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コストパフォーマンスの高さはクラス随一 〈試乗記;新型 日産スカイライン400R〉走りのスカイラインが完全復活! 405ps&475Nm仕様のV6ターボはNAさながらのハイレスポンス

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IDSのフロントダンパー
DASのカットモデル

 では、肝心の走りはどうか。まず最初に感動したのは、低速域の乗り心地だった。

 400Rには「インテリジェントダイナミックサスペンション」(IDS)と呼ばれる、減衰力をより幅広い領域かつ100分の1秒単位で制御可能な電磁式比例ソレノイドダンパーが標準装備されているのだが、これは加速Gではなく車輪の回転速度やヨーレート、横Gを検知し、さらにステアバイワイヤ「ダイレクトアダプティブステアリング」(DAS)の操舵角に基づきフィードフォワード制御。これに選択しているドライブモードも加味しつつ、路面の凹凸の大きさに合わせて減衰力を制御し車体の上下動を抑えるとともに、旋回時には左右のロールも抑える仕組みとなっている。

元町商店街にて。写真のような石畳路でも不快な突き上げ・振動は極めて少ない

 他のグレードとの比較において、このIDSのメリットを最も明確に体感できるのは低速域、それも元町商店街の大半を占める石畳路や、住宅地に多いヒビ割れた路面だ。タイヤサイズ・銘柄は同じ245/40RF19 94WのダンロップSPスポーツMAXX 050 DSST CTTながら、400Rより80kg重い1840kgに達するハイブリッドGTタイプSPの、悪夢のような突き上げは最早そこにはない。車重が1710kgと比較的軽く、タイヤサイズも225/50RF18 95Wとやや小さくなるV6ターボGTタイプPと比べても、さらにワンランク上のフラットライド感をもたらしてくれる。

センターコンソール上にあるドライブモード切り替えスイッチ。STANDARD、SPORT、SPORT+、ECO、SNOW、PERSONALの6モードから走行特性を選択できる
 一方、首都高速道路湾岸線など高い速度域で走る場面では、ドライブモードが「SPORT」でなくともダンパー減衰力を常に高い状態に維持するためか、直進・旋回時を問わず、そのフラットライド感がやや影を潜めてしまう。路面の細かな凹凸を拾い、それを突き上げと車体の上下動をもって乗員に伝えがちだった。また、速度域を問わずロードノイズとドラミングノイズが大きいのも、高級車としては気になる所だった。

 なお、DASの操舵力が低速域で軽すぎるうえ、ステアリングインフォメーションも希薄になり、適切な舵角を手の平から判断しにくい点は、他のグレードと全く変わらず。これは狭い交差点や駐車場で極めて都合がよろしくなく、何度か内側に入り込み過ぎて肝を冷やしたことを正直に白状しておきたい。

400RのVR30DDTT型エンジン。写真はヘッドカバーを外した状態

 そして、405ps&475Nm仕様のVR30DDTT型3.0L V6ターボエンジンだが、304ps&400Nm仕様に対し101ps&75Nmアップというスペックから、試乗前は「相応にターボラグは感じられるようになっているだろう」と予想していた。だが実際に乗ってみるとそうした印象は皆無。NA(自然吸気)エンジンさながらのレスポンスと吹け上がりは304ps&400Nm仕様と全く変わらず、そこに体感2割増しのパワー&トルクが上乗せされている印象だった。

新型スカイラインが搭載するV6ターボ! とにかくレスポンス。そのためにEGR不採用も辞さず。──VR30DDTT

 そのタネは上記記事の通り、VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)はおろかEGRも不採用とした、徹底したレスポンス重視の設計にある。そのうえ400R専用にターボ回転センサーを用い、さらには水冷式インタークーラーに強化ウォーターポンプを採用することで、常用22万rpm、瞬間的には24万rpmものタービン回転を許容したことも、この高性能とハイレスポンスに大きく貢献しているのだろう。

日産スカイライン400R

 このエンジンに前述の快適な乗り心地、さらに旧来の極めて高い操縦安定性が合わさった400Rの走りは痛快そのもの。「走りのスカイライン」が完全復活したと表現しても決して過言ではない。なお、市街地と高速道路がほぼ半々となった今回の燃費は9.1km/L。その痛快な走りを堪能すれば、燃費も相応のレベルになるということは、あらかじめ認識しておく必要がありそうだ。

 400Rの車両本体価格は562万5400円。これと同等以上の性能を同クラスの競合他車に求めれば、軽く1.5倍以上の(ただし4WDになることが多いが)金額を要求されることを考えると、圧倒的なバーゲンプライスだ。さりとて内外装のクオリティや快適・安全装備の充実度でも、ライバルに対し引けを取らない。

 現時点では「プロパイロット2.0」が400Rにはオプション設定すらされていないのが残念ではあるものの、「インテリジェントクルーズコントロール」や「インテリジェントLI」(車線逸脱防止支援システム)など従来のADASは一通り標準装備されている。間違いなくこの400Rが新型スカイラインの、そしてこのクラスのベストバイである。

【Specifications】
<日産スカイライン400R(FR・7速AT)>
全長×全幅×全高:4810×1820×1440mm ホイールベース:2850mm 車両重量:1760kg エンジン形式:V型6気筒DOHC直噴ターボ 排気量:2997cc ボア×ストローク:86.0×86.0mm 圧縮比:10.3 最高出力:298kW(405ps)/6400rpm 最大トルク:475Nm(48.4kgm)/1600-5200rpm WLTCモード平均燃費:10.0km/L 車両価格:562万5400円

日産スカイライン400R

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