Mercedes AMG E53 × BMW 540i 直6ハイパフォーマンスサルーン対決! メルセデスAMG E53対BMW 540i
- 2018/12/05
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MotorFan編集部
今、ドイツ勢のプレミアムブランドに直列6気筒復活の兆しがある。かたやメルセデスはEクラスとCLSに新開発M256型3.0ℓ直6ターボを搭載し、こなた頑なに直6ターボをラインナップし続けたBMW5シリーズ。なぜ、彼らは直列6気筒にこだわり続けるのか?
REPORT◎高平高輝(Koki Takahira)
PHOTO◎田村 弥(Wataru Tamura)
直列6気筒の頂上決戦?
増殖著しいメルセデスAMGの新シリーズは、V6の「43」とV8の「63」の間の「53」として登場した。最大の特徴は、久しぶりに復活した直列6気筒エンジンを搭載していること。しかもこの新型M256型直6ターボは、48V電源で駆動されるISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を備えたいわばマイルドハイブリッドユニットで(メルセデスは単にISG付きと称しているが)、その上電動スーパーチャージャーによって、ターボチャージャーが苦手な低回転域を補うという、いわば全部載せの最新パワートレインである。
M256型と称する新型直6ターボは、メルセデスにとってほぼ20年ぶりの直6エンジン、振り返ればW124型Eクラス等に積まれていたM104型直6以来のストレートシックスである。なぜ今になって直6が復活したかについては様々な理由があるが、何よりも効率の追求が挙げられる。V6ならば各バンク毎に必要なターボや触媒などが直6では少なくて済むというメリットもあるし、ガソリン4気筒(M264)だけでなく、新世代のディーゼル(OM654&OM656)とも構造を共有するモジュラーユニットという利点もあるうえに、この6気筒は今後さらに厳しくなるエミッション規制に対応するためにも必要な新型である。
EUでは2021年にはCO2の平均排出量が95g/㎞に引き下げられ、未達成の場合は超えた分に応じてペナルティを支払わなければならない。PHVやEVはもちろんだが、現実に販売台数の多いモデルの排出量を改善すべく、できることはすべて実行しなければとても届く数値ではない。電動化されたM256型直6ターボは、メルセデスの決意が形になったものなのである。
エンジンとトランスミッションの連結部には48V電源で駆動されるISGを内蔵しているのが特徴で、これによって減速エネルギーを回収するほか、発進時などでアシストする。またウォーターポンプ、エアコンコンプレッサーなども48Vによる電動式で、必要な場合だけ効率的に作動するアダプティプ型だ。ターボが苦手とする低回転域は電動スーパーチャージャーが担当、さらに発進加速時などはモーターも加わり、排気圧が上がってからの過給はターボが担うという贅沢エンジンだ。
S450より大型のターボチャージャーを採用したというAMG 53シリーズ用は435㎰/520Nmとエンジン単体でも大幅にパワーアップしている。大径ターボを使うとターボラグが気になるところだが、それを補うのが電動スーパーチャージャーと16kWと250Nmを生み出すモーターである。53シリーズは「AMGスピードシフトTCT」なるトランスミッションが積まれている。こちらは9Gトロニックをベースに、より素早いシフトを可能にしたという専用品らしいが、TCT(トルク・クラッチ・トランスミッションの略)と言いながらクラッチはなくトルクコンバーター式である。
もっとも、穏やかに加速する際などは、カツンカツンとまるでツインクラッチ式のようなダイレクトなショックを伝えてくる。S450の直6は徹頭徹尾滑らかスムーズに回り、シフトも洗練されていかにも6気筒の美点を強調したパワートレインだが、E53用はAMGだからなのか、もっと精悍なキャラクターを打ち出しているのが特徴だ。回転フィーリングは6気筒らしく滑らかだが、音はやんちゃな武闘派という、ちょっと不思議なユニットである。
もちろん、演出だけでなく大パワーと駆動力可変式の4マティック+を活かした発進加速は実際にも素晴らしく、0→100㎞/hは4.5秒という。ちなみにライバルとして引っ張り出したBMW540i xドライブ(以下540i)は4.8秒。ご存知かと思うが念のために付け加えると、4秒台は立派な高性能スポーツカーの数字で、4秒を切ればもうスーパースポーツの世界だ。
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