新型トヨタ・ハリアー・デザイン考2 挑戦するカタチもまたハリアーらしさ
- 2020/04/17
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CAR STYLING編集部 松永 大演

21世紀に向けて、新たな挑戦状として登場したハリアー。2020年6月に新型が発表されることが公表され、4代目となる新型が登場することになった。ここでは現在発表されたプロトタイプの写真から、そのデザインでどんなことが行なわれていたのか想像してみよう。
ハリアーらしさを決定づけたアイデア

初代によって新たな市場を開拓し、市場にクロスオーバーというカテゴリーを定着させたのがハリアー。この新型のデザインは大胆でありながら、なおかつ初代ハリアーに対する敬意が感じられる。
ハリアーがなぜ成功するに至ったか? そこにはSUVの呪縛(あるいはセダンの呪縛)から脱したコンセプトがあったが、デザインのひとつのアイデアの採用も大きな後押しとなった。
そのアイデアが堂々としたグリルの下にもインテークを持つ、二段構成とする顔つきを採用したものだ。きりりとした顔つきと、SUVの力強さをうまくミックスした。その画期的なアイデアは2代目以降、3代目にも名残が示されている。
そして新型となる4代目では、3代目以降のバンパーにインテークからの冷却レイアウトを継承。アッパーグリルは3代目同様にガーニッシュとなっているが、先端にメッキのライナーを採用することでより象徴的な存在としている。それであっても、アッパーグリル下のインテークの存在も忘れてはいないあたり、初代への敬意を強く感じることができる。また、アッパーグリルの流れがボンネットに繋がっていく造形が美しく、4世代のなかでもっとも流麗な存在感を実現した。

フロントの印象からサイド造形への「予感」

「予感」という言葉で表現すればいいだろうか。フロントのデザインを見たときに期待されるサイドビューが、見事なかたちで表現されている。
これまでハリアーは、プレーンな造形を心がけてきていた。プレーンとは“簡素”などとも訳すことができるが、例えばわかりやすくいえばヨーグルトで砂糖を入れない“プレーンタイプ”みたいなことだ。ごちゃごちゃと手を加えずに、あっさりと作り上げること。これは初代開発時からの狙いでもあったようで、初代の初期デザイン案ではキャラクターラインを入れていないものも多く検討されていた。緩やかな面構成だけでカタチを作りたい、という思いが現れたものだ。
この一本も折れ線を入れない造形は、デザイナーやモデラーにとって、永遠のテーマのひとつでもある。というのも、実際に見たときのバランスや製造上の理由から、ラインを入れることがベターとなることも少なくない。
ハリアーに関しても、初代は結果的にはドア下に薄く折り目を入れてキャラクターラインとした。大きなドア面に対して、なかなか折り目のない面構成のリフレクションだけで締りのある造形を作るのは難しかったのかもしれない。しかし、そのプレーンさを追求する思いは、現行の3代目まで継承された。むしろ、3代目は最も強い思いとともにカタチづくられ、ある意味ベストな表現となったのではないだろうか。
ところがその3代目での、フロントやリヤとのバランスはどうだっただろうか? フロント&リヤ、サイドビュー共に基本的にはプレーンな柔らかい表情を守っている。その中にランプ&グリルといった強さを感じるエレメントを入れ込んでいるのが3代目だ。これがある種アクセントとなっている。
初代と2代目では、FFレイアウトを逆手にとってデザインの強みにしている。Aピラー(フロントピラー)を前進させて大きく傾ける。これまでの縦置きエンジンのクロカン四駆では、到底できない造形だ。クロカン系四駆が明確な2つの箱で構成され、力強く、堅牢なカタチを表現しているなかでは、ハリアーのプレーンさは確実に異次元感を表現できる手法となった。
新型ハリアーに与えられたプレーンさからの力強さ


しかし時代が進み成長したハリアーは、戦う相手も増えてきた。クロスオーバーモデルがワイドレンジに存在するようになると、ハリアーはもはや唯一の存在ではなくなってきた。中堅に位置する3代目ハリアーはそのプレゼンスを示すために、Aピラーを今度は後ろへ引いて、長いボンネットの存在感を強調。初代とはまったく真逆のプロポーションながら、期待されるあり方というものは、「風格」と「他を大きく引き離すスタイリッシュさ」だと判断したためだろう。それでも全体としてプレーンなテーマをベースとする考え方に、伝統あるハリアーとしての方向性を匂わせたかったのだと感じる。
対する新型では、プレーンという考え方から発展した力強さとして、現代にあるべきハリアーのカタチを模索していったように見える。
新型ではフロントからサイド、そしてリヤへと流れる造形を、実に素直にダイナミックに表現している。この点が、新型ハリアーの最大の見所だ。フロントフェンダーあたりからの緩やかで豊かな面が、後方に向かうに従いシャープな峰へと変化して行く。この動きは、これまでのハリアーにないほどの前傾のウエッジを表現。併せてリヤフェンダーのブリスター状の膨らみは、ガッチリとしたリヤタイヤのトラクションの強さを印象付ける。
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