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角田裕毅(つのだ・ゆうき)7年ぶりにF1参戦する日本人ドライバーに注目! ホンダF1最後の年にアルファタウリ・ホンダで輝くか

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PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

3月26日からいよいよ2021年のF1グランプリが開幕する。ホンダF1活動の最後の年、ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルとアルファタウリの2チームの活躍が期待されるが、それ以上に注目は7年ぶりに登場する日本人F1パイロット、角田裕毅(つのだ・ゆうき)だ。シーズン開幕前にインタビューに応じてくれた。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota)PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

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3月26日に公式プログラムが始まり、28日に決勝レースが行なわれるバーレーンGPで、7年ぶりに日本人F1ドライバーが誕生する。角田裕毅(つのだ・ゆうき)だ。2000年生まれの角田は、ホンダのパワーユニットを搭載するアルファタウリ(Alpha Tauri)AT02をドライブする。角田選手は2018年にホンダ・フォーミュラドリーム・プロジェクト(HFDP)の育成ドライバーとして参戦したFIA F4日本選手権でチャンピオンを獲得すると、2019年はヨーロッパに渡り、FIA F3選手権に参戦。2020年はFIA F2選手権にステップアップし、3勝して年間3位の成績を残し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの称号を手にF1行きのチケットを手にした。

PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

3月12日〜14日に行なわれたバーレーン・テストでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル/ホンダ)に次ぐ総合2位のタイムを記録。角田選手は3月17日、イギリス・ミルトンキーンズの自宅から、オンラインで記者会見に応じた。

──ミルトンキーンズに住んでいる理由は?
角田裕毅 (アルファタウリの姉妹チームである)レッドブルのファクトリーがあるからです。シミュレーターがレッドブルのファクトリーにあり、そこに多く通わなければいけない。理由はそれだけです。

──バーレーンテストで得たものや課題を教えてください。
角田 とくに3日目は何の問題もなく、自分のドライビングに集中できました。そのなかで見えた課題は、バーレーンの特徴でもあるのですが、風がすごく強いこと。風はF1の空力にものすごく影響します。風の向きによってクルマのバランスが変わります。向かい風だとダウンフォースで押し付けられるのでグリップは高くなり、逆に追い風だとあまり空力が使えないのですごく滑りやすくなったりする。

コーナーによっては進入から中間までは向かい風だけど、中間から出口までは追い風で、進入から中間までは向かい風を利用して速く走れるんですが、中間から出口までは追い風なので、アクセルワークに気をつけなければいけない。そういったところが課題だなと思いました。

PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

──総合2位のタイムについてはいかがでしょう。
角田 テストですが、トップ3に入れたことはうれしいです。テストなので燃料の重さとか、チームごとにやっていることが違うので一概に調子がいいとはいえないのですが、自分の走りに集中できて、スティントごとにタイムを上げていくことができた。トップ3に入れたのは、素直に自信につながりました。

──自分の強みはどこだと思いますか。
角田 ブレーキングとオーバーテイクかなと思います。ブレーキングはF1でも重要で、コーナーでの速さもブレーキングから始まります。ブレーキングが良くないと挙動だったり、変化がつかみづらかったりする。僕的にはブレーキが長所です。あとはオーバーテイク。自信を持ってブレーキングで突っ込み、オーバーテイクできるようになっていると思います。

──どのようなトレーニングをしていますか。
角田 F1はF2とは比べものにならないくらいGが大きい。初めてF1に乗ったときはすごく首に負荷がかかり、レースシミュレーションでは20周とかで疲れを感じるようになりました。そこで、首と体幹を主に鍛えるようにしています。バーレーンのテストでは3日目のレースシミュレーションで54周しましたが、疲れはあまり感じませんでした。そこはすごく成長しているのかなと思います。

──オフはどのようにして過ごしていますか。
角田 日本の友だちとゲームをしています。「エーペックスレジェンズ(Apex Legends)」というシューティングゲームです。結構、自分の性格が出ます。例えば、予選でプッシュしているときにミスしてしまったり、前のクルマが邪魔でラップが台無しになってしまったりすると、熱くなって無線で叫んでしまったりする。ゲームでも、相手に負けると熱くなって叫んでしまう。(ゲームをしながら)そういう自分を抑えるコントロールができるようにしています。(実際には)ゲームのときしか日本語で会話できないので、楽しんでいます。

PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

──新しいマシン(アルファタウリAT02)の印象について。
角田 (昨年のマシンと)どこが変化したのか一概には言えませんが、率直に感じたのはステアリングです。F1からパワーステアリングになりました(F2まではパワステなし)。パワステだと、パワステがないクルマに比べてタイヤのグリップや、ダウンフォースのレベルによって直に感じるハンドルの重さが伝わらなくて、ステアリングを切りすぎてしまう。そこは(以前に比べて)ポジティブになったと思います。

──テストで勉強になったドライバーはいますか?
角田 やはり、チームメイトのガスリー選手です。ガスリー選手は、向かい風だったら(コーナーの)進入で稼いだりと、そのときどきのコンディションに応じて走り方を使い分けてラップタイムを出しにいく。そういったところは大きく学べたと思います。(レースでタイヤをもたせるには)乗っていい(縁石)とか、乗らないほうがいいとかあるんですが、そこはガスリー選手のオンボード映像で勉強できたかなと思います。

PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

──今後の目標を教えてください。
角田 開幕戦の目標はとくにないです。ただ、ポイントを獲れたらいいなと。獲れるようにとにかく頑張る。F1のレース経験がないので、どうなるかまったく想像できません。僕が今持っているパフォーマンスをすべて出し切り、最初からプッシュしてミスを恐れずに走れたらなと思います。今年の目標はポイントをできるだけ獲ることです。そのなかで表彰台だったり、優勝はもちろんしたいですけど、現段階では何が起きるかわからない。シーズン序盤から中盤まではミスを恐れずに攻めていって、ミスや経験から、中盤から後半にかけてアダプト(修正)してまとめ上げていけたらいいなと思います。

──楽しみにしているレースはありますか?
角田 圧倒的に鈴鹿ですね。F4のラップタイムは2分6秒とか7秒。F1だと1分27秒とかなので、40秒も差がある。そういった違いも楽しみにしていますし、何より日本のファンの前で走れるのは楽しみです。

PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

──鈴鹿サーキットで一番難しいと感じているコーナーはどこですか?
角田 鈴鹿サーキットはF4の頃に死ぬほど走っているので、今となってはそんなに苦手なコーナーはありません。F1だと走り方が変わると思うのでわからないですが、好きなコーナーはデグナーとスプーン。そこは自信を持って走りたいなと思います。

──あこがれの選手、理想とするドライバーは。
角田 理想のドライバーはハミルトン選手(メルセデスAMG)だったり、フェルスタッペン選手(レッドブル/ホンダ)かなと思います。ハミルトン選手は7回ワールドチャンピオンになっているし、誰からも認められ、チームもバックアップして戦っている。チーム側から求められるドライバーになりたいと思います。

──日本のファンにメッセージをお願いします。
角田 7年ぶりに日本人ドライバーとして(F1に)参戦します。思い切ってアグレッシブに攻めるので、応援よろしくお願いします。今年からDAZNのアンバサダーを務めています。(全レースライブ中継するので)そちらも、ぜひお願いします。

バーレーンで開幕戦を迎えますが、走ったことのあるコースですし、違うレイアウトですが(F2時代に)勝っていますので、自信があります。自分の強さを出し切りながら走るので、そういったアグレッシブなところを見ていただきたいと思います。あと、今年すごく楽しみにしているのは、10月10日(決勝)の鈴鹿(第17戦日本GP)。日本のみなさんの前で走るのをすごく楽しみにしているので、応援よろしくお願いします。

PHOTO◎Getty Images / Red Bull Content Pool

開幕戦バーレーンGPの公式プログラムは、3月26日(金)にスタート。この日にプラクティス1とプラクティス2が行われ、27日(土)はプラクティス3と予選を実施。28日(日)に決勝レースが行なわれる。バーレーンGPは2014年から、日没直前にスタートするトワイライトレースとして開催されていたが、今年は初めてナイトレースとして行われる。スタート時間は日本時間の29日(月)午前0時だ。

角田裕毅
2000年5月11日生まれ。2021年にF1デビューを飾ることとなった角田裕毅。日本人がF1に参戦するのは2014年以来、7年ぶり。特にブレーキングとタイヤの扱いにおいて高い評価の寄せられるドライバーだ。4歳からレーシングカートを始めると、数々のレースで勝利を収めてきた。2017年には、Hondaのドライバー育成プログラムであるHondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)からFIA-F4選手権に参戦し、シリーズ3位。18年も引き続きFIA-F4選手権に参戦。シーズン7勝を記録し、チャンピオンに輝いた。19年はFIA-F3選手権にJenzer Motorsportから参戦。第6戦ベルギー大会のレース2を2位、第7戦・イタリア大会のレース1を3位と、2レース連続で表彰台を獲得し、レース2ではF3初優勝を飾った。世界の若手ドライバーたちと戦い、ポイントランキング9位でデビューシーズンを終えた。

2020年はFIA-F2選手権にCarlinから参戦。第5戦70周年記念大会のレース2で初優勝し、シーズン全体では3勝を挙げた。シーズンランキング3位となり、F1ドライバーとなるために必要なスーパーライセンスの獲得要件を満たした。
また、FIA管轄の各チャンピオンシップにフル参戦したすべてのルーキードライバーのうち、最も優秀とされるドライバー1名が選出されるFIAルーキー・オブ・ザ・イヤーを日本人で初めて受賞。日本だけでなく、世界中が注目するドライバーだ。

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