前スバル デザイン部長・難波 治がコンセプトカーのデザインを解説 難波治のデザインウォッチング 東京モーターショー編 8 マツダ 魁(Kai)Concept
- 2017/11/02
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Motor Fan illustrated編集部 鈴木慎一
さあ、次は今回の東京モーターショーでもっとも注目度が高いマツダのブース。ここには、Vision Coupe(ビジョン・クーペ)と魁(Kai)Conceptの2台のコンセプトカーが出展されていた。魂動デザインの第二幕の幕開けを飾るこの2台に、難波さん、なにを語るか。まずは魁から。
ー次はコンセプトカーの魁(Kai)、です。はい、これは一応次期アクセラ、と言われているモデルです。
難波 これはさっきの向こうにあったクーペ(ビジョン・クーペ)と同じデザインの考え方に則ってでき上がっていますよね。とても作り込みもいいし、綺麗にでき上がってるんだけど、さっき言ったのと同じようなね、ちょっとバランスとしてはちょっと崩れているところがあって……。やっぱりフロントオーバーハングが長過ぎ。うん。リヤオーバーハングは逆にすごく短めにして、お尻がきゅっと締まって、ウエストというかお尻の位置も高いし、すごく軽快に感じるじゃないですか。で、それに対してこのノーズ。
ー長過ぎる?
難波 うん。たとえば、みんなノーズって短くしたいわけですよ。というか、クルマってタイヤが四隅にあって運動するものだから、ノーズは長いのは良くないわけじゃないですか。だから、どこもみんなフロントオーバーハングを短くしたいんですよ、それをあえて、マツダらしさということで、これもやってるのかもしれないんだけど。これまで、マツダはわざと前輪を前に出したりAピラーを後ろに下げたりとかって、プロポーションでマツダは一味ちがうよって一所懸命やってるわけじゃないですか。なのになんで、プラスしてノーズまで長くしちゃうの、フロントオーバーハング長くしちゃうのかが、ちょっとわからない。そういう意味では、バランスとしては、崩れてはいるけど、そこがマツダのマツダらしさを示すカタチですって言われたらそれ以上なにも言えないので、それはオッケーかなってボクは思いますね。
難波 それと、さっき言ったように、グリルとヘッドランプがつながったこの表情、これやっぱりなかなかいいですよね。塊を切り取って、切り取っただけじゃなくて、なんか、奥へつながっている感じがするじゃないですか。その塊感のある切り取り方って、やっぱりすごくうまいと思う
ーでも、さっき仰ったように塊感があるから、余計にノーズが長く見えちゃう。
難波 そうなんですよ
ー鼻は長くないのかもしれないけど、こういうふうに(と言ってノーズを指す)がーって先までいきすぎちゃっているから。
難波 そうそう。その鷲鼻みたいな感じ、それって現在売ってるマツダ車、全部その特長あるじゃないですか。だから、やっぱりこれはもう、パッと見て“あ、マツダ!”ってわかるマツダの記号性にしていきたいんだろうなって思いますよね。
ープラス2センチくらい長い?
難波 もっと長い。だからボクはそれはそれで、他が全部そのために全部破綻しているとか、かっこ悪く見えるとかないから。これ、戦略なんだろうなと思います。ただね、このショーカーそのものは地上高が低すぎて、この車体のこのデザインだとしたら、この地上高こんなに低くしない方が良かったよね。重たいでしょ。少し辛口でいうと、しまりがない。全体がブワッとでかくて、ドシンと重い。全部トーンが同じで強弱がない。
ーなんか、Cピラーのこの辺りが昔のランチアかザカートにありましたよね。
難波 そうそう。だからね、このクルマってどっちかっていうとこれを理解してくれる人がどこまでいてくれるかなっていう期待感だよねー。こういうふうなものを『ああ、いいですね』って言ってくれるユーザーがもし増えてくれば、日本っていい国になっていくかなって思ったりするところはありますが、これみよがしなところがないのが、『いや~いいね、大人っぽいよね』って言ってくれるのか『なんか、ボテっとして重たい感じ、つまんな~い』ってなるかもしれない。だから、そのためにも、このモデルはもうちょっと地上高を上げて、少し軽量感を出した方が良かったかなって、ボクは思うんだけどな。
難波 でも、いずれにしてもね、今年のマツダはかなり質感の高い、いい、ショーカーがふたつ並んでいるなと思いますけどね。
と満足げな難波さん。次はいよいよ最後、トヨタのブースに向かいます。
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