スバル新型レヴォーグ:走れるエンジニア(SDA)が開発する「ディテール(細部)」の仕上げが、走りに表れる。ステアリングホイール、サスペンション、そしてシート。
- 2020/09/11
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世良耕太
正式発表(10月15日)までカウントダウンとなったスバル新型レヴォーグ。JARI(日本自動車研究所)での限られた条件での試乗でも、その走りが大きく進化していることは確認できた。SDA(スバル・ドライビング・アカデミー)の「走れるエンジニア」の存在が重要な役割を担った。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota) PHOTO◎山上博也(YAMAGAMI Hiroya)/SUBARU
全車速追従機能付クルーズコントロールなどの先進運転支援システムをオンにしている状態でステアリングから手を離すと「ハンドルを操作してください」とドライバー通知が出る。ドライバーがステアリングを握っているか握っていないかを判断するのは従来、ステアリングトルクだった。ドライバーがステアリングにトルクを与えているか、与えていないか(ステアリングを能動的に動かしているか、動かしていないか)で、握っているか、握っていないかを判断していた。
新型レヴォーグでは、握っているか、握っていないかではなく、触れているか、触れていないかで判断するようにした。ステアリングトルクによるセンシングから、タッチセンサーに切り換えたのである。だから、グリップをしっかり握らず、手を添えているだけでよくなった。もちろん、ズルを許容するためではない。ステアリングの形状を変えたからだ。
「新型レヴォーグの開発では、スバルドライビングアカデミーのメンバーに入ってもらいました。ちゃんと走れる人に評価してもらい、その意見を聞き入れて開発したのです」
性能開発を担当したエンジニアはこう説明する。スバルドライビングアカデミー(SDA)とは、開発に携わるエンジニアのドライビングスキルと評価能力を高め、「走れるエンジニア」を育成するプログラムだ。開発は開発、評価はテストドライバーと役割をわけるのではなく、開発に携わるメンバーが自らテストドライブを行なって評価する。
「自分が走れる以上の能力を持ったクルマは開発できません。今回のレヴォーグの開発では、SDAメンバーに結構入ってもらいました。私もそのひとりです。現在はインストラクターですが(つまり、指導する立場)」
ステアリングは断面形状を変更した。これはSDAのメンバーがもたらした意見が反映されているという。
「従来はしっかり握らないといけないステアリングだったのですが、新型では押さえる感じのステアリングにしました。断面形状は全然違います。どこを押さえても操作できるステアリングにしています。SDAのメンバーからいろんな話を聞いた結果、ステアリングを操作するうえでは握らないほうがリラックスできるとの意見にまとまりました。(グリップ部を)握ると、肩に力が入ってしまいます。的確に操作できる意味からも、押さえて操作できる形状としました。だから、タッチセンサーに変えたのです。握らなくても押さえていれば、ステアリングを持っていると認識してくれるからです」
走れるエンジニアが「このほうがいい」と判断した新断面形状のステアリングが、新型レヴォーグに採用されている。そのステアリングを切り込むと、とても感触がいいし、しっかりしている。その理由のひとつは、電動パワーステアリング(EPS)のタイプを変更したことだ。従来はピニオン式(1ピニオン式)のEPSを採用していたが、新型レヴォーグは2ピニオン式に変更した。2ピニオン式にするとステアリング操作軸とモーターアシスト軸を切り離すことができて操舵時のフリクションが減り、リニアにトルクを伝達することができて応答性が高くなる。
もうひとつの理由は、フロントサスペンションを見直したことだ。ストラット式のレイアウトに変更はないが、ホイールセンターとキングピン軸のオフセット(マスオフセット)を前型比で約15%減らしたのが大きい。マスオフセットが大きいと転舵軸とタイヤが遠いので、路面外乱で舵が乱されやすい。それに対し、マフオフセットが小さいと、転舵軸とタイヤが近いため、路面外乱で舵が乱されにくくなる。
「マスオフセットに関しては設計者がこだわり、ミリ単位で追いやりました。こだわって開発しただけの成果はあり、剛性が出て、素直なフィーリングになっています」
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