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フォルクスワーゲン ゴルフGTI TCRは、エンディングに表れた史上最強GTI!? 単なるコスメチューンと思ったら大間違い!

  • 2020/04/02
  • 大音安弘
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限定600台が上陸する「史上最強のGTI」と呼ばれるフォルクスワーゲン ゴルフGTI TCR

次世代モデルとなるゴルフ8の足音が聞こえた出した今、それは同時に現行型ゴルフ7の熟成を意味する。そのタイミングで、昨年末に投入された最新ゴルフがGTIの限定車「TCR」だ。このモデルは、日本でも開催される世界ツーリングカーカップ(WTCR)参戦車のストリート仕様となるモデルだが、日本の歴代ゴルフGTIの中では、史上最強を謳う。まさにGTI最終進化系ともいえるTCRは、一体どのようなマシンへと鍛え挙げられたのだろうか。

REPORT&PHOTO 大音安弘(Yasuhiro Ohto)

控えめだが只ならぬ雰囲気を漂わせるスタイル

 ゴルフGTI TCRは、WTCR参戦マシンをモチーフに、ストリート仕様に仕立てた限定車だが、レーシングカーを彷彿させる派手さとは無縁で、意外とシックに纏められている。派手さで言えば、人気となった限定車「ゴルフGTI クラブスポーツ」に譲る。

 実際、ベースとなるゴルフGTIとのエクステリアの違いも、限定的だ。ブラック仕上げのエアロパーツ類とドアミラー、そしてルーフ。アルミホイールは、専用もマットブラック仕様の19インチホイールを装備する程度だ。しかし、実車を見ていくと、ルーフのリップスポイラーに象徴されるように、控えめながら、バランス良くエアロパーツが配されているのがわかる。その質実剛健な装飾が、隙のない独特な雰囲気を醸し出し、このモデルがストリートファイターであることを訴える。専用色として用意されるピュアグレー×ブラックルーフの組み合わせも、実にシブイ。

意外にも控えめな専用エアロパーツ。意外と大人な演出なのだ

専用シートが彩るコクピット

 インテリアは、赤いストライプが印象的なスポーツシートにより、華やかさが加えられた。シート形状こそ標準車同様だが、デザインは専用品となり、チェック柄の中央に赤い3本のストライプを這わせる。生地は、ファブリックとマイクロフリースのコンビとし、シート上部に「GTI」のロゴが入るのもスペシャルなところ。フリース素材の効果により、よりフィット感も高まっているようだ。さらに、センターを示すラベルのステアリングと赤のステッチ入りのシフトレバーが専用アイテムとして奢られる。

 限定車だけに、装備もてんこ盛りの豪華仕様となる。内容的には、性能と装備を高めた「GTI パフォーマンス」と同等の内容を含んでおり、デジタルメーターパネルやナビゲーションシステムなどを標準化している。

ステアリングセンターを示すリボン付きの専用ステアリングを装備。さらにナビやデジタルメーターも備える
専用デザインのファブリックとマイクロフリースのコンビとなるスポーツシート。形状自体はGTIと同様だ。

拘りの専用チューンで強化させれたメカニズム

 正直、見た目の違いは、かなりライトだ。しかし、メカニズムとなると話は一変する。2.0L直列4気筒ターボエンジンは、新開発の専用品で、最高出力290ps、最大トルク380Nmを発揮する。GTIと比較すると、出力で60ps、トルクで30Nmをそれぞれ向上。もちろん、GTIパフォーマンスと比べても、出力で45ps、トルクで10Nmの高められている。VWによれば、日本導入のGTIのなかでは、最も高性能だという。これにクルマ好きの心を揺さぶるアクラポビッチ製チタンエキゾーストシステムを組み合わせる。

 脚周りと駆動系もGTIパフォーマンスにも搭載される強化アイテムを取り入れ、アダプティブシャシーコントロール”DCC”と電子制御油圧式ディファレンシャルロック、湿式7速DSGなどを備える。ブレーキについては、GTIパフォーマンス同様、フロントが「GTI」ロゴ入りキャリパーとなるが、フロントディスクをドリルドタイプに変更。ブレーキ自体にも専用チューニングが加えらているようだ。

専用開発となる新エンジンを搭載。そのスペックは、日本仕様GTI最強となるものだ

刺激的だが、ゴルフらしいオールマイティな走り

 TCRの走りは、まさに驚きの連続だった。まず意外にも乗り心地が良いのだ。事実、一般道で後部に人を乗せてみたが、GTIでありながら、その快適さに驚いていた。これも電子制御可変ダンパーの働きのおかげ。ノーマルモードでも不満はないのに、さらにコンフォートモードも用意される。いずれかのモードを選んでおけば、同乗者から不満の声は聞かれないはず。

 試乗で、TCRの本領を垣間見たのは、高速道路。まず合流や追い越し加速では、強烈な加速力が味わえ、伊達に専用エンジンを搭載していないことを痛感させる。意外にも、アクラポビッチは静かで、高速走行時はあまり気にならない。ただドライブモードで「スポーツ」を選ぶと、内部のフラップが機能するようで、アクセル操作と連動し、フラップの開閉による音の差が表れる。自慢のアクラポビッチサウンドを楽しむなら、コースは、ワインディングやトンネルが適しているようだ。

 高速域で感動的なのは、スタビリティの高さ。まるで張り付いたかのように路面を捉え、駆け抜けていく。足回りは、「ノーマル」モードでも十分だが、「スポーツ」を選ぶと、よりマシンの動きがダイレクトに伝わり、ドライバーとの一体感は高まる。しかし、乗り心地が不快となることもなく、作り込みのレベルの高さを感じさせる。決して、単にスパルタンな足とはしていないことに好感を抱いた。TCRというレース由来のモデルだが、ツアラーとしても十分活躍してくれるだろう。GTI魂はしっかりと受け継がれているのだ。

足回りの味付けは、スポーツ性を高めながらも、大人な仕上げ
普段は意外と大人しめのアクラポビッチ製のマフラーだが、もちろん、刺激的な一面も見せてくれる

これが7GTIの完成系か!?

 想像よりも懐深い大人な顔を見せてくれたTCRだが、60psアップが生む刺激的な加速、デファレンシャルロックとDCCのコンビネーションが実現したスタビリティの高さは、間違いなくドライバーを虜にする。個人的には、GTIのベストは、刺激的なスタイルと性能を強化した「GTIクラブスポーツ・トラックエディション」であったが、トータルの満足度でいえば、TCRは同等、いや超えるかもしれない。ゴルフGTIが欲しいなら、黙ってTCRにしておけと言いたくなるほどだ。価格は、509.8万円。GTIよりも、約90万高と聞くと高価だが、GTIパフォーマンスの31万円高と考えると、お得感は充分ある。

 最後の特別仕様のGTIと思われるTCRは、まさに究極のGTIだ。もちろん、次期型GTIは、新たな一面も見せてくれ、TCRを超える仕様も登場するだろう。しかし、時代の流れを考慮しても、クルマ臭さは、ゴルフ7の方が強いように思えてならない。ポルシェイーターを目指したGTIの原点を彷彿させ、クルマ臭さの強いTCRは、ゴルフ7のフィナーレに相応しい、VWの技術者たちからの最高の贈り物だと思う。

ドアを開閉すると、現れるTCRのライティング

フォルクスワーゲン ゴルフGTI TCR
全長×全幅×全高:4275×1800×1465mm
ホイールベース:2635mm
車両重量:1420kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
排気量:1984cc
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
圧縮比:9.3
最高出力:213kw〈290ps〉/5400~6500rpm
最大トルク:380Nm/1950~5300rpm
燃料タンク容量:50L
トランスミッション:7速DCT
駆動方式(エンジン・駆動輪):FF
サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡ4リンク
ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡベンチレーテッドディスク
乗車定員:5名
タイヤサイズ:235/35R19
WLTCモード燃費:12.7km/L
市街地モード燃費:9.2km/L
郊外モード燃費:12.8km/L
高速道路モード燃費:15.1km/L
車両価格:509万8000円

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