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770psを発生するV12、驚異の空力、エアロベクタリング、軽量化などなど、トータルで仕上げた走行性能 ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJは5000万円だけど宇宙船より安い? これは摩訶不思議な乗り物だ!

  • 2018/09/24
  • GENROQ編集部 吉岡 卓朗
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いよいよコースインしてみる

 試乗は4周を3セット行われる。最後の1周はクーリングラップだ。エストリルは古い部類に入るサーキットだが、2000年に改修を受け、昔ほどではないが速いコーナーがある割に壁が近い。車速が全長約1kmのストレートでどれほど車速が伸びるか楽しみだ。
 
 6.5ℓV12自然吸気エンジンの最高出力はアヴェンタドールSVの750psを20ps上回る770psまで高められているが、それは様々な新技術の賜物だ。チタン製インテークバルブを初導入したり、ピストン、フライホイールを軽量化することでエンジンの摩擦と慣性を抑制し、正確でレスポンスの鋭いレーシングカーのような仕上がりになったと謳う。もちろんサウンドも大事だ。それでも北米カリフォルニアの騒音規制もクリアしているという。V12のレッドゾーンは8750rpmだが、リミッターは8500rpmから作動するので注意が必要だ。

 もちろん、車両は出力だけでなく、トータルで仕上げなければならない。車重も大切な要素である。軽量化にも注力し、乾燥重量はノーマルのアヴェンタドールSより50kg軽い1525kg。結果パワーウェイトレシオは1.98kg/psとなった。0-100km/h加速は2.8秒、最高速度は351km/hという。加速はこれまでの究極モデルたるアヴェンタドールSVと同値だが、出力とドラッグの低減から記録は細かく見れば、伸びていることに疑いの余地はない。間違いなくランボルギーニ公道最速仕様のマシンである。

 実際に走ると、高出力V12の出力も大事だが、音も重要な要素だと感じた。0-100km/h加速で2.8秒などのスペックは問答無用で世界最高峰クラスの速さだが、ハイスピードに至るまでの過程で奏でられる音は、非日常としか言いようがない。カリフォルニアで認められても、日曜の住宅街では認められないだろう。
 
 パラボリカという長い右コーナーを立ち上がると約1kmのストレートがある。コーナリングを手加減してくれるインストラクターの先導車(同じくSVJだ)にぴたりとくっついていくと、恐ろしいほどスリップストリームが良く効く。ぐいぐいと引き寄せられるように加速し270km/hを超えるが、先導車が余裕をもったブレーキをするためマキシマムブレーキは試せない。300mほど手前からアクセルを戻していく。この1日で多くの参加者がいるのだ。このハイスピードサーキットで何度も限界ブレーキを試させるわけにはいかないだろう。筆者の試乗時には、ややスポンジーになりかけたブレーキを踏み込む。ストロークさせるタッチは好みの分かれるところだが、試しに思い切りブレーキを踏むと減速度がかなり高いことがわかった。

 高回転ユニットとハイギアードなアヴェンタドールのギア比が相まって、コーナーではイメージしたギアの1段下を選択することになる。3速で入りたいコーナーは2速で曲がることとなる。シングルクラッチのいわゆるロボタイズドMTはDCTのように瞬間的な変速はしないし、ワイドなギア比もあって、コーナーの曲率や次の展開にあわせて自分でシフトした方が走りのリズムはつかみやすいと感じた。

 ESCのモードは最初はオン、次にスポーツ、最後にコルサを試した。ドライビングモードはサーキット用のコルサで走った。荒い運転をするとESCスポーツでは多少介入が穏やかになったが、ESCコルサにするとさらに自由度が増すが、スピンさせるような大入力は試せなかったのでどこまで許してくれるのかはさらなる検証が必要だろう。ドライビングモード・コルサはコーナーでの安定性を高めてサーキットでのタイムを出すモードだからかだろうか、低速コーナーでターンインの際にじゃっかんアンダーステアが感じられたが、中高速コーナーでは気持ちよく、安心して曲がっていけた。

 ただしサーキットが2週間前に舗装を張り替えたばかりで、まだ油が多く浮いているため、低速コーナーでのアンダーもそれが影響していたかもしれない。タイミングが悪かった。なおタイヤは専用のピレリPゼロ・コルサで、サイズはアヴェンタドールSと同等である。

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