Fiat 500X Impression from editor’s room 新型フィアット500Xに搭載された次世代1.3Lエンジンの奥ゆかしさに好感触〈試乗記〉
- 2019/05/18
- MotorFan編集部 福永貴夫
フィアット初のスモールSUVとして2015年10月に日本でデビューした「Fiat 500X」がマイナーチェンジ。エントリーモデル「500X」と上級モデル「500X Cross」の2タイプを19年5月より導入した。新しい局面へと進化を遂げた同モデルには、新世代エンジンとしてフィアットに初採用されたオールアルミ製1.3L 4気筒“FireFly”ターボが搭載されている。
TEXT●福永貴夫(FUKUNAGA Takao)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
いい意味で“エンジンの存在感を消す”
5月10日に発表されたばかりの「フィアット 500X」だが、早速、試乗する機会に恵まれた。今回の目玉は内外装のアップデートもさることながら、新開発の1.3Lエンジンの搭載。
オールアルミ製55282328型1.3L直列4気筒“FireFly”ターボエンジンは、パワーと燃費を向上させており、従来モデルと比べ、最高出力は11psアップの151ps(111kW)、最大トルクは20Nmアップの270Nm(27.5kgm)を発生。燃費は、欧州参考値で従来モデル搭載の1.4Lターボエンジン比べ約10%向上している。
冒頭で記した“いい意味でエンジンの存在感を消す”とは、FCA商品企画担当者談。そのような表現をするとエンジン性能が劣っているように感じる向きもいるだろう。だが、この表現をインポーター担当者がしたのは、新世代エンジンとしてフィアット初採用となる55282328型エンジンに自信をもっていることの現れでもある。
「動力性能もそうですが、車内の静寂感を感じとっていただければと思います。エンジンノイズが車内へ侵入することを極力防いでいます。また、アイドリングストップ時からの再始動時の振動を抑えることで、その際に感じる不快さを軽減させています」(商品企画担当者談)。
試乗コースは、まずは一般道から。東京・三田からレインボーブリッジ(一般道部分)を使って台場まで。東京は意外と坂道の多い街。クルマに乗っているとあまり感じないが、アップダウンのある一般道を当たり前のようにストレスなく走る。
1.3L直列4気筒“FireFly”ターボエンジンは、アクセルレスポンスもよくエンジン特性をうまくピックアップ。右足に力を込めることなく、初めて運転するクルマを難なく走らせることができた。
組み合わされるトランスミッションは6速AT。変速ショックもなく、スムーズに、ゆるやかにシフトアップしていく。マニュアルトランスミッションでこれができたら“運転うまいね”と言われそうなくらい、なめらかにギヤが変わっていく。
静粛性については、走行中、信号待ち、渋滞等、各シチュエーションで“エンジンの存在を消す”とはこのことだったのかと認識。エンジンが自己主張してこない。とはいえ、アクセルを踏んだときのエンジンからのメッセージは確実に捉えることができ、その存在を忘れるというのではなく、BGMかのような存在としてドライバーに寄り添うエンジンという印象を受けた。
SUVらしさを強調しながらも街中でも自然に溶け込むスタイリング
エクステリアは、前後バンパーを一新。SUVらしいクロススタイルを採用しつつ、親しみやすいデザインの中に力強さというアクセントが盛り込まれている。
500Xは、アーバンライクな雰囲気を漂わせており、いわゆるガチガチのオフロードフィールドを駆るモデルとは一線を画しているといっていいだろう。オフロードコースを走行したりキャンプに行ったりということより、例えば、“グランピング派”の心をくすぐるたたずまいを放っているといっていいだろう。
「オーナー様の多くは、FIATというブランド、“チンクエチェント”というクルマに、他社(車)にはない価値観を持っていただいているという傾向が強いということもあります」(商品企画担当者談)。
前後バンパーのほかにエクステリアでは、デイタイムドライビングライトとポジショニングライトを上下で分割することで、“FIAT 500”ファミリーのシンボルでもある「500」のロゴをモチーフにしたデザインを採用。このデザインは、500Xのフォルムを際立たせる、さりげなくもインパクトあるアクセント効果をもたらしてくれることだろう。
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