コストパフォーマンスの高さはクラス随一 〈試乗記;新型 日産スカイライン400R〉走りのスカイラインが完全復活! 405ps&475Nm仕様のV6ターボはNAさながらのハイレスポンス
- 2019/10/26
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遠藤正賢
7月16日に2度目のマイナーチェンジを実施し9月より販売開始した、日産随一の長寿モデルである高級スポーツセダン「スカイライン」。新たに設定された、405ps&475Nm仕様のVR30DDTT型3.0L V6ターボエンジンを搭載するホットバージョン「400R」に、日産グローバル本社のある横浜および都内の市街地と首都高速道路で4日間にわたり試乗した。
PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
前回のレポートでは、ハンズオフ走行を可能とした最新のADAS(先進運転支援システム)「プロパイロット2.0」を搭載する「ハイブリッドGTタイプSP」と、304ps&400Nm仕様のVR30DDTTを搭載する「V6ターボGTタイプP」に試乗している。
新型日産スカイライン試乗…「プロパイロット2.0」のライントレース性能はADASで初めて人間を超えた! 新設定VR30DDTT型3.0Lターボは良い意味でターボらしくない感触
両車のインプレッションおよびマイナーチェンジの概要については上記の記事に詳しいので、今回はその時運転することが叶わなかった、そしてスポーツカー好き、昔からのスカイラインファンが最も注目しているであろうホットバージョン「400R」に的を絞って、そのインプレッションをお伝えしたい。
さて、そのホットバージョンである「400R」なのだが、外観は端的に言って、スポーツバンパーに19インチアルミホイール、ターボ車用デュアルエキゾーストパイプを装着する「V6ターボGTタイプSP」とほぼ変わらない。
数少ない識別点は、ホイールの仕上げが切削光輝タイプではなくガンメタ塗装になり、フロント4ポット&リヤ2ポットのアルミ製対向ピストンブレーキキャリパーがレッド塗装になること、そして「400R」のエンブレムがリヤに装着される程度だ。
しかしながら、たったそれだけの違いが、今回のマイナーチェンジで全車に与えられた、日産ブランド共通の「Vモーショングリル」と、スカイライン伝統の丸目四灯リヤコンビネーションランプを、全く違和感のないものにしてしまうのには驚きを禁じ得ない。他のグレードではスポーティな新デザインと従来と変わらぬ落ち着いたディテールとの間に齟齬を生じているものの、400Rではそれが解消され、完璧な調和をもたらしている。
その一方で室内は、明確に他のグレードと趣を異にしている。スポーツシートサイドサポートにダイヤモンドキルティングを施したほか、そのシート以外にステアリングやシフトノブ、ドアトリムやセンターコンソールなどにも赤のステッチを与えたブラック本革内装は、しばしば「男の仕事場」と形容される、古典的な高級スポーツセダンの装いそのものと言ってよいだろう。
実際に室内へ乗り込み運転席へ座ってみると、ステアリングやシフトノブを含めた本革の触り心地はソフトながら、身長176cm・座高90cmの筆者でも充分なサイズが確保されたスポーツシートはサイドサポートがハッキリと硬めで張り出しも大きい。この感触は後席もほとんど変わらず、日産がこの400Rを「高級スポーツセダン」と明確に位置付けていることが、こうした点からも見て取れる。
だが、不自然な座り方を乗員に強いる詰めの甘いパッケージングは、あくまでもマイナーチェンジであり追加モデルに過ぎない400Rも、従来型や他のグレードと全く変わらず。運転席はトランスミッションの張り出しが大きいうえ、ペダルが若干右側にオフセットしているため、両足ともやや右側に傾ける必要がある。
後席はセンタートンネルが大きいのに加え、前席のシートレールが車両中央寄りの脚(左席なら右脚、右席なら左脚)を真っ直ぐ伸ばした先にあるため、必然的に身体全体をやや捻った形で座らざるを得ない。しかも筆者の場合、キチンと姿勢を正して座ると後頭部がルーフライニングに当たるか当たらないかスレスレになるため、浅く座るか首と腰をやや前傾させるかする必要に迫られた。
一方で荷室の使い勝手は良い。後席を使用した状態でも510Lの容量があり凹凸も少なく、さらに後席背もたれにはセンターアームレストスルーと6:4分割可倒機構も備わるため、アウトドアやスポーツ用途でない限り、荷物の置き場所に困ることはまずないだろう。
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