RFが見せてくれるスポーツカーの愉しさには他の何者とも異なる価値がある マツダ・ロードスターRF、スポーツカーとしての評価は?vs BRZ/124スパイダー/ND型
- 2019/03/29
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MotorFan編集部
「ロードスターからの派生」3台それぞれに異なる味わい
一方、「ソフトトップを備えたマツダ・ロードスターも魅力的ではあるけれど、ちょっと“軽過ぎる”雰囲気が気にかかる……」と、そんな人にとって、大いに気になる存在となりそうなのが124スパイダー。
フラットなノーズが長く伸びたプロポーションは、低さが目立つマツダ・ロードスターとはまた異なる魅力をアピール。ターボチャージャーがアドオンされブーストが高まると、マツダ製1.5ℓエンジンとは別次元の太いトルクを発する“さそりマー クの心臓”は、回転数を激しく上下させるワインディングロードなどよりも、長時間の高速ツーリングにより適任と、ここでもやはりマツダ・ロードスターとはその性格を大きく異にする。
それでは、マツダ・ロードスターのファミリー内でソフトトップ版とRFを比べた場合はどうなのか?現状ではRFにのみ搭載される2.0ℓエンジンが、重量増加のハンディキャップを乗り越えて、よりゆとりある動力性能を提供してくれることも間違いない。
だが、仮に、の話、ソフトトップ版に搭載される1.5ℓエンジン、RFに搭載される2.0ℓエンジンが今後双方で“融通”をされるようになったとしても、どちらを選ぶか、と迷う人は、ごく少数に過ぎないと考えられる。
■四車四様の搭載エンジン
ロードスターRF:2.0ℓ直列4気筒
北米仕様のロードスターに搭載されていた2.0ℓエンジンがRFの心臓。+500㏄の余裕は、追い越し加速時に明らかな違いとなって現れる。サウンドチューンは1.5ℓ同等で、アクセルを踏み込んでいった時の昂揚感は変わらず。
ロードスター:1.5ℓ直列4気筒
1.5ℓという排気量からイメージする物足りなさは、一度走らせれば氷解する。軽量ボディと相まって、エンジンを回して速さを引き出す楽しさに没頭してしまうからだ。MTと組み合わせた時の爽快感は随一のものがある。
アバルト124スパイダー:1.4ℓ直列4気筒ターボ
今回試乗した中で、唯一のターボエンジン。4台中最小の1.4ℓの排気量から、4台中最大の25.5㎏mのトルクを生み出す。そのスペックを活かした走りは、ロードスターとは異なる、まさにアバルトだけのフィーリング。
BRZ:2.0ℓ水平対向4気筒
2016年の大幅改良で、MT仕様は7㎰/0.7㎏mのアップを果たした。特に4300rpm以下の全域でトルクが向上しており、4.300に下げられたファイナルと相まって、アクセルを踏み込んだときの力強さは数値以上のもの。
RFはロードスターに新たな価値観を加えた
ライトウエイトスポーツカーならではの軽快な身のこなしと、色濃い“人とクルマの一体感”を求めるユーザーに対しては、推奨すべきは一瞬の迷いもなく従来から存在するソフトトップバージョン。
一方で、本格的なクーペとしての高い静粛性やよりしなやかな乗り味を味わいつつ、好むとなればスイッチひとつでオープンエアモータリングを“オプション”として楽しむことができる贅沢さを望む、となれば、そこではRFで決まりということになるわけだ。
巷からは、「300万円を遥かに超えるロードスターなんて、高価に過ぎる」という声も聞こえて来る。確かに、歴代のソフトトップを備えたマツダ・ロードスターを基準に考えれば、そういう評価になってしまうかも知れない。
けれども、ソフトトップ版では決して実現されることのない優美なクーペとしてのルックスと、“ふたつの ボディ”が備える特徴を一挙両得できることを思えば、それがこの価格で手に入るのは、むしろ大変なプレゼントという見方も成立することができるだろう。
いずれにしても、ロードスター元来の「操る楽しみ」に加え、ソフトトップ版を大きく凌駕するレベルで「所有する歓び」を上乗せしてくれた新しいロードスターが、RFというモデルなのである。
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