静かでクリーン、荷室・客室容積も大きく、小口配送用トラックや住宅地用路線バスに最適 なんとFF(前輪駆動)! 日野の小型EV商用車プラットフォームは超低床フロア高400mm[人とくるまのテクノロジー展2018横浜]
- 2018/05/25
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遠藤正賢
日野自動車が5月23日から25日までパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催中の「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」(主催:自動車技術会)に出展し、小型EV商用車プラットフォームの原寸モデルを展示している。その駆動方式はなんとFF、前輪駆動である。
乗用車ベースではない商用トラックの大半が後輪駆動、特に軽トラック以外ではFR、フロントエンジン・リヤドライブを採用している。それは車両後端から荷物を積み下ろししやすく、かつ充分なトラクションを確保するのに、FRが最も都合が良いからだ。なお、車両前端または中央から乗客が乗降するバスはRR、リヤエンジン・リヤドライブを採用するのが一般的となっている。
それでも敢えて、日野の小型EV商用車プラットフォームがFFを採用するのは、フロア高400mmという超低床レイアウトを実現するために他ならない。400mmというフロア高はベッドに近く、小柄な女性でも補助ステップなしでさほど苦労せず、乗降や荷物の積み下ろしができる高さだ。
この低床レイアウトを実現するため、中央に縦方向のフレームがないラダーフレーム構造を採用し、ホイールベース間にリチウムイオンバッテリーと充電ユニット、キャブの下にモーターとインバーターを搭載している。
展示された原寸モデルは小型トラックを模したものだが、全高は2mちょうど。単純計算で1.6m弱の荷室高が得られるため、同じ全高ならばフロア高が約1mの現行小型トラック「デュトロ」よりも遥かに大きな荷室容積が得られるということだ。
しかしながら、合法的に積載可能な重量は、規定の最大積載量から車重を引いた数値になるため、多くの駆動用バッテリーを搭載し車重が増加するEVでは必然的に不利になる。これを少しでも補うため、プロペラシャフトが不要なFFを採用し、後輪もシングルタイヤ化して軽量化を図っている。
だが、駆動方式をFFとすれば、トラクション確保の問題が不可避となる。その対策としてリヤのオーバーハングを短縮しているが、同社説明員によればそれでも「架装部位の重量がかさむごみ収集車に対応するのは厳しい」という。
そうした事情もあり、小型EV商用車プラットフォームが想定しているメインターゲットは、小口配送用トラックや「ポンチョ」よりもコンパクトな住宅地を走る路線バス。これらの用途では積載重量が軽いうえ、ストップ&ゴーの繰り返しで1日あたりの総走行距離も少ないため、騒音・振動が大きくDPFが詰まりやすいディーゼル車よりも、静かで排出ガスを発生せず、変速もないためスムーズに走れるEVは、適性がむしろ高いと言えるだろう。
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