ただし「ニスモS」または「e-POWERニスモS」なら現行ノートを“買い” モデル末期の日産ノートe-POWERは“買い”か“待ち”か? 今や燃費と加速フィールの優位性にも陰りが見られる。CMF-B採用の新型またはキックスを“待ち”たい
- 2020/06/12
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遠藤正賢
どれほど技術が進化しても、法規や市場環境の変化など様々な要因が影響するため、最新のモデルが最良とは限らないのが、クルマの面白い所。さりとてモデル末期のクルマは、熟成が進んでいるとはいえ、その後現れる新型車で劇的に進化する可能性を考慮すると、実際に購入するのはなかなか勇気がいる。
そこで、近々の販売終了またはフルモデルチェンジが確実視されている、モデル末期の車種をピックアップ。その車種がいま“買い”か“待ち”かを検証する。
今回採り上げるのは、新型ではルノー日産三菱アライアンスのCMF-Bプラットフォーム採用が確実視されている日産のコンパクトカー「ノート」の、シリーズハイブリッド車における中間グレードに、ブラック基調の内外装を与えた「e-POWER Xブラックアロー」。一般道で約100km、高速道路で約100km試乗し、燃費を計測しつつその実力をチェックした。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、日産自動車
現行二代目ノートがデビューしたのは2012年8月。最早8年も前のことになるが、率直に言ってデビュー当初から、いやむしろデビュー当時の方が、その実力と商品力に強い懸念を抱いていた。
二代目ノートの土台となっているのは四代目マーチと同じ、本来は新興国向けのAセグメント車を主眼としたVプラットフォーム。筆者は長年お世話になっていた日産ディーラーへの恩返しなどもあり、この四代目マーチを2010年7月のデビュー直後に購入したが、低燃費・軽量化以上にコストカットが目に付くその出来に辟易し、1年ほどで手放している。
そんな長年の義理人情すら吹き飛ばす出来の悪さを、200万円近い身銭を切り体験して間もない頃だったため、デビュー当時の二代目ノートをより厳しい目で見ていた感は否めない。だが、今改めて冷静に見てもなお、初代ノートのみならず、日本では販売が堅調ながらモデル廃止された初代ティーダの後継車とも位置付けるには、余りにも無理のある仕上がりだった。
それが大きく変わったのは、シリーズハイブリッド車「e-POWER」を追加した、2016年11月のマイナーチェンジである。常時シームレスかつトルクフルなモータードライブをワンペダルで楽しめるうえ、e-POWER搭載のためシャシー・ボディが強化されたことで乗り心地やハンドリング、静粛性も大きく改善。内外装の質感も高められたことで、一躍日産の国内向け登録車における最量販車種に上り詰めた。
そんなノートe-POWERを改めて見ると、マイナーチェンジで一新されたフロントマスクは程良くスポーティでクドすぎず、サイドビューも全長4100mm・ホイールベース2600mmというクラストップの長さのおかげで伸びやかだ。
この全長とホイールベースの長さは室内、特に後席空間の広さに直結しており、身長176cm・座高90cmの筆者が座っても充分以上の広さがある。ただし前席の下にはe-POWERのリチウムイオンバッテリーが敷き詰められているため足先を入れられず、脚を思い切り伸ばしてリラックス…というわけにはいかないのが実情だ。
また、絶対的に小ぶりなうえクッションに弾力がなく、サイドサポートも乏しいため、面圧がヒップに集中しやすい。これはフロントシート、またベースとなったマーチの前後席も全く同じ傾向で、長距離長時間走行した後は凄まじい疲労と腰痛を覚悟しなければならない。
インパネはシルバーあるはピアノブラックの加飾パネルで質感が高められているものの、本体の質感は高くなく、造形も平凡と言っていい。荷室はフィットほど広くはないがヤリスやスイフトほどは狭くないというもので、ディーラーオプションのマルチラゲッジボードを使えばフロア高をかさ上げでき、後席を格納してもほぼフラットな状態になるので使い勝手はまずまずだ。
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