マツダCX-30の妙:都市部でも扱いやすいサイズと快適な室内空間を両立 マツダCX-30:CX-5と同等の前席乗員空間を確保しつつ、全長はMAZDA3から-65mmという絶妙のパッケージ
- 2019/11/07
- Motor Fan illustrated編集部
マツダ新世代商品にまったく新しいモデルが加わった。CセグのMAZDA3をベースとして生み出されたクロスオーバーSUVであるCX-30は、”ありそうでなかった”独自のポジショニングでヒットを狙う。
TEXT:松井亜希彦(MATSUI Akihiko/MFi)
PHOTO:MAZDA/MFi
FIGURE:MAZDA
MAZDA3から始まるマツダの新世代商品、その第2弾となるクロスオーバーSUVのCX-30(シーエックス サーティー)が、国内市場に早くもデビューした。今年5月のMAZDA3販売開始から、わずか5ヵ月での登場となる。グローバルに成長を続けているSUV市場を見据えて、マツダのラインアップに加わったまったく新しいモデルであり、プラットフォームはMAZDA3と基本構成が共通の、リヤにトーションビーム式サスペンションを持つタイプを採用している。
特徴的なのは、そのパッケージング。都市部での扱いやすさを考慮して、全長を4400mm以下にすることを目標に開発が進められた。その結果、ホイールベースはMAZDA3の2725mmに対して2655mmに短縮され、全長もMAZDA3ハッチバック車の4460mmに対してCX-30は4395mmと、65mm短くなった。
しかし、ゆとりある室内空間を実現するために前席着座位置を少し高く設定してフットスペース長を抑え、前後シートのタンデムディスタンスはCX-3に対して26mm拡大している。加えて後席はヒップポイントとフロアを低くすることで空間にゆとりをもたせ、頭上空間もCX-3から約20mm拡大。バックウインドウ下端を後退させてDピラーを寝かせることで、ルーフ後部をあまり下げずにクーペ的なサイドビューを実現したデザインと、後席上部の内装部品の細かな見直しにより、この空間が生み出された。
さらに数値だけでなく、各シートの着座位置を最適化することで前後席の乗員の顔が見えやすいレイアウトも実現。ひとりひとりにゆとりあるスペースを確保しつつ、移動中のコミュニケーションが取りやすい室内空間としている。シート間のコンソール大型化やアームレスト幅の拡大と相まって、「ドアを開けた瞬間に広さを感じる」空間を実現した。
こうした快適性、使い勝手を重視して生み出されたCX-30のパッケージングは、近年の市場動向にもよる。マツダはクロスオーバーSUVが今後の主流となるカテゴリーに成長すると予想。だからこそ、ほぼ同時並行で開発が進められた兄弟モデルであるMAZDA3はデザインを優先させ、とくにハッチバックは往年のスペシャリティカー的な存在として、異例に低いボンネットや後席の頭上空間など割り切ったのだと推測できる。従来は派生車種と見られていたクロスオーバーSUVが、今後はニッチではなくメインとなる可能性が高い。
CX-30のパワートレーンは2.0ℓガソリンと1.8ℓディーゼルが先行して10月24日から販売開始。火花点火制御による圧縮着火の注目のガソリンエンジン、SKYACTIV-X 2.0ℓも来年1月以降に導入される予定だ。今後の主流となることを期待されているモデルに相応しい、充実したエンジンバリエーションが用意されている。
MAZDA3と同等の運動性能を目標に
人間に備わったバランス能力を発揮できる状態を目指して、シートとシャシーを連携させることを狙ったボディ基本骨格はMAZDA3と共通のもの。路面からの入力を特定の部位へ集中させ、減衰力を持つ接着剤接合部で振動・騒音を抑える「減衰節」も備えている。
体格を問わず乗降が楽な高さを吟味
前席のヒップポイント高は約600mmに設定。大柄な欧米人には低過ぎず、小柄なアジア人でも高過ぎない、乗降時に大きな筋負担を感じない値とした。ペダル配置自体はMAZDA3と同じだが運転者の足の角度が変わるため、アクセルペダルはブラケットで、ブレーキ/クラッチペダルはパッド高と角度で調整している。
CX-5と同等の前席左右間距離を確保
さらに進化した4WDシステム
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