BMW3シリーズのエントリーモデル 318i 1.5ℓ3気筒エンジンの3シリーズはアリか? BMW318iスポーツ
- 2017/11/26
-
MotorFan編集部 鈴木慎一
B38型1.5ℓ直列3気筒DOHCターボの実力
車検証上の前後重量配分は、770kg:770kgでぴったり50:50。
ターンパイクの登りでは、やはり速くはない。でも、気持ちいい。有り余るパワーで地面を蹴って進む、というより、ちょっと足りないパワーだけど、アクセルをぐっと踏んでターンパイクを上るのは、とても楽しい。エンジンの回り方もとてもスムーズだ。3気筒と聞いて感じるネガは感じない。ついでにいうと、自分の320i(N20型搭載)のアイドリングの騒々しさを考えると、新しい318iはとても静かである。
さて、このB38型エンジンは
「PSAとの共同開発で生まれた直4直噴ターボPrinceエンジン(N13/N16/N18)がいよいよBMWのラインアップから姿を消した。代わってその役割を受け持つのが1.5ℓ直3のB38型である。ボアピッチ、ボア×ストローク(82.0×94.6mm)、単筒容積500ccは4気筒のB48、6気筒のB58と同じ。しかもガソリンとディーゼルでブロックも共用するという究極のモジュラーエンジンとして開発された。シリーズの部品供用率は60%を超えるという。従来は1.2ℓ版もあったが、ラインアップから姿を消したようだ。横置用でデビューしたが、3シリーズや1シリーズの縦置きモデルにも搭載されている。B38の型式の次が「A」だと横置き、「B」だと縦置きとなる。例外はB38K15Aとなるi8用ユニットだ。「K」はエンジン搭載位置がミッド(あるいはリヤ)で横置きの際に用いられる」(11/29発売のWorld Engine Databook 2017-2018より)
ということになる。
エンジンルームを覗くと、ターボチャージャーは、コンチネンタル製、オルタネーターはデンソー製だった。さらに覗くと、電動パワーステアリングは、ボッシュ製であることがわかる。これは、従来ZF-LS(ボッシュとZFのジョイントベンチャーだった)が、100%ボッシュに変わったからである(ZFはTRWを買収したので、現在のZFのステアリングシステムはTRWの技術の上に成り立っている)。
組み合わせるトランスミッションは、もちろんZF製8速ATの8HPだ。
ギヤ比を見てみよう。
318i
1速:4.714
2速:3.143
3速:2.106
4速:1.667
5速:1.285
6速:1.000
7速:0.839
8速:0.667
最終減速比:3.154
に対して
320i
1速:5.000
2速:3.200
3速:2.143
4速:1.720
5速:1.314
6速:1.000
7速:0.822
8速:0.640
最終減速比:2.813
となっている。
1-3速を最終減速比と掛け合わせると
318iが
1速:14.868
2速:9.913
3速:6.642
320iが
1速:14.065
2速:9.002
3速:6.028
となる(タイヤサイズは同じ)
さすがに318iではややローギヤードになっているわけだ。
クルマに絶対的な速さとか加速力を求めるなら318iはやはりアンダーパワーだが、「気持ちよく走る」ことが目的なら、318iはアリだ。
6気筒エンジンを搭載できるエンジンルームに全長の短く軽い3気筒エンジンを積むメリットは、走り出しから感じる「軽さ」にある。冒頭書いた通り、1540kもあるのだから、特段軽いわけではない。でも、318iにある、軽さは、ハイパワーのエンジン、豪華な内装、必要以上の装備に慣れた人にとっては、なんとも清々しい感触だ。
1.5ℓの直3ターボを積んだ3シリーズ。アリか?と訊かれたら、「アリ」だと答える。
でも、同じB38型1.5ℓ直3ターボを積むクルマを選ぶなら……僕なら118iを選ぶ。
100kg以上軽く、100万円以上安いのだから。
それに、FRの1シリーズに1.5ℓターボが載ったクルマが買えるのは、おそらくそんなに長い時間ではないだろう。
でも、318i、とても気持ちよかったです。
BMW 318i スポーツ
■ボディサイズ:全長4645×全幅1800×全高1440㎜ ホイールベース:2810㎜ ■車両重量:1550㎏ ■エンジン:直列3気筒DOHCターボ 総排気量:1498cc ボア×ストローク:82.0×94.6㎜ 圧縮比:11.0 最高出力:100kW(136ps)/4400rpm 最大トルク:220Nm/1250~4300rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:FR ■サスペンション形式:F:ストラット/コイルR5リンク/コイル■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ:F&R 225/50R17 ■燃費:17.2km/ℓ(JC08)■車両本体価格:478万円(税込)
- 前へ
- 2/2
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー