるが、大衆へ向けた変わらないポリシーは、初代トゥインゴへ受け継がれた、とも捉えることができるだろう。

上がルノー5(1978年撮影)、下がルノー5アルピーヌ。(1979年撮影)FFながらトランスミッションが最前にくるレイアウトが独特のプロポーションを示す。また、車幅ほどある長いトーションビームをバネに持つトレーリングアーム式リヤサスによって、左右のホイールベースが異なるのも特徴。

 古のルノーファンにとっては、震えるほど歴史的なネーミングの復活であるだが、プロトタイプはその特徴を一応はうまく表現している。単にリバイバルでははく現代の登場への必然性を感じさせるところに落とし込んでいる点は、さすがと言えそうだ。
 初代5らしさのプロポーションとしてのポイントは、短いボンネットと長いホイールベース、そして前傾したリヤハッチ。若干前のめりのスタンスが、前輪駆動のアクティビティを表現していたようにも思う。もちろんこれは意図的なものではなく、パッケージの必然だったのだろう。
 そして84年には2代目となったが、こちらはマルチェロ・ガンディーニの作品ながら初代の特徴を遺憾無く継承した傑作となった。それらの基本をうまく表現したのが、5プロトタイプだ。

5プロトタイプをじっくり見ると…

 そして5プロトタイプをじっくり見ていくと、しかし当時の5を知る者にとっては少しの違和感が生じることも否めなかった。

このところBセグメントなどのモデルの上質化はすまさじく、もはやその上のクラスが必要ないほどに仕立てられている。
果たしてこの5プロトタイプもその上質感をエクステリアにも表現している。どっしりとした安定感のある佇まいで、四隅に追いやったタイヤが、どの視点から見てもしっかりと踏ん張って見える。

そのためには、タイヤを支えるボディの表現としてしっかりと的確に張り出したフェンダーの造形や、サイドパネルとサイドシルあたりの構成もうまくバランスさせている。
 こうした構成が、現代的解釈による再生につながるのだろうが、それだけに違和感があるのも事実だ。もう一度初代5を見て欲しい。

ルノー5アルピーヌ。(1977年撮影)リヤフェンダーがハーフサイズともいうべき造形で、ややタイヤを隠す造形。

 オリジナルの5のもう一つの特徴は、独自の美意識とでもいうものだろうか。しかしこれが「洗練された機能」=「美」ではないところが伝統的なフランス流というべきか。当然のようにルノー4(キャトル)からの足跡を垣間見せながら、全く違うものへの生まれ変わり…みたいな進化を見せている。
 その中で4にはなかった、扱いやすさ、手軽さといったキーワードが印象づいている。当時はデザインが思った通りに形にできたのというのではなく、計画されたパッケージとデザイナーのエゴというか、感性が形として投影されている。

 そこで見えるのが、儚(はかな)さではないか。「他とは違うもの」に突き進んで生まれた形なのだが、ある意味、工業製品ではなく芸術の領域にある。しかし、かっこいいか? と問われれば、素直にかっこいいと思えるものではなかった。
それこそ2年後に登場する初代ゴルフのようなかっちりとした形に比べると、5の造形は
強い個性を持っているが、誰もが素直に理解できるものではなかった。

しかし、重要なことは乗るほどに、その個性と、利便性、乗り心地の良さがユーザーの心に沁みて、まるでペットのような離れがたい存在となっていくということだ。付き合いが深まるほど、振り返った時に見るその佇まいに、慈しむ気持ちが湧いてきたりする。守ってあげたい、大切にしてあげたい、気づかないうちにそういう存在になってしまう車だった。


 もちろん自動車メーカーとしては、信頼性の高いものにするのは当然だ。なので、儚さなどのキーワードは、製品として存在するはずもない。時代的に車はもはや人を守ってくれる強いものなのだろうが、5もまたそんな車に成長したのは必然だ。
しかし、それだけで本当にいいのかな? と、ちょっと思ってしまうのも、わかって欲しい。もうちょっと華奢な感じがあれば、それこそ、涙もの…だったのだけど。 

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