50周年記念・三菱デリカの歴史を振り返る! 三菱『歴代デリカのすべて 連載第2回』スター誕生……二代目デリカの躍進
- 2018/05/11
- MotorFan編集部 大橋 俊哉
誕生50周年を迎えた三菱デリカの五世代50年の歴史を振る連載企画の第2回は、このモデルから「スターワゴン」を名乗り、レジャービークル色を濃くし、独自の存在感を高めていくことになる二代目だ。
初のフルモデルチェンジでワゴンはみんなのスターに
三菱デリカは1979年6月にフルモデルチェンジ。当時のデザイン潮流に合わせ、これまでの丸みを帯びた柔らかなラインからボクシーなスタイルへと変貌を遂げた。同時にボディ全幅を小型車枠いっぱいの1690mm(バン/ワゴン)まで拡大(トラックは1695mm)。優れた居住性と広い荷室を両立。トラックとバンは従来どおりながら、「コーチ」に代わり新たに「ワゴン」を設定し、「スターワゴン」を名乗る。ワゴンはG32B型 1.6L直列4気筒OHCのサターンエンジン(86ps)を搭載し、5速MTも設定された。バンにはこのG32Bエンジンと4G33型 1.4L(82ps)をグレード別に用意し、トラックは後者のエンジンのみという設定だった。
レジャービークル「スターワゴン」誕生
デリカ「スターワゴン」は1975年に廃止された初代デリカ「コーチ」に続く9名乗車の乗用モデルとして登場。MCA-JETサターン80エンジンで53年排出ガス規制をクリア。「1600XL-5」グレードはクラス初となる5速MTを採用したほか、2-3列目シートにフルリクライニング機構も備えるなど豪華仕様となっている。
80年5月には新開発のシリウス80エンジン(G62B型 1.8L直列4気筒OHC)を搭載したハイルーフ車を追加。
81年9月にはAT仕様を追加。さらにパワーステアリングを装着したほか、回転対座シートにマルチサウンドコンポを採用し、よりレジャービークルとしての使い勝手や装備を充実させる。
日本初の4WDキャブオーバーワゴン誕生
1982年はデリカスターワゴンの一大転機となる。というのも、82年のマイナーチェンジで、デリカスターワゴンは小型キャブオーバー車では初となる4WDを設定したのだ。三菱自動車はジープのライセンス生産(三菱ジープ)や、ピックアップトラックの「フォルテ」4WD(80年)でFRベースの4WDシステムを習得しており、この年はフォルテ4WDをベースにしたマルチパーパス車「パジェロ」もデビュー。デリカスターワゴンの4WD車追加と合わせて、後の「SUVの三菱」のイメージを築き上げる重要な年となった。
このマイナーチェンジでは4WD車の追加のほか、ディーゼルエンジン車とロングボディ車の追加も大きなトピックとなった。内外装も刷新され、4WD車はフロントのグリルガードや4WDステッカー、ヘビーデューティなホイールデザイン、オプションには電動ウインチを用意するなどオフロード色を強める。その一方で、内装はより乗用車らしい質感で誂えられた。
4WD車とディーゼルエンジン車の投入は、80年代に入りますます多様化するレジャー需要に対し、レクリエーショナル・ビークル(RV)としてデリカの個性を強調し、販売台数、シェアを順調に伸ばしていく強力な武器となったと言えるだろう。
4WDシステムは「パジェロ」と同じ!
三菱の4WD車のイメージリーダーとも言えるパジェロは1982年4月のデビュー。対してデリカスターワゴン4WDは同年10月に追加されており、ほぼ同期。どちらも4WDシステムは三菱が北米を中心とした海外市場向けに生産していたピックアップトラック「フォルテ」に搭載されたモノをベースにしている。言うなればフォルテ4WDのSUV版が初代パジェロであり、ワンボックス版がデリカスターワゴン4WDといったところだろうか。
この4WDシステムはハイ/ローレンジの切り換えができるトランスファーを備えたパートタイム式で、2WD時はプロペラシャフトを介して後輪を駆動とするFRベースのもの。4WD時の前輪への駆動力はギヤに比べ軸間距離の設定自由度が高く静粛性にも優れるサイレントチェーンを採用。2WDと4WDの切り換えはスライド式シフトフォークを採用することで高い操作性も実現している。ケース類はすべてアルミニウム鋳物を使用して軽量化を図るとともに、補強リブを適切に配置することで十分な耐久強度を確保した。
さらにオプションでオートマチックフリーホイールハブ機構も用意されている。フリーホイールハブは、2WD時に前輪とドライブシャフトを切り離して動力ロスや騒音を防ぐシステムだが、このロックとフリーを自動で行なえるオートマチック機構を組み込んでいるのがポイントだ。
信頼性が高く、悪路走破性に優れるこの4WDシステムは二代目のスターワゴンのみならず三代目にも継承され、スターワゴンの4WDイメージを一層強固なものにした。
ディーゼルターボと特別仕様車の投入
1982年10月の4WD車追加に続き、翌83年11月には4WD車に2.0Lのシリウスエンジンを搭載(G63型 直列4気筒OHC)。高度計と傾斜計の2連メーターも追加されたのは、デリカスターワゴンがオフロード走行やアウトドアレジャーにおいてユーザーの厚い支持を得ていたからだろう。
84年2月には4D55型 2.3L直列4気筒OHCディーゼルターボを搭載。91.0mm×90.0mmのボア×ストロークから84ps/4000rpmの最高出力と17.8kgm/2000rpmの最大トルクを発揮した。
85年2月にはフロントガーニッシュの変更など内外装を充実。同年10月には、スキー仕様の特別仕様車「シャモニー」をデリカシリーズで初めて用意した。「シャモニー」はこれ以降、デリカシリーズの定番特別仕様車として代々ラインナップされていくことになる。また、「シャモニー」以外にも特定レジャー特化型の特別仕様車が用意されるのが、デリカシリーズの伝統となっている。
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