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コンパクトボディに脱着式バッテリー。シティコミューターの真打! イタリア発の小型EV 「BIRO」に乗ってみた

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販売価格は125万円~。自動車のようにピラーが視界を遮ることなく、全方向で視野に優れる。ミラーを確認するよりも視線を向けた方が状況を把握しやすかった。

エネルギー問題や交通混雑の緩和を目標に、国内でも普及が望まれている超小型モビリティ。イタリアではすでに実用化されている小型EVのエストリマ「BIRO」が日本に上陸。いったいどんな乗り物? 乗り心地は?  気になる実力をレポート!

日本ではまだ知名度の低いBIROですが、イタリアでは2009年から発売されていて、小型モビリティとしてもEVとしても古参のクルマです。日本では今年の4月に第1号店がオープンして予約販売を開始しています。現在では、納車は5ヶ月待ちという人気ぶり。そんな中、去る9月7日に都内でメディア向けの試乗会が開催されました。

横置きとはいえ、このサイズは驚異的。画像は「BIRO」オフィシャルサイトより。
まず目にして驚くのが車体の小ささ。狭い路地でもラクラク走れることを前提としているかのように、ボディサイズは全幅1030×全長1740×全高1560mmと、軽自動車と比べてもさらに1まわり以上コンパクト。乗用車用の駐車スペースであれば、4台停めても余裕があるほどです。

全高が高いおかげか、意外なほど車内は広々としていて、座席シートは2席設置。ただし、日本では法規上ミニカー(50cc以下のエンジン相当の動力を搭載する小型車で「原付ミニカー」とも呼ばれる)に分類されるため、乗車定員は1名。なので、助手席部分は荷物を置くスペースとして有効活用するのが良いでしょう。

バッテリーがキャリーバック型に変形できるので持ち運びも容易。画像は「BIRO」オフィシャルサイトより。
BIROはEV車としても革新的です。EV車の要とも言えるバッテリーは従来固定式がほとんどですが、BIROには脱着式のモデルもラインナップされています。また一般的なEV車では充電用に200V電源を用意する必要がありますが、BIROは100Vの家庭用電源でも充電することが可能です。なので、改めて充電設備を用意する必要もなく、バッテリーを取り外して、室内のコンセントで!という手軽さを実現しているのです。

バッテリー容量と航続距離に優れる固定式もラインナップされていますが、劣化したバッテリーの交換が難しいことを考えると脱着式の方が賢い選択かもしれません。
駆動に使われているのは、後輪の左右それぞれに内蔵された48Vのブラシレスモーター。最高速度は45km/hとなっていて、近距離の移動に特化した設計といえます。

操作は基本的にはAT車と同じです。シフト操作はハンドル奥のスイッチで行い、一般的なドライブとリバースの他に、最高速度を30km/hで制限する「カメ」マークのモードがあり、電力消費を抑えることができます。また、坂道などよりトルクが必要な場面では「BOOST」ボタンを押すことで加速力を得られます。

スイッチでの操作は慣れが必要。普通のクルマの感覚よりもゲーム用のコントローラーのような印象。

1740mmと短い全長はクイックな反面、路面の段差を拾いやすい。それでも安定を欠くということはない。
ドアのロック解除は独自のカードキー。一般的なキーレスエントリーとは異なり、カードをかざすと開錠する。筆者自身、カードでクルマに乗り込んだのは初めての体験。乗車して気づくのが、周囲の状況が視線を向けるだけで即座に把握できるほどの開放感です。天井を覆う透明なカバー、前後の広々としたウィンドウに加え、左右のドアも透明。把握しやすい車体の大きさも相まって、しばらく運転していないペーパードライバーの方でも不安なく乗り出せそう。

とはいえ、やはりパワーの少なさを感じる場面も。特に顕著だったのが坂道。平坦な道ではアクセルレスポンスよく加速していましたが、坂道では減速しないまでも速度が頭打ちに。そこで活躍するのが、ハンドル奧の「BOOST」ボタンです。押すと勾配を苦にすることなく加速を始め、坂道をぐんぐん登っていきます。ここぞという時に使うことで、劇的なパワーを得られます。

価格は125万円からと若干高めな設定ですが、ミニカー登録となるので車検は不要、維持費も保険料も安いというメリットも。使いやすく乗りやすいBIROの登場はシティコミューターの普及を後押ししそうです。
(石川 順一)

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