プジョーe-208 GT Line、東京で補助金をフルでもらえると208 GT Lineとほぼ同じ価格になる プジョーe-208 | 走りも価格もGood! いま日本で買えるもっともコストパフォーマンスの高いEVだ
- 2021/05/23
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MotorFan編集部 鈴木慎一
プジョーの電気自動車、e-208 GT Lineに試乗した。50kWhのバッテリーを積み、ほぼ300kmの航続距離を持つコンパクトEVのe-208。価格も400万円チョイから買えるから補助金を受ければかなり現実味のあるEVだ。果たしてe-208、1週間、使ってみた。
ガソリン車も含めて208/2008シリーズでベスト!
プジョーe-208の価格はエントリーのアリュールで403万2500円、上級のGTでも432万8000円だから、補助金を受ければ300万円台半ばで購入可能だ。試乗車は、「GT」に名称が変わる前の「GT Line」で車両本体価格は423万円だった。
筆者は、e-208を試乗する前に、e-2008を一週間ほどドライブさせていただいた。
EVのプジョーe-2008はフル充電で300km走れるか? ガソリン車の2008と価格差は20万円ちょっと。どっちを選ぶ?
プジョーのBセグ・コンパクトSUVの2008のEV版である「e-2008」を500kmドライブしてみた。50kWhのバッテリー容量を持つe-2008...
e-2008とe-208は、PSAのモジュラープラットフォーム、それも電気自動車用の『eCMP』を共用しているので、電池容量はどちらも50kWhだ。一充電航続距離は、なぜか日本のカタログには次世代自動車振興センターのCEV補助金算定基準でもあるJC08モードしか記載がない。e-208が403km、e-2008が385kmとなっている。ちなみに欧州のWLTPの数値は、e-208が339km、e-2008が331kmだ。
東京目黒・碑文谷のPSAジャパンでe-2008を返却して、e-208に乗り換えたとき、もちろんバッテリーはほぼフル充電状態で、航続可能距離は308kmと表示されていた。e-2008で経験済みだったから、「これなら300km走れるな」と考えた。
今回は、充電をテーマにするが、その前に、1週間生活をともにしたe-208の印象を記しておこう。
まず、乗り心地がいい。ホイールベースがe-2008より70mm短い(2610mmと2540mm)が、悪路や段差を乗り越えたときの突き上げや収まりはe-208の方がいいように感じた。首都高の舗装の継ぎ目もe-208は不快な振動なしに軽くいなしてくれる。最小回転半径はともに5.4mだが、全長が4095mm(e-2008は4305mm)と短いe-208の方が取り回し性能が高い。
相変わらずi-Cockpitに対する違和感は消えないし、極端に扁平なステアリングホイールもどうしても馴染めない。だが、e-2008よりもe-208の方が、ベターだった。どちらもステアリングの操作性が非常に軽くて、しかもセンター付近に遊びがあるのだが、ボディが小さいe-208の方がその軽さとクルマの大きさに乖離がなくて扱いやすかった。
ついでに言うと、3Dデジタルヘッドアップインストルメントパネルとプジョーが呼ぶ凝ったメーター(さまざまなモードがあって各種情報が表示できる)は、悪くないが、「こんな凝ったことできなくていいから、ヘッドアップディスプレイにして!」と感じた。
全高1465mmは、現在日本で買えるEVで、おそらくもっとも背が低いはず。多くのEVがバッテリー搭載などの条件を考えたSUVタイプのボディ形状になっているなか、e-208は、コンパクトは2ボックスHBであるのも好印象だ。ちなみに、SUVタイプではないが、日産リーフの全高は1560mm、ちょっとしたクロスオーバーよりも高い。
床に重いバッテリーを敷き詰めているので、e-208の車重は1.2ℓ直3ターボ搭載の208 GT Lineの1160kgに対して340kgも重い1500kg(試乗車はガラフルーフ装着で1510kg)。
ちなみに前後重量配分は
208 GT Line 車両重量:1160kg 前軸軸重750kg/後軸軸重410kg(65:35)
e-208 GT Line 車両重量:1510kg 前軸軸重850kg/後軸軸重660kg(56:44)
である。
重いけれど、最大トルク(e-208が260Nm、208が205Nm)を理論上走り出しで生み出せるe-208の方が力強い走りが愉しめる。そして、静かで滑らかだ。
走りは、208よりe-208の方が気持ちいい。
208/2008に関しては、コンベの208アリュール、208GT Line、SUV2008 GT Line、EVのe-208 GT Line、e-2008 アリュールにそれぞれ1週間程度試乗させていただいている。
個人的には、EV版に乗る前は
SUV2008 GT Line>208GT Line>208アリュール
という順番でSUV2008 GT Lineが気に入っていた。
今回、EV版の試乗させていただいて、
e-208 GT Line>SUV2008 GT Line>e-2008 アリュール>208GT Line>208アリュール
という順位に変わった。
その理由は、
・まずは走り
ガソリンターボの208と2008は、エンジンの仕様が異なっていて、208(最高出力100ps/最大トルク205Nm)は2008(最高出力130ps/最大トルク230Nm)よりアンダーパワーだが、e-208とe-2008のモーター出力は(最高出力136ps/最大トルク260Nm)で同じ。それでいてe-208の方が100kg軽いから、自ずと走りは軽快だ。
・次はデザインと取り回し性
デザインの好き嫌いはともかく、本来に現状のバッテリー性能を考えるとEVがもっとも得意とするのは、いわゆるシティコミューターとしての役割だ。e-208の後席は狭いし、ラゲッジルームも大きくない。だが、街中をすいすい走るという点で言えば、やはりコンパクトハッチバックというボディサイズ、形状は魅力的だ。
充電
・そして価格
グレード名が変わったGTになったe-208 GTの価格はe-208 GTが432万8000円だ。これをガソリンターボの208 GTと比べてみよう。
208 GTが303万8000円
e-208 GTが432万8000円
だが、ここに環境省の補助金が67万2000円)を受けると、実質365万6000円になる。
日産リーフ、Honda e、マツダMX-30EV、テスラModel3は補助金ありだといくらで買える?
日産リーフとテスラModel3に加えて、ホンダのHonda e、マツダMX-30EV MODEL、プジョーe-208/e-2008など、車両価格500万円以...
さらに、地方自治体の補助金があれば、価格差はもっと縮まる。たとえば、東京都の補助金60万円を受けると、e-208 GTの価格は305万6000円になる。
208 GTが303万8000円
e-208 GTが305万6000円
ということで、東京で買うならほぼ同じ値段になるのだ。
これはとても魅力的。「補助金アリで魅力的!」というのが、プジョーに限らずEVが置かれた現状だというのは、別の問題だと思うけれど、いずれにせよ、実際に購入を考えるときには補助金のことは考えるだろう。
さて、次は電費と充電だ
今回トータルe-208を344kmドライブした。
いつもなら、毎日走って減った分、自宅ガレージで200V・15Aで普通充電して翌朝には常にフル充電でスタートするのだが、今回はあえてそうはせず、減るに任せておいた。
急速充電を試したかったからだ。
e-208のカタログには、
「e-208はチャデモ(CHAdeMO)規格の急速充電器にも対応しています。急速充電器の場合、50分でバッテリー容量の約80%まで充電することが可能です」
と書いてある。
とはいえ、たいていの急速充電器は、充電時間30分に設定されている。
そして、CHAdeMOの急速充電器には、さまざまな仕様があって充電できる出力も違うのだ。
40kW/44kW/50kW/90kWなどの違いがあって、もちろん数字が大きい方が同じ時間でより多くの電力量を充電できる。
急速充電に関しては、車両側の能力の問題もある。車載の充電器が対応していないと意味がない。
プジョーe-208 (e-2008も)の車載充電器は50kWである。
車載の充電器は
プジョーe-208/e-2008/Honda-e/日産リーフ:50kW
マツダMX-30 EV Model:40kW
日産リーフe+:100kW
といったところだ。
EVの急速充電は、たいてい「80%まで○分かかる」と書いてある。それは80%を超すと、バッテリーへ電流が入りにくくなるから。だから、自宅での普通充電は行なわずに走行を続けたのだ。
さて、どこで充電するか?
マツダMX-30 EV Modelを急速充電したときは、第三京浜都筑PAの40kWのCHAdeMOで充電したが、e-208は50kWの充電に対応している。せっかくだから高出力の急速充電がしたい。
選んだのは、横浜の日産グローバル本社の急速充電器だ。90kWである。
日産本社に着いた時は
航続距離:281km 電費:7.6km/kWh 航続可能距離44km
の表示が出ていた。
e-208にはNCS(日本充電サービス、21年4月にe MOBILITY POWERへ事業譲渡)のカードが入っていたので、それを使って30分間の急速充電をした。
ガソリン給油と比べると、急速充電の30分間は長いが、コーヒーをゆっくり飲んだら過ぎてしまう時間ではある。
問題は、30分間の充電で何km分の電力量が得られるかだ。
コンベのエンジン車なら、給油したら500km以上の走行可能になる。e-208ではどうだったか?
30分間充電したあと、航続可能距離は236kmと表示された。
つまり、30分で192km分充電できたわけだ。
7.6km/kWhなので、192÷7.6=25.3kWh分充電できたことになる。
e-208の車載充電器は50kWなので、30分間で25.6kWhは性能通りだ。素晴らしい。
遠出した際に、280km走って、30分間急速充電してさらに192km航続距離を伸ばせれば、500km弱は走れることになる。これなら文句あるまい。
今回の急速充電は文句ない性能を発揮してくれたが、急速充電器によっては相性が悪く(古いものだと特にそのようだ)思ったように充電できない場合があるようだ。急速充電器の整備とともに、「相性」だとか、「プログラムの不備」とかで、思ったように充電できないといった不具合を解消していくことがEVの普及には必要だ。
今回、344km走行して、トータルの電費は7.2km/kWhだった。
バッテリー容量が50kWhでBattery Usable(使えるバッテリー容量)が45kWh程度だと考えると
7.2km/kWh×45kWh=324km
となる。324kmがe-208の航続距離である。
デザイン、走り味、航続距離、そして価格。
トータルで考えて、いまプジョーe-208は、「いま買うべきEV」の最右翼だと言える。
プジョーe-208 GT Line
全長×全幅×全高:4095mm×1745mm×1465mm
ホイールベース:2540mm
車重:1510kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式
駆動方式:FF
駆動モーター
形式:交流同期モーター
定格:57kW
最高出力:136ps(100kW)/5500pm
最大トルク:260Nm/300-3674rpm
バッテリー容量:50kWh
総電圧:395V
交流電力量消費率(JC08モード):131Wh/km
一充電走行距離(JC08モード):403km
車両本体価格:423万円
試乗車はオプション込み469万3350円(パノラミックガラスルーフ10万2000円 ナビゲーションシステム24万5300円/ETC2.0 4万4550円/パールペイント塗装7万1500円)
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