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自動車の自賠責保険とは?補償範囲や車両種別に保険料もわかりやすく解説します

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法律に基づき、すべての自動車へ加入が義務付けられている「自賠責保険」。正式名称「自動車損害賠償責任保険」は、交通事故による被害者救済を目的としており、事故で他人を死傷させた場合に限り、損害賠償責任を補償します。
物損や運転者自身のケガは対象外ですが、被害者の治療費や後遺障害、死亡時の賠償金が一定額まで支払われる仕組みです。自賠責保険は、社会全体で交通事故被害者を守るための重要な制度と位置づけられています。
この記事では、自賠責保険について解説します。気になる補償範囲や車種別の保険料についてもわかりやすく紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

自賠責保険とは?

自動車保険には自賠責保険と任意保険の2種類があります。自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、すべての自動車やバイクに法律で加入が義務付けられている「強制保険」です。
自賠責保険は交通事故の被害者救済を目的としており、事故で他人を死傷させた場合に限り、損害賠償責任を補償します。補償の対象はあくまで「相手方の身体」に限られ、物損や加害者自身・同乗者のケガ、車両の損害などは補償されません。また、支払限度額も定められており、必要最低限の補償にとどまります。

一方、任意保険は加入が自由で、自賠責保険ではカバーしきれない幅広いリスクに対応できます。例えば、相手の車や建物などの物損、自分や同乗者のケガ、自分の車両の損害などもサービスの内容に応じて補償の対象です。また、補償内容を特約などで自由に組み合わせることができ、示談交渉サービスやロードサービスなども付帯されているのが一般的です。自賠責保険は最低限の補償しかないため、重大な事故では賠償金が大きく自賠責保険の補償だけでは足りないケースが少なくありません。
任意保険はその不足分を補い、事故後の示談交渉や各種サービスも受けられるため、多くのドライバーが加入しています。損害保険料率算出機構のデータによると、2024年3月末時点で任意保険の普及率は75.5%です。自動車を安全に、安心して運転するためには、自賠責保険と任意保険の両方に加入することが重要です。

自賠責保険
任意保険
自身への補償(けが・死亡)×⚪︎
自身への補償(車・モノ)×⚪︎
相手への補償(けが・死亡)△(死傷のみ限度額あり)⚪︎
相手への補償(車・モノ)×⚪︎
保険料年齢・車種問わず一律加入条件によって異なる

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監修:モーターファン事務局 損害保険チーム

自賠責保険による補償範囲

自賠責保険の補償範囲は、交通事故による「対人賠償」に限定されています。そのため、加害者である運転手や車、物に対しての補償はありません。被害者1人につき支払限度額は以下の通りです。

死亡による損害最高3,000万円
後遺障害による損害最高4,000万円〜75万円
(後遺障害等級による)
障害による損害最高120万円

1つの事故で複数の被害者がいる場合は、それぞれに上記の金額が補償されます。なお、後遺障害による損害は、神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して介護が必要な場合に支払われます。常時介護が必要な第1級には4,000万円、随時介護が必要な第2級は3,000万円の補償です。
事故が発生した際、加害者が誠実に対応せず示談がまとまらない場合や、賠償金額で折り合いがつかない場合、通常は保険金の請求が難しくなります。しかし、こうした状況でも被害者の救済を図るため、自賠責保険では「被害者請求」という制度が設けられています。
この制度を利用すれば、被害者自身が直接保険会社に対して損害賠償額の支払いを求めることが可能です。なお、この場合は「保険金」ではなく「損害賠償額」と呼ばれます。被害者請求は、加害者との交渉が進まない場合でも被害者が適切な補償を受けられる重要な仕組みです。

自賠責保険料の一覧

自賠責保険料は、法律により全国一律で定められており、どの保険会社で契約しても金額は同じです。2025年度の自賠責保険料は、前年度から据え置きとなり、事故件数の減少などを背景に、今後引き下げの可能性も示唆されています。
自賠責保険の保険料は車両種や契約期間によって異なります。一般的に、契約期間が長いほど1年あたりの保険料は割安です。以下に、主な車両種別・期間別の保険料をまとめます。

12ヶ月
13ヶ月
24ヶ月
25ヶ月
36ヶ月
自家用乗用車
11,500円
12,010円
17,650円
18,160円
23,690円
軽自動車
(検査対象車)
11,440円
11,950円
17,540円
18,040円
23,520円
小型二輪
(250cc超)
7,010円
7,150円
8,760円
8,910円
10,490円
軽二輪
(125超250cc以下)
7,100円
8,920円
10,710円
原動機付自転車
(125cc以下)
6,910円
8,560円
10,170円

沖縄県や離島などの一部地域では保険料が異なる場合があるため、詳細は各保険会社や損害保険料率算出機構の資料をご確認ください。
2024年には「One-JIBAI(ワンジバイ)」という損害保険業界共通の共同システムが導入され、2025年より本格始動しています。これにより、自賠責保険の契約や管理業務をパソコンやスマートフォンなどから非対面で行えるようになりました。自賠責保険の支払いのキャッシュレス対応も始まっています。

自賠責保険に加入していないとどうなる?

強制保険である自賠責保険ですが、加入していない場合はどのようなことが起こるのでしょうか。自賠責保険の重要性を再確認するためにもチェックしておきましょう。

法律で罰せられる

自賠責保険は法律で加入が義務付けられているため、未加入のまま運転すると「自動車損害賠償保障法違反」となります。これにより、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、さらに違反点数6点が付されて即座に免許停止処分になります。 また、自賠責保険証の不携帯でも30万円以下の罰金が科されるため、保険証の携帯も必須です。罰則は非常に重く、うっかり未加入や期限切れでも例外なく処分の対象です。
国土交通省では、無保険対策を行っており街頭での取締り活動や加入状況を管理し無保険の可能性がある方への注意喚起も行っています。自賠責保険証は車検証と共にグローブボックスに入れておくと紛失を防げるでしょう。車検の際に、業者がセットで一緒に入れてくれるパターンがほとんどです。

事故の賠償金が自己負担になる

自賠責保険に未加入で事故を起こすと、被害者への賠償金は全額自己負担となります。
仮に任意保険に加入していても、自賠責保険の補償限度額を超えた分のみの支払いです。例えば、傷害事故なら、まず120万円を自分で負担し、その超過分のみ任意保険から補償されます。被害者救済のためには「政府保障事業」があり、国が被害者に補償を行った場合、後日その分を加害者に請求します。加害者が支払わない場合は、国は裁判を通じて財産や給与を差し押さえ、回収する流れです。

車検が受けられない

自賠責保険は、車検時に必ず加入または更新が義務付けられています。そのため、自賠責保険に未加入、もしくは保険期間が切れている状態では、車検を受けることができません。 車検が通らなければ、その車両は公道を走ることができず、無車検・無保険で運転した場合はさらに重い罰則が科されることになります。また、車検証の更新もできないため、結果的に自動車の使用が大きく制限されてしまいます。

自賠責保険の加入方法

ここでは、自賠責保険に加入するための方法を紹介します。必要な書類や加入ができる場所について解説するため、ドライバーは必ず把握しておきましょう。

自賠責保険の加入に必要なもの

自賠責保険の加入手続きには、車両の種類によって必要な書類が異なります。具体的には下記の表のとおりです。

車検のある普通車や軽自動車・自動車検査証(車検証)
・現在契約中の自賠責保険証明書
車検のない原動機付自転車・標識交付証明書
・現在契約中の自賠責保険証明書
125cc超250cc以下のバイク・軽自動車届出済証
・現在契約中の自賠責保険証明書

また、本人確認書類や印鑑が必要になる場合もあるため、事前に手続き先へ確認しておくと安心です。必要な書類がそろえば、窓口やオンラインでスムーズに手続きが進みます。

加入できるところ

自賠責保険は、車やバイクの販売店、ディーラー、車検センターや陸運局などさまざまな場所で加入できます。もちろん、損害保険会社や共済組合の窓口、保険代理店、農協(JA)など任意保険を取り扱っている場所でも加入できます。また、原付や250cc以下のバイクに限り、郵便局や一部のコンビニエンスストア、インターネットからも手続きが可能です。
最近ではスマートフォンやパソコンを使ったオンライン手続きであるOne-JIBAIも普及し、非対面での加入も簡単になっています。所有している車両やライフスタイルに合わせて、最適な加入方法を選びましょう。

自賠責保険で気をつけておきたい点

自賠責保険は証明書の紛失や期限切れ、名義変更忘れなどに注意が必要です。手続きの不備があると法的なトラブルや不利益につながるため、管理を徹底しましょう。以下では、特に注意したい点を解説します。

紛失した場合は再発行が必要

自賠責保険証明書を紛失した場合は、速やかに再発行の手続きを行う必要があります。証明書は運転時に必ず携帯しなければならず、不携帯の場合は30万円以下の罰金が科されることもあります。
再発行は加入している損害保険会社や共済組合で受け付けており、Web(One-JIBAI)や郵送、営業店窓口での手続きが可能です。必要書類は本人確認書類や再交付申請書などで、手続き方法によって異なります。
再発行は原則無料で、PDFなら即日、郵送なら1~2週間程度での受取が可能です。Webでの手続きが不安な方は、営業店の窓口で再発行を依頼すれば即日で対応してくれる場合もあります。紛失や汚損に気づいたら、早めに再発行を申請しましょう。

車検までに期限切れにならないように

自賠責保険は車検のタイミングでの更新手続きが一般的です。車検の満了日は日付が変わるまでですが、自賠責保険は満了日の正午までです。そのため、車検満了日に車検を実施すると、時間によっては期限切れになる可能性があります。保険証の有効期限を日頃から確認し、余裕を持って手続きを行うことが大切です。
また、うっかり期限を過ぎてしまわないよう、自賠責保険を新車購入時は36ヶ月ではなく37ヶ月を、2回目以降は24ヶ月ではなく25ヶ月と1ヶ月多く契約しておくと安心でしょう。スマートフォンのリマインダーなどを活用する方法もあります。
万が一、自賠責保険が切れてしまった場合は、速やかに再加入しましょう。

中古車・譲渡された場合は名義変更が必要

中古車を購入したり、車を譲渡・譲受した場合は、自賠責保険の名義変更手続きが必要です。明確な法律による規定はないものの、自賠責保険が前の所有者名義では、万が一事故が発生した際に保険金の請求や手続きがスムーズに進まない場合があります。
名義変更は、購入時と同じタイミングに行うのがおすすめです。中古車販売業者で購入している場合は、代行してくれるのが一般的です。知人間同士での購入の場合は、トラブルを避けるためにも、速やかに名義変更の手続きを行いましょう。

まとめ

この記事では、自賠責保険について解説しました。自賠責保険は、補償範囲が限定的で、車を運転する際に加入を義務付けられます。交通事故の被害者救済を目的として、事故で他人を死傷させた場合に限り、損害賠償責任を補償する保険です。
なお、車両種別に保険料は異なり、自家用車なら25ヶ月で18,160円、250㏄超の小型二輪は8,910円です。加入していないと法律で罰せられる、事故を起こした際の賠償金の支払いが高額、車検が受けられないなどのデメリットがあります。
自賠責保険は運転をする方にとって、必ず入るべき大切な保険です。制度をきちんと把握し、安全なカーライフを楽しみましょう。

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