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全長248m。F-35B搭載の空母に改修されるヘリコプター搭載護衛艦「いずも」「かが」の実力 名実ともに「空母」へ。ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」「かが」のすごい実力 自衛隊新戦力図鑑④

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「いずも」型2番艦「かが」(DDH184)。写真/海上自衛隊

日本を守る陸・海・空自衛隊には、テクノロジーの粋を集めた最新兵器が配備されている。普段はなかなかじっくり見る機会がない最新兵器たち。本連載では、ここでは、そのなかからいくつかを紹介しよう。今回は海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦、「いずも」と「かが」だ。
TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

F-35Bを搭載する空母へ。将来はオスプレイの運用も

ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型1番艦「いずも」(DDH183)。写真/海上自衛隊

 海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」は、現有護衛艦の中で最大の艦となっている。全長248m、全幅38m、基準排水量1万9500トン。就役したのは2015年3月25日、2番艦「かが」は2017年3月22日に就役している。本艦より先に就役している「ひゅうが」と同様、艦首から艦尾まで平坦につながる「全通甲板」を備えているのが外観上最大の特徴だ。全通甲板は飛行甲板であり、最大で14機のヘリコプターを搭載することが可能だ。ちなみに「ひゅうが」型護衛艦と比べ「いずも」は全長で約50m、全幅で約5m、それぞれ拡大されたサイズとなっている。

「いずも」は、短距離離陸垂直着陸ステルス戦闘機F-35Bを搭載する航空母艦への改修が決まっている。『空母いずも』を作るのだ。ただし、海自は『空母』とは呼ばないだろう。現在の「いずも」や「ひゅうが」は艦型や機能面で実質的に「ヘリ空母」だが、海自は「ヘリ搭載護衛艦」との認識と呼称で通している。

「いずも」は右舷外側に大きく張り出したエレベーターを装備するのが特徴だ。ヘリや車両、オスプレイ、F-35Bも乗せることができる。エレベーターは艦内格納庫と飛行甲板とをつなぎ、これらの機体を移動させられる。写真/貝方士英樹
「いずも」艦内の格納庫。サイズアップしただけ「ひゅうが」型よりさらに広大で、3.5tクラスのトラックなら約50台を収容可能だ。写真/貝方士英樹

 空母化改修では、飛行甲板に耐熱処理を施すなどの工事を行なう必要がある。2019年夏、防衛省の概算要求では約30億円の改修費用と、2022年度内での工事期間が必要との見積もりがあった。ここで想像できるのは、艦艇としての定期検査を2022年に控えている「かが」から、この定期検査に合わせて空母化改修工事を開始することだ。つまり、2023年頃には工事を終えた『海自の空母』が登場していることが考えられる。ちなみに「いずも」の定期検査は2024年に予定されているというから、「かが」の後に空母化改修工事を受けるのかもしれない。

2017年3月22日、横須賀港へ入港する「いずも」型護衛艦2番艦「かが」。就役したその日に造船所であるJMU磯子工場を出港、横須賀へ入港した光景だ。「ひゅうが」「いせ」「いずも」に続く全通甲板型護衛艦の4隻目のフネの向こうには、米空母「ロナルド・レーガン(CVN76)」が見える。写真/貝方士英樹

「いずも」は航空機の運用能力が高い。本艦は「ひゅうが」型護衛艦をもとに、その能力を大幅に増強した拡大発展版といえるものだ。将来的には陸上自衛隊に配備予定のティルトローター機「V-22オスプレイ」も艦上運用可能な能力を持つと思われる。
 本艦は各部隊とリアルタイムでの情報共有を可能にするC4I(情報通信)システムを搭載しており、陸海空3つの自衛隊を統合して動かすオペレーションの拠点能力を持つ。艦内の多目的室には統合任務部隊司令部を設置可能だ。自衛隊の統合運用では、航空優勢が確保された海域・地域に前進展開し、搭載した哨戒ヘリコプターで対潜行動を行いながら、そのエリアの海上優勢を確保する役目を担う。
 また、大型・高機能艦であることを活かし、大規模自然災害時の災害対応にも有用だ。艦内にはICU(集中治療室)や35床の病室、歯科治療室などを備え、総合的な緊急時医療態勢の充実が図られている。災害時には積極的に投入・運用される護衛艦でもある。

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