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ジムニーのフロントウィンドウを倒してサバイバルゲーム。そしてパエリア鍋のシーズニング(もちろん料理も!)【スズキ・ジムニーでアウトドアへ 】

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フロントウインドウを倒した状態のM-JA71C。我が輩がもっとも好きなスズキ・ジムニーのスタイルは倒した状態で窓枠が残らないハーフメタルドアというモデル。

吾輩のフロントウインドウは前に窓枠ごと倒すことができる。なぜ、倒せるのか? そのあたりの歴史をひもといてみる。アメリカのハズブロ社が製造する銃型の玩具、オンラインゲーム、「FORTNITE」とのコラボレーションモデルも解説しよう。お腹が空いたら、パエリアだ。
TEXT & PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)

吾輩はスズキ・ジムニーである。1986年の生まれで、型式はM-JA71C。金属のルーフも当然エアコンもない。「4WD→2WD→4WD」と手動で切り替えるパートタイムの四輪駆動車である。錆も進み、ボディもあちこちが凹んでいるので、ゆっくりと余生を送ろうとしていたが、週に1回、アウトドア・フィールドに出掛けることとなる。

吾輩のフロントウインドウは前に窓枠ごと倒すことができる。これはエアコンの代わりに直接風を室内に入れ込み、清涼感を得るためのものではない。4輪駆動のルーツとも言えるジープに習ってのことであろう。

ジープ、MBという形式のクルマは兵器として開発(同じ設計によるクルマであるがMBはWillys製、GPWはFORDが生産した車両)。パトロール中などは敵に遭遇した時に備え、フロントウィンドウはボンネットの上に倒しておく。クルマに乗ったまま、座席に着席したままで射撃ができるようにだ。もしもフロントウインドウを倒せない仕様なら、フロントウィンドウを割るか、自ら立ち上がって射撃をしなくてはならない。この一瞬の時間のロスが勝負を決めてしまう。また、身体をより多く的としてさらけ出してしまう。

ベトナム戦争時、米兵はフロントウインドウを倒しM151(小型汎用4輪駆動車両、第二次世界大戦時はMB /BPW、大戦後のM38、その後の継続車両)を走らせた。これに対して「南ベトナム解放民族戦線」は、通路の左右にある樹木間に、着座した米兵の首の位置に合わせワイヤーを張り対抗する。すると米兵はフロントウィンドウは倒したままで射撃ができるように、車両のフロント部分に鉄製のバーを立て、ワイヤーカッターとした。過不足のない机の上での主義主張。だが最先端の現場ではこんな命のやり取りであった。

フロントウインドウを倒した状態とNERF BASR-R。全長は約90cm。スカイブルーのダーツが付属品。濃い青のダーツは別売オプション。
アメリカのハズブロ社が製造する銃型の玩具。鮮やかな色と未来的なデザインが特徴。このモデルは、オンラインゲーム、「FORTNITE」とのコラボレーションモデル。

時代とともに国の考え方、民衆の意見も変わる。ベトナム戦争参戦時は英雄としてベトナムに向かった米兵は、本国に帰還すると世論は一変していた。間違った政策の対象として白い目で見られ、命をかけて戦った英雄達は世間からはつま弾きにされたのだ。

シルベスター・スターローンの映画「ランボー」はこのことをよく表している。映画公開の前に、本として出版され、日本語のタイトルは「一人だけの軍隊」だと記憶している。彼らは、孤独感から逃れるために優秀な性能を持った4輪駆動車を手に入れ荒野に出たのであろう。生まれた国の人々のなかではなく、ベトナムのジャングルに似た荒野の方が、穏やかだと感じてしまうのは何とも悲しい。だが、そのことが現在のアメリカの4WD人気、アウトドア人気のルーツの要因のひとつと吾輩は考えている。

吾輩は、友人に「極端な平和主義者だよ!」と言われるほど平和主義者である。ただ、それは理論上のことではなく、実際の戦争体験者、零戦のパイロット、米軍のベトナム戦争経験者、そして当時の基地の街を知っているからである。彼らは多くは語らない。それは自分自身が今、生存しているのは勝ってきたからである。勝った兵士がいれば、負けた兵士がいるのだ。

彼らの心の傷はそう簡単に消えることはない。たとえ敵の兵士と言えども家族があり、命がある。それは敵味方でも同じである。平和を取り戻し、平常心に戻った時、彼らの心に重くのし掛かってくるのだと思う。武勇伝など要らないのだ。暗い過去の真実の話はこの辺にして、吾輩も年に数回はフロントウインドウを倒してみる。法令により、このまま公道を走る事はできないので注意は必要だ。

ダーツと呼ばれる「弾」。
柔らかい発泡ウレタンの先端に軟質の樹脂の弾頭を付けてある。
銃床(ストック)は一度組むと外せない。
アメリカの玩具に対する安全性の高さが窺える。

スズキ・ジムニーの愛好家たちのなかには、「サバイバルゲーム」を楽しむ人もじつは多くいる。吾輩自身はやらないのだが、「サバイバルゲーム」も戦争体験の一角をにない、平和の大切さを伝えていく方法のひとつと最近は考えるようになった。だが、装備が必要であり場所も限られているので、あまり身近、とはいえないところもある。

オペレーティングハンドル(プライミングボルト)も一度装着すると外すことはできない。左右2個付属されているが、オーナーの「右利き」「左利き」に合わせ、どちらかにひとつ装着すれば、嵩張ることは少なくなる。
ライフルスコープ(照準器)だけは装着しても取り外せる。
このスコープにはレンズ等の光学的なものは入ってはいない。
ダーツと呼ばれる「弾」は12個付属されている。
マガジン(弾倉、ダーツクリップ)には6個のダーツを入れられる。

「サバイバルゲーム」より身近で、家庭内でも楽しめる玩具として、アメリカのハズプロ社が展開するナーフ(NERF)という銃型の玩具がある。ダーツと呼ばれる「弾」は発泡ウレタンで作られており、安全面はかなり高い。銃床(ストック)やオペレーションレバー(プライミングボルト)等は、一度組んだら外れない。また一目で玩具とわかるようなカラー。デフォルメされた形が、もしもふざけてたりして構えた子供達を周囲の誤射から守るようにも考えられている。銃の国アメリカ、PL法のアメリカだ。

オペレーティングハンドル(プライミングボルト)を引いた状態でマガジン(ダーツクリップ)を装着する。
トリガー(引き金)の反対側、マガジン側にあるレバーが、マガジン(ダーツグリップ)のリリースレバー。オペレーションハンドル(プライミングボルト)を手前に引き、このレバーを押すとマガジン(ダーツグリップ)が外れる。

「弾」をダーツと呼んでいるのは、撃ち合いの為の玩具ではなく「的」を撃つための物として開発されたのであろう。だが、当然ながら愛好家達はそれだけでは納まらない。

この弾となる「ダーツ」はカラフルで大きくて目立つ。アウトドアで使っても見つけやすい。目に付き簡単に回収できるもの利点だ。回収しやすくすることでマイクロプラステック等、自然界への配慮もできる。

オペレーションハンドル(プライミングボルト)を銃身へ戻して発射準備完了。発射した後はオペレーションハンドルを引き、また戻すと次のダーツが装填される。

そのシリーズで、自動小銃M16に近い形の物が今回の相棒だ。「NERF」と人気のオンラインゲーム「FORTNITE」とのコラボレーション、「BASR-R」というモデルだ。全長は約90cm(M16は約100cm)もある。重さは約1200g(M16は約3500g)。カラーもブルーとオレンジで吾輩のボディカラーにぴったりである。

さぁ、いつものアウトドア・フィールドをフロントウィンドウを倒して、「BASR-R」を携えてのパトロールだ。

パトロール中に地球侵略軍に前線基地を占領されてしまう。

おっと、ちょいと留守をしている間に「地球侵略軍」に吾が前線基地、テンマクデザインのテントを奪われてしまった。キュンと冷やしておいたエナジードリンク等も、すべて奴らに飲み干されてしまったようだ。

吾がチームの保有するダーツは42発。「BASR-R」はスペアを入れて2丁だ。さて、奪われた前線基地を奪還して、吾がチームは地球の平和を守り抜けるだろうか?

ー吾輩はスズキ・ジムニーである。型式はM-JA71C。名前はまだないー

地球侵略軍は吾がチームの前線基地を占領。これより奪還する。
無事に奪還。ランチの準備にかかる。
安全のため、ゴーグルを着用すること。

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