本気でワインディングやサーキットを走るなら6速MT車を買って、まずはLSDとクイックシフトの装着、ブレーキのチューニングから スズキ・スイフトスポーツ試乗 MTvsAT|BMW Mを思わせる望外に高いGT性能。ノーマルのまま乗るなら6速AT車を選べ!
- 2018/02/20
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遠藤正賢
最初に試乗したのは、従来の7速MTモード付きCVTに代えて設定された6速AT車。よりダイレクトな加速感・変速感が味わえるよう、エスクード1.4ターボ用に対し最終減速比が3.502から3.683に下げられ、トルクコンバーターの特性も変更されたという、そのモデルに触れてまず感じたのは、やはり軽さだった。
ドアを開閉し、シートポジションを合わせ、エンジンを始動し、ミラーを調整、シフトレバーをDレンジに入れる。それら一連の操作が全て、わずかな力で行うことができる。しかも、そこに安っぽさは決してなく、適度な節度感が味わえるのだから、これは女性のドライバー(や同乗者)にとっても好ましい操作感といえるだろう。
そしてアクセルペダルを踏み込めば、従来のCVT車のようなラバーバンドフィールはなく、至ってスムーズに加速していく。これは、ローギヤ化などによる加速レスポンス向上が図られた6速ATのみならず、1500rpm付近で220Nmものトルクを生み出す1.4ℓターボエンジン、そして70kg軽量化され1tを切ったボディの恩恵を最も強く感じる瞬間だ。
その後速度を上げていき、流れに乗って走ろうとしても、何らストレスを感じることはない。一般道はもちろん高速道路でも、2000rpm強まで回せば余裕を持って巡航することができる。
ただし、ホットハッチらしいと言うべきか、特に冷間時のシフトショックはやや大きめ。195/45R17 81Wのコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5も温度依存性が高く、コンパウンドが暖まらないうちは路面の凹凸を正直に拾い、ロードノイズも大きめだった。
一方で風切り音は速度域が上がっても小さく、エンジン音も最大トルクを発生する2500~3500rpm以下ではロードノイズに打ち消されるほど。むしろ高速域では風切り音がロードノイズを打ち消すのか、耳障りな雑音が減り、快適性は増すように感じられた。
そして、長距離長時間の高速走行時に役立つものと期待されるのが、サイド&カーテンエアバッグ、リヤシートベルトプリテンショナー&フォースリミッターとともに「セーフティパッケージ」として、6速AT車のみならず6速MT車にもオプション設定される、予防安全装備の数々である。
フロントガラス上部の単眼カメラとレーザーレーダーにより、歩行者にも対応する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」や誤発進抑制機能(6速AT車のみ)、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト機能を備えたほか、新たに車線逸脱抑制機能を追加している。
さらに、フロントロアグリル右側のミリ波レーダーによって、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を実装。セーフティパッケージ装着車のオプションとして、全方位モニター用カメラも設定した。
事故のリスクに対する警報は、他のスズキ車と同様に音が大きくメーター表示も派手で、居眠り運転していたとしても即座に目が覚め、緊急回避の動作を取るのに大いに役立つ。ただし、トンネル出口での逆光や対向車のハイビームなどでデュアルセンサーブレーキサポートが誤作動を起こしやすい傾向にあるため、障害物検知のプログラムを早急に改善する必要がある。
新たに追加された車線逸脱抑制機能は、軽くステアリングを握っていればハッキリ体感できるほど積極的に操舵アシストを行うため、自分の意思でクルマを操りたい時は煩わしく感じるものの、楽に巡航したい時は疲労軽減に寄与してくれる。
このクラス、特にホットハッチとしては珍しいACCは、1.4Lターボ&6速ATの大トルクと高レスポンスのおかげで小気味よく加速してくれる一方、車間距離を最短の設定にしても大きく取り過ぎる傾向にある。特にスイフトスポーツは車重が軽く制動力も高いため、周囲の車両の流れに取り残されず後続車を滞らせないよう制御をチューニングすることは可能なように思われた。
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