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BMW320iのエンジンカバーを見ていろいろ考えてみる エンジンカバー:たまには、ボンネットを開けて中を見てみる

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愛車BMW320iのエンジンルーム。だがエンジンは見えない。

最近、ボンネットを開けたのはいつだろう? そういう方も多いと思う。我々は取材や撮影で「エンジン」を撮影する、あるいは観察するためにボンネットを開けることが多いが、マイカーとなるとそうでもない。ということで、マイカーBMW320iのボンネットを開けてみる。

エンジンカバーを外すと、こうなっている。

ボンネットを開けて真っ先に目に飛び込んでくるのは、エンジンそのもの……のはずだが、現在のクルマはそうではない。エンジンルームを覆っているのは「エンジンカバー」である。

BMW 320i(2013年モデル)のエンジンはN20型2.0ℓ直4DOHC直噴ターボだ(現行320はB48型)。ボンネットを開けると、かなり奥まったところにエンジンがあるのがわかる。でも、そのままだとエンジンが見えないのでエンジンカバーを外す。おお、なるほど、こんなふうになっているのか?

BMWに限らず、現代のクルマのエンジンはエンジンカバーで覆われ、隠され、見ることはほとんどできない。そもそも多くのユーザーは、ボンネットフードを開けることもないけれど。

外したエンジンカバー。
樹脂製のアウターカバーと発泡材でできたインナーの2部品構成になっている。最も音が出そうな直噴インジェクターを発泡材で覆う感じ。現行のB48型エンジンでは、アウターとインナーは分割されておらず、発泡部分も大きくなっている。
こちらは現行320iのB48型エンジン。
エンジンカバーの裏側はこうなった。

我々がニューモデルの撮影をする際は、エンジン撮影では必ずエンジンカバーを外すことにしている。はめ込み式になっていて簡単に外せるタイプもあれば、トルクス・レンチがないと外せないようになっている場合も。また、カバーの裏側(インナー)の材質や形状もじつにさまざまだ。最新のBMWやボルボ、マツダ車などはかなり凝った形状になっている。


エンジンカバーの役割はなんだろう?
まず思い浮かぶのは、「見栄え向上」だ。メカメカしい外観の方が「グッとくる」人も多いと思うが、デザインされたエンジンカバーに「BMW twinpower turbo」とか「LEXUS HYBRID DRIVE」と合った方がお客様に喜ばれるというわけだ。

もうひとつが、NV対策だ。エンジンカバーでエンジンの上部を覆うことで、エンジンからの放射音の低減を図る。たとえばVWのEA888(1.8ℓ/2.0ℓ直4直噴ターボ)を例にとると、このエンジンカバーには、BASFのメラミン樹脂発泡品Basotect TGが吸音材として使われている。

Basotect TGは、精巧な三次元部品や狭い空間用にカスタマイズされたパーツを作るために熱成形用用に特別に造られている熱硬化性メラミン樹脂発泡品だ。オープンセル・繊細気泡構造のBasotect TGを使うことで、中・高周波数領域の吸音をしてくれる。もちろん、難燃性で、最高240℃の耐熱性があるという。

レクサスに採用されているのは、太平洋工業製のエンジンカバーだ。発泡サイレンサーの防音・防振技術と低密度なナイロン樹脂材料をカバーに使うことで世界最軽量のエンジンカバーを開発している。

マツダのSkyactivエンジンのエンジンカバーの発泡素材は、東洋紡製。ガラス入りPA6のコアバック発泡品・グラマイドが使われている。

そして、見栄えはNV対策と並んで重要なのは、対歩行者保護性能だ。
市販車のボンネットフードは 2004 年から自動車アセスメントにより歩行者頭部保護性能試験が行なわれ,頭部損傷基準値 HIC (Head injury criteria)をもとに評価が行なわれている。

クルマと歩行者が不幸にも衝突してしまった時(つまり、人をはねてしまった時、だ)、クルマの先端で足下をすくわれた歩行者ははね上げられ、ボンネットに頭部を打ちつけてしまう場合がある。

薄いアルミ合金、あるいはスチール製のボンネットの下にあるのは、硬いエンジンだ。ボンネットフードとエンジンの間に十分なクリアランスがあればいいが、そうでないケースも多い。一部の車種では、アクティブボンネットといって、衝突時にボンネットフードの後端を瞬時に持ち上げて対応するものもある。

発泡材を使ったエンジンカバーは、歩行者の頭部を守るためにも有効なのだ。

たまには、自分のクルマのボンネットを開けて見てみよう。そしてエンジンカバーを外してエンジンを眺めてみよう。

では、次にいくつか例を挙げてみよう。

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