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連載コラム「酷道を奔り、険道を往く」Vol.2 恐怖! クルマで渡れる驚きの吊り橋!【井川湖、そして接岨峡へ(酷道険道 :静岡県)】ダイハツ・コペン ローブ

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お茶畑を抜けると、いよいよ険道も本格化

国内一位のお茶生産量を誇る静岡県。静岡茶という名称が広く知られているが、さらに地域によって細分化されたブランドがあり、今回の旅程では前半の安倍川沿いエリアでは「本山(ほんやま)茶」、後半の大井川沿いエリアでは「川根茶」が生産されている。

 話は戻って県道189号である。相変わらずタイトでツイスティな険道が続くものの、ときおり眼前に広がる茶畑が目に優しく、適度に緊張感をほぐしてくれる。静岡県といえばお茶の生産量で日本一を誇り、宇治茶、狭山茶と並んで日本三大茶に数えられる。
静岡の場合、さらに地域によって細かく呼び名がつけられブランド化されており、この辺りで生産されるお茶は本山茶と呼ばれている。

 そんなお茶畑も徐々に姿を消し、気がつけば険しい山々に囲まれていた。対向車や突然の段差などに気を遣うべき状況だが、幸い前方にほどほどのペースで快走するプロボックスがいたため、ちょうどいい露払い役になってもらえた。

 コペンのCVTは7段のMTモードを備えている。無段変速機であるはずのCVTに段をつけるのは本末転倒と言う向きもあるだろうが、こうした山岳路などでは一定のギヤ比を維持したい場面もあるわけで、個人的には有用なシステムだと思っている。

 面白いのはSモードで、固定ギヤ比をステップATのように自動で変速していくのだ。わかりやすく言えば「MTモードをATモードにした」ようなもので、エンジン回転数と速度がリンクして上昇し、ある回転数で変速されてエンジン回転数が下がり、そこからまた加速を始める。CVTの欠点のひとつである、エンジン回転と実際の速度がリンクしない感覚が抑えられ、リニアなドライブフィールが得られるというわけである。

 一方、足まわりには改善の余地アリである。動きが渋く、突き上げが強烈で、コーナリング中のギャップで接地を失う場面も一度や二度ではなかった。どこか特定の速度域にスイートスポットがあれば擁護も出来るのだが、低速域でも高速域でも変わらないため、それも難しい。ライバルであるバリバリ体育会系のホンダS660に対し、コペンのウリは癒し系キャラにあるはず(勝手な解釈ですが)。子どもも自立したし、夫婦ふたりのために念願のスポーツカーを......というのは、実はコペンの顧客層に多いパターンだと思われるが、そんな老夫婦が「やっぱりスポーツカーは無理だった」などと懲りてしまわないことを祈るばかり......。

世にも稀な恐怖の吊り橋

メイン画像の井川大橋を渡っている様子を運転席側から撮影したもの。ドライバーの視点からは、橋の左端はボンネットやドアに隠れてまったく見えない。とはいえ揺れは意外と少なく、見た目ほど恐怖感はない。大雨などが降れば話は別かも知れないが......。

 新静岡インターチェンジから撮影をはさみつつ走ること約2時間半、目的地のひとつである井川湖に到着した。険しい山々を越え、深い谷間の奥に目にした群青色に輝く湖面は、まさしく秘境といった神秘的な雰囲気に満ちている。

そして外周に沿ってしばらく進むと、今回の旅のハイライトである井川大橋が見えてきた。世にも稀な、クルマで走れる吊り橋だ。

 まぁ、とにかく迫力がある。筆者はこれまでにクルマで一回、オートバイで二回ほど来たことがあるのだが、何度見ても、やはり尋常ではないオーラを放っている。なにしろ吊り橋である。吊り橋と言えば揺れる。クルマで通れる橋がユラユラ揺れるなんてアリですか? しかも湖面からの高さがけっこうある。木の板を張り付けただけみたいな踏面も不安を募らせる。クルマなんかで走ったら、ズボッって穴が開いちゃうんじゃないの? 橋の入口には、「総重量2tまで。必ず1台ずつ渡ること!」と強い調子で書かれた看板が立てられている。

 だが結論から言うと、一回渡れば慣れる。

 そもそもほとんど揺れないし、徒歩と違って真下が見えないのでほとんど高さを意識することもない。2tを超えた瞬間にブチッとロープが切れて橋が崩れ落ちるということもなかろう。そんな恐怖感よりも、前後左右に広がる壮大な景色をひとり占めできる快感が上回る。

 ただし、もしも自分も行ってみたいと思った方がいらっしゃったら、愛車のサイズにはくれぐれもご注意いただきたい。橋そのものの幅はともかく、橋にアプローチする曲がり角が直角で、両脇に大きな石が置かれており、Cセグメント以上のクルマだと曲がり切れない恐れがあるからだ。軽自動車であれば問題なく、Aセグメントでも大丈夫であることは確認済みだ。そして、多分に個人的な感覚ではあるが、おそらくBセグメントならなんとかなるだろう。あの石は、たぶん大きなクルマを通さないためのものと思われる。

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