Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • モーターファンテック
  • モーターファンバイクス[Bikes]
  1. TOP
  2. カタログ
  3. トヨタ|TOYOTA
  4. スープラ

FR&直6の本格派で東京都内から鈴鹿峠・関宿までの往復約900kmを走り、高速道路・ワインディング・一般道での実力を検証 【新型トヨタ・スープラRZ:900km試乗】その高いGT性能に陰りなし! ピュアスポーツの走りも兼ね備えた“ドライビングマシーン”

このエントリーをはてなブックマークに追加
鈴鹿峠を走る新型スープラ。セッティングの決まったレーシングカーのように、スポーツドライビングに集中できる環境がそこにはある

では、ワインディングと一般道での実力は?

 亀山ICを降りた後も引き続きスープラに乗り続け、いよいよワインディング、鈴鹿峠へ。ここは片側二車線の区間が大半を占める珍しい構造で、またそれ故に中高速コーナー主体となっているのだが、ここでの新型スープラはまさに「水を得た魚」だった。

新型スープラRZのシャシーおよびパワートレイン。タイヤはミシュラン・パイロットスーパースポーツ

 ボディ剛性の高さと重心の低さ、ホイールベース・トレッド比の低さはここで遺憾なく発揮され、絶対的なグリップ限界が高いのは言うに及ばず、ステアリングやペダルの操作に対し、クルマが極めてレスポンス良くリニアに反応してくれる。また旋回中に大きなギャップを乗り越えてバウンドしても、素早く一回で車体の動きが収束するため、絶大な安心感を持ってコーナーに飛び込めるのだ。

適度なタイト感が心地よいコクピット。ただし各スイッチ類のデザインと操作ロジックはBMWそのもの

RZにはレッドの本革とアルカンターラを組み合わせた電動スポーツシートを装着
 もっともこれは、ボディ・シャシー性能の高さだけではなく、適度にタイトなコクピットと、ゆとりのあるサイズでフィット感にも優れるスポーツシート、絶対的な効きとペダルタッチの剛性感ともに申し分ないブレンボ製ブレーキも、少なからず功を奏しているだろう。

アクティブディファレンシャルの内部構造
アクティブディファレンシャルの差動イメージ

 なお、RZグレードには電子制御ダンパーやアクティブディファレンシャルが標準装備されているのだが、その制御に違和感を覚えることはなく、むしろ黒子に徹している印象。また、ドライビングモードを「SPORT」に切り替えても変化の幅は大きすぎず、サスペンションの硬さ、ステアリングの重さ、アクセルレスポンス、ATの変速頻度とも、ほど良くスポーティになる程度だ。

 しかもATは、アクセルペダルの踏み込み量が少ない時は標準モードと同様にシフトアップを積極的に行うため、「SPORT」モードのままゆっくり走ってもエンジンノイズは少ない。燃費への悪影響も最小限に抑えられるだろう。無論マニュアルモードも実装されているため、MT車と同様に任意のギヤとエンジン回転数を選んで走ることは可能だが、これだけATの制御が賢ければ、敢えてマニュアルモードを使う必要もないように思えた。

関宿の中を縫うように走る新型トヨタ・スープラRZ。車両感覚は若干掴みにくいため、すれ違いなどの際には気を遣う

 その後は東海道にあって唯一、江戸時代の情緒を色濃く残す宿場町、関宿へ。40km/h以下の低速域で走ることが多く、かつ大きな凹凸に加えひび割れた路面も多かったこの区間では、それまでの印象がガラリと変わる。突き上げやフロアの振動が明確に強まるのは、中高速域での安定性を考えれば納得できるレベルではあるものの、同じような粗粒路を走ってもロードノイズが高速域よりむしろ大きく感じられた。

 高速域では空気の流れでロードノイズを打ち消しているものと思われるが、いずれにせよ低速域での快適性は決して高くはなく、この点では先代よりも後退しているのが残念に思えてならない。

 また、外観上は大きく盛り上がっているように見えるフロントフェンダーも、運転席から覗くと思いのほか平坦で、前輪の位置と左右の幅を掴みやすくする形状には決してなっていない。この点は先代スープラも同様だったのだが、全幅が55mm拡大されたうえダッシュボードが高く、またガラスエリアも小さくなった影響で、関宿の狭い道で対向車とすれ違うのは決して容易ではなかった。

 翌日の帰路はとんでもない豪雨に見舞われた。限りなく50:50に近い前後重量配分と短いホイールベース、そしてフロント255/35ZR19・リヤ275/35ZR19というファットなタイヤを履いているのだから、深い轍や水たまりでは80km/h程度でもハイドロプレーニングに注意する必要があるだろう。また、斜め後方の死角が大きいため、ドアミラーやルームミラーを頼れないこうした状況では、車線変更の際に少なからず気を遣う必要があった。

新型トヨタ・スープラRZ

 そろそろ結論に入ろう。新型スープラRZは、ピュアスポーツカーの運動性能とコントロール性、GTの高速巡航時の快適性を兼ね備えた、ドライビングマシーンである。

 見た目はこの上なく自己主張が激しいものの、走りや運転環境においてピーキーで気に障る点は少なく、ドライバーが余計なことを気にせず運転に集中できる環境が極めて高い純度で整えられている。

 新型スープラRZの車両本体価格は700万円を超えており、頑張れば若者でも何とか手に届くような価格帯では、最早なくなっている。だがその価格相応以上の価値があることに、疑いの余地はない。

【Specifications】
<トヨタ・スープラRZ(FR・8速AT)>
全長×全幅×全高:4380×1865×1290mm ホイールベース:2470mm 車両重量:1520kg エンジン形式:直列6気筒DOHCターボ 排気量:2997cc ボア×ストローク:82.0×94.6mm 最高出力:250kW(340ps)/5000rpm 最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-4500rpm WLTC総合モード燃費:12.2km/L 車両価格:702万7778円

おすすめのバックナンバー

自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア

「自動車業界を支える”エンジニアリング“ 、”テクノロジー”情報をお届けするモーターファンテックの厳選転職情報特集ページ

motorfuntech

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。 一覧へ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ 一覧へ

Motor-Fanオリジナル自動車カタログ

自動車カタログTOPへ

Motor-Fan厳選中古車物件情報

中古車TOPへ