史上最強のルノー・メガーヌR.S.トロフィーに乗り、筑波で本気を出してみる|スポーツカー試乗記@サーキット
- 2019/11/09
-
MotorFan編集部 小泉 建治
やはり4コントロールの威力は絶大!
R.S.ドライブ(選択式ドライブモード)は「スポーツ」にセットし、DCTをマニュアルモードにしてコースインする。
まず感じるのは、4コントロールと呼ばれる四輪操舵システムの恩恵だ。これは60km/h(レースモード選択時は100km/h)以下ではリヤホイールを最大2.7度の逆位相とすることで旋回性を高め、60km/h以上では最大1.0度の同位相として安定性を高めるもの。
スタンダードのメガーヌR.S.にも搭載されているものだが、とにかくこいつが秀逸だ。
筆者を含む初〜中級ドライバーだと、とくにヘアピンのように回り込んだコーナーでしっかり向きを変えることができず、盛大なアンダーステアを発生させることが少なくない。そんなとき、FFではアクセルを戻して待つしかないはずだが、メガーヌR.S.の場合は切り増しすれば曲がってしまう(もちろん限度はあるだろうけれど)。だから、ターンインに失敗したくせにアクセルを早めに開け、あたかも「最初からこう走るつもりだった」みたいな涼しい顔をして立ち上がることができてしまうのだ。
そして早めにアクセルを開けられることがわかると、今度はその開ける量が増えてくるのがクルマ好きの性というものだが、スタンダード比で21psも増えたパワーを叩きつけてもタイヤはガシッと路面を掴み続け、ゴリゴリと加速する。機械式トルセンLSDの恩恵だろう。
こうなると、ますます危うくなってくる。ガンガン踏めてしまうから、どんどんペースが上がってしまう。筆者のようにたまにしかサーキットを走らないライトな愛好家は、こういうときこそ注意が必要だ。
だがしかしメガーヌR.S.トロフィー、筆者が多少調子に乗ったくらいではまったく破綻するそぶりを見せない。
とりわけバックストレートから最終コーナーへの安定感が抜群だ。ストレートエンドでのトップスピードは175km/hほどに達したが、ここから右に舵を当てると、コーナリングというよりも直進し続けているかのような安定感で、終始落ち着きを失わないままメインストレートにノーズを向けてゆく。これは前述の4コントロールにより、後輪が同位相に作動していることが効いているのだろう。タイトコーナーでの強烈な旋回力からは想像できないような安定っぷりだ。
トロフィーのみならず、メガーヌR.S.にはHCC(ハイドリック・コンプレッション・コントロール)が採用されている。これはダンパー底部にセカンダリーダンパーを内蔵することで、通常のバンプストップラバーのような反力や振動を発生させないものだ。
ただ、筆者が感じたのは、サスペンションがフルボトムしたときではなく、ギャップに乗った瞬間のアタリの柔らかさだったから、これはスプリングレートやダンパーそのものの柔らかさに起因するものと思われる。
驚くべきことに、実はこれも4コントロールの恩恵らしい。
4コントロールの採用によって旋回性と安定性を確保できたため、狙ったダイナミクス性能に対してサスペンションを柔らかめに設定できたというのだ。
電制ダンパーを使わず、四輪操舵によって走行性能と快適性能を両立させる。なんともルノーらしいアプローチではないか。
もちろん足がよく動くことは快適さのためだけでなく、路面追従性の向上にも寄与する。けっして路面状態が良好とは言い難いニュルブルクリンク・ノルトシュライフェでのタイム短縮を狙えば、自ずとこういった方向にセットアップされるのだろう。
思えばライバルの現行ホンダ・シビック タイプRも乗り心地はすこぶるいい。あちらは電制ダンパーを採用しているが、アプローチこそ違えどターゲットは同じということだ。
試乗を通じて感じたのは、スタンダードのメガーヌR.S.やGTにも採用されている4コントロールの効果がいかに絶大で、セッティングが秀逸かということだった。エンジンスペックが向上され、シャシーにも手が入れられることで全体のペースが引き上げられたトロフィーでも破綻することなく、ドライビングの大きな手助けとなってくれている。
そしてこれだけ安心できるのに、まったくドライビングプレジャーを削がれていないスポーツカーも珍しい。以前、スタンダードのメガーヌR.S.をレーシングドライバーのミハエル・クルムに試乗してもらったとき、「このクルマを作った人たちは、本当にサーキット走行が好きなのだろう」と語っていたことを思い出した。
ルノー・スポールのトップガンドライバーであり、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで7分40秒1の最速タイムをマークしたロラン・ウルゴンは、もちろん超がつくほどのカーガイだ。彼がまたしてもいい仕事をしたのは間違いない。
ルノー・メガーヌR.S.トロフィー EDC/MT
全長×全幅×全高:4410×1875×1435mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1470/1450kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:1798cc
ボア×ストローク:79.7×90.1mm
圧縮比:8.9
最高出力:221kW(300ps)/6000rpm
最大トルク:420Nm/3200rpm/400Nm/3200rpm
トランスミッション:6速DCT/6速MT
フロントサスペンション形式:マクファーソンストラット
リヤサスペンション形式:トーションビーム
乗車定員:5名
タイヤサイズ:245/35R19
ハンドル位置:右
WLTC複合燃費:12.4km/L/13.4km/L
車両価格:499万円/489万円
〈ホンダ・シビック タイプR & ルノー・メガーヌR.S.カップで妻籠宿と馬籠宿を目指す700kmロングドライブ〉ニュル最速を争う2台でまったり木曽路を走ってみた───実燃費も明らかに
ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェでFF市販車最速の座を争っているシビック タイプRとメガーヌR.S.で、あえてのんびりま...
激走1200km! 新型ルノー・メガーヌR.S.で燃費計測【Renault Megane R.S.】
日本に上陸したばかりの新型ルノー・メガーヌR.S.で、早速ロングドライブを敢行した。 FF最速を標榜し、サーキット走行に主眼...
- 前へ
- 2/2
|
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
ルノー メガーヌ
ルノー スポール 後期 1オーナー CarPlay&AndroidAuto LEDオートライト ...
中古価格 343.9万円
ルノー メガーヌ
ルノー・スポール トロフィー AppleCarplay/リアスポイラー/ステアリングスイッチ/バ...
中古価格 287.8万円
ルノー メガーヌ
ルノー スポール RAYS/VOLKRACING19AW KW車高調 純正OPナビ&地デジ FO...
中古価格 195.3万円
ルノー メガーヌ
ルノー スポール ワンオーナー シートヒーター ブレンボブレーキキャリパ-AppleCarpla...
中古価格 412.7万円
ルノー メガーヌ
ルノー スポール ワンオーナー RS専用シート ブレンボブレーキキャリパー AppleCarpl...
中古価格 465.7万円
ルノー メガーヌ
R.S.ウルティム ワンオーナー 1976台限定 BOSEスピーカー 純正レカロシート ブレンボ...
中古価格 511.7万円