2ストロークエンジンが吠える! ハンドメイドのエアダムが迫力のマツダ・ポーターバン 【富士見自動車博覧会】
- 2021/05/11
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増田満
はるかな昔、軽自動車の排気量は360ccまでだったことをご記憶だろうか。この時代の軽自動車は「サブロク」と呼ばれ、マニアの間で親しまれている。小さなボディとエンジンながら健気に走る可愛らしいサブロクが、4月25日に長野県で開催された富士見自動車博覧会にも顔を見せていた。なかでもセンスよくカスタムされたポーターはが一際目立っていた。
ポーターは1968年に発売されたマツダの軽商用車で、トラックとバンが存在した。当初はキャロルと同じ4気筒エンジンを採用していたが、キャロル同様に重くて走らない。そこで1972年のマイナーチェンジでエンジンを2ストローク2気筒へ変更。すると活発な走りで人気になった。
とはいえ時代は白煙を吹く2ストロークよりクリーンな4ストロークエンジンが主流になりつつあったし、1973年からは排ガス規制が段階を経て厳しくなっていく。また1976年からは軽自動車規格が変更され550ccまでエンジンを拡大できたがマツダはこれに対応できず、軽自動車市場から一時撤退。ゆえにポーターの残存台数は極めて少ない。
でもこの愛らしい姿はいかがだろう。今見ても十分にキュートなスタイルは、とても魅力的ではないだろうか。ただし、このポーターバンはオーナーの手により大胆なまでのカスタムが施されている。ローダウンやワイドタイヤはカスタムの定番メニューだが、前後のホイールは純正をベースにリムを作り直した自作品。フロントのラジエターグリルとエアダムを自作したり、ヘッドライトも純正とよく似た別の汎用品に置き換えたり、フェンダーミラーやテールランプもセンスよく形を変えてあるのだ。
ここまでオーナーが自分で行ったと聞いて職業を聞けば納得。実はオーナーの井上美彦さんは板金塗装職人なんだとか。だからカスタムはお手の物のなのだろう。ただ、センス良くまとめられるかどうかは、やはりその人次第だ。
このポーターは6年ほど前に不動の状態で手に入れた。それを井上さんが自力で復活させたそうだが、エンジンはノーマルのまま。キャブレターや燃料ホース&タンクの見直しで再び息を吹き返したそうだ。またローダウンさせるためフロントのサスペンションは純正をベースに車高調へ作り替え、リジッド方式のリヤはリーフスプリングをストレートに加工させている。そのためエンジンルームから見えるフロントのアッパーマウントはピロになっているのだ。
そのエンジンルームには新車時のオリジナル塗装が残っているが、外装は井上さん自らオールペイントしている。極端に違う色とせず、純正色に合わせたボディカラーだが、実際には純正とちょっと違うそうだ。
ここまで大きくイメージを変えた外装だから、内装にも手を加えたい。ということでステアリングホイールやシフトノブ、サイドブレーキレバーは市販のものを使って純正から刷新している。
さらにすごいのがダッシュボード。純正は鉄板をボディ同色に塗装してあるだけだが、このポーターは上面に黒い表皮を貼り付け端にモールを装着。これで純正のプレスラインがわからないようにしてある。また独立したメーターパネルは純正だが、その表面にカーボンシールを貼って時代を感じさせないようにしつつ、その上へ大きなステッピングタコメーターを追加。なんともレーシーな仕上がりなのだ。
シートはリクライニングしないフルバケットタイプに変更してあるが、何かお気付きだろう。そうなのだ、本来のシートは今より30センチ近く手前になり、とても窮屈なポジション。それを嫌ってシートレールはそのままに取り付け位置を後ろへずらしてあるのだ。シートレールをずらすために製作したステーが露出するのを避けるため、足元へ自作したカーペットを追加してあるのだ。
ここまでシートを下げたのでリヤシートは使わず2シーター化してある。その後の荷室はカーペットやフェンダーに貼るカバーなどを自作してリフレッシュ。さりげなくBOSEのスピーカーをセットしてあったり、実にうまくまとまっているのだ。
サブロクたちはサイズが小さいからオーナー自ら手を加えて楽しむ例が多い。このポーターバンはその代表的なスタイルと言っていいだろう。
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