アナタが思うよりもF1に近い! ルノー・メガーヌR.S.トロフィーRは何から何まで本気すぎる ルノー・メガーヌR.S.トロフィーR……F1ジャーナリストを震撼させたテクノロジー【第1回:エンジン編】〈試乗インプレッション〉 PR
- 2020/02/15
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世良耕太
セナは無線で「ファンタスティック」を連呼した
ルノーは1985年にいったんワークス活動を休止し、1986年以降はエンジンサプライヤーとして活動を続けた。その86年、カスタマーのひとつであるロータスに若き日のアイルトン・セナが所属していた。セナはシーズン終盤のポルトガルGPでポールポジションを獲得する。当時を知るルノーF1のエンジニアは、かつて筆者にこんな思い出話をしてくれた。
「セナは無線で『ファンタスティック』と連呼しながら、ピット前を通過していったよ」と。
セナが操ったロータス98Tが搭載していたEF15B型1.5LV6ツインターボエンジンは、ポルトガルの予選で大容量ターボに交換していたため、1500psの最高出力を発生していたという。それと同列に語るなどおこがましいにも程があるが、メガーヌR.S.トロフィーRのエンジンは掛け値なしに「ファンタスティック」だ。「そういえば、これ、ターボエンジンだったよな」と、乗り終わった後に再確認したのが実際のところだ。
大幅な軽量化に負うところも大きいが、排気量が1.8Lしかないことが信じられないほど力があり、瞬発力がある。低回転域から力がもりもり湧く元気なエンジンだ。応答性は申し分ない。アクセルペダルを踏み込んでから一拍おいてグワッと力が湧き上がってくるなどという、ひと昔、いやふた昔前のターボの悪しき特徴を、メガーヌR.S.トロフィーRのターボエンジンはまったく受け継いでいない。だから乗り終えるまで、一切ターボエンジンであることを意識しなかった。
ファンタスティックな応答性をもたらす理由のひとつは、セラミックボールベアリングである。ターボチャージャーの損失の多くは、シャフトを支持する軸受け(ベアリング)部で発生する。円筒状のフローティングベアリングを採用するのが一般的だが、応答性を重視する場合は、フリクションの小さなボールベアリングを選択する例が多い。ボールベアリングが一般化しないのは、高コストだからだ。
このボールベアリングも、F1で鍛えられ、量産車に降りてきた技術である。しかも、メガーヌR.S.トロフィーRのボールベアリングはただのボールではない。応答性をさらに高めるため、ボールベアリングとしては一般的なスチールではなく、より軽く、より硬く、より滑らかなセラミック製のボールベアリングを採用しているのだ。ルノーの説明によれば、フリクションはスチールの3分の1にすぎないという。
フローティングベアリングからボールベアリングにするだけで、アイドル回転から目標トルクへの到達時間は20〜30%は向上する。効果大だ。そこからさらに、フリクションが3分の1小さいセラミックボールベアリングを採用しているのである。一体どんな応答性をもたらすのか、アナタは気にならないだろうか。筆者はしっかり体感できた。
さらにアクラポヴィチ製チタンエキゾーストは軽量化を主な狙いとして採用されたが、いかにもレーシーなサウンドも、メガーヌR.S.トロフィーRの価値を高めるのに大きく寄与している。
メガーヌR.S.トロフィーRは、まさに「ファンタスティック!」のひと言に尽きるのである。
「後編:シャシー編」に続く(近日公開予定)
■ルノー・メガーヌR.S.トロフィーR
全長×全幅×全高:4410×1875×1465mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1330kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:1798cc
ボア×ストローク:79.7×90.1mm
圧縮比:8.9
最高出力:221kW(300ps)/6000rpm
最大トルク:400Nm/2400rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇトーションビーム
ブレーキ:ⒻベンチレーテッドディスクⓇディスク
タイヤサイズ:ⒻⓇ245/35R19
ホイールサイズ:ⒻⓇ8.5J×19
ハンドル位置:右
乗車定員:2名
JC08モード燃費:13.0km/L
車両価格:689万円
メガーヌR.S.トロフィーRの詳細はこちらをクリック!(ルノー・ジャポン公式ホームページ)
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