スバル・フォレスター Advance:スバルe-BOXERの「e」の価値を試乗で検証する
- 2020/06/14
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世良耕太
世界中でもっとも売れているスバル車は、フォレスターだ。そのフォレスターの国内モデルは、2.5ℓの水平対向エンジン(FB25)と2.0ℓ水平対向エンジン(FB20)+モーターのe-BOXERを設定する。今回はe-BOXERをモータリングライターの世良耕太が試乗。「e」の価値を検証した。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
e-BOXERの「e」の価値は?
フォレスターには2.5ℓ水平対向4気筒エンジン(184ps/239Nm)を搭載する仕様(車両本体価格286万円〜308万円)と、2.0ℓ水平対向4気筒エンジン(145ps/188Nm)にモーター(13.6ps/65Nm)を組み合わせた仕様(車両本体価格315.7万円)がある。エンジンに電動技術を組み合わせたハイブリッドシステムを、スバルは「e-BOXER(イー・ボクサー)」と呼んでいる。
今回乗ったのはフォレスター・アドバンスで、e-BOXER搭載車だ。モーターの最高出力は10kW(13.6ps)なので、大きなアシストが期待できないのは容易に想像できる。スバルもそこはあまり狙わず、モーターの特徴である「反応の良さ」を生かそうとしたと明言している。減速時のエネルギー回生による燃費の向上よりも、レスポンスに着目したのだ。
エンジンはその性質上どうしても、応答遅れが生じてしまう。「加速したい」とドライバーがアクセルの踏み込み量を増すと、車載コンピューターはドライバーの要求を汲み取り、エンジンに取り込む空気量を増やすよう指示を出し、スロットルの開度を大きくする。蛇口にひねりを加えても一瞬でコップに水が溜まらないように、シリンダーにたくさん空気が入るにも相応の時間を要する。そこから着火〜燃焼というプロセスを経て、初めて大きな力が発生し、ドライバーの要求を満足させる。
いっぽう、モーターはエンジンのように、空気量を増やして、着火してという面倒なプロセスは必要なく、信号を送ると瞬時に反応する。エンジンが不得意とする領域を応答性に優れたモーターでカバーするのがe-BOXERのコンセプトだ。
低出力ではあるけれども、モーターの力だけで車両を動かすだけの力はあり、発進から微低速では、いわゆるEV走行を行なうことができる。市街地を走っている状況でアクセルをオフにした際は、エンジンをシャットダウンし、コースティングしつつモーターで減速エネルギーを回生する。シーンは限定的だし効果は弱いけれども、高出力モーターを積むストロングハイブリッドと同様のモードを備えていることになる。
e-BOXERには2018年10月に箱根で乗っているが、そのときは交差点や信号がほとんどないルートでの走行に終始した。今回は都内近郊の自動車専用道路と幹線道路、それに細街路を走った。一般道では発進と停止を頻繁に繰り返し、冷間始動も体験した。より、日常に近い条件で走らせてみて気づいたことがある。アクセルを踏み増したときの応答性こそe-BOXERの生命線であるはずだが、モーターからエンジンへのバトンタッチが上手にできておらず、不愉快な動きが顔を出す。
発進時はモーターだけで走行するのが基本だ。だが、出力が小さいのが災いしてか、ドライバーとしてはそれほどアクセルを強く踏んでいるつもりはないにもかかわらず、浅い踏み込みでもエンジンが始動する。エンジンが始動すること自体は何ら問題ないのだが、エンジン走行に切り替わる際に、ドンというなかなか不愉快なショックをともなうのだ。
それが、発進の度に起きる。渋滞に遭遇した際に発進と停止を繰り返していると、発進の際に、「あぁ、またアレが来るのかぁ」と暗い気分になる。そして、やっぱりショックは出るのだ。フォレスターのダッシュボード中央にはインプレッサと同様にマルチファンクションディスプレイが装備されている。モードを切り替えるとスロットル開度を表示することが可能だ。発進時のアクセル開度が17%であったとしても(ごく普通に発進したつもり)、モーター走行はほんの一瞬で終わってエンジンが始動し、ドンとくる。
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