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コンパクトSUV覇権の行方:日産・キックス/ホンダ・ヴェゼル/トヨタC-HR/マツダCX-30 個性派揃い!

  • 2020/08/16
  • ニューモデル速報
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ライバルもそれぞれに独自の個性が魅力を放つ

 シャシー性能に関してはC-HRもなかなかのものだ。SUVであってもスポーティに仕上げており、ハイスピードコーナリングも意外なほど得意。だからといって無用な硬さを感じさせるかといえばそんなことはない。TNGAによる新規プラットフォームは低重心化などで基本的な運動性能を引き上げており、なおかつC-HRはダンパーなどの質も高いので思いのほか高度なシャシー性能を持っているのだ。

 ハイブリッドに関しては世界で最も量販しているトヨタだけあって完後に乗ると、いささか古さを感じさせる。EV走行での巡航から少しアクセルを踏むだけでもエンジン始動して、それが少々やかましく、しかも回転上昇に対して望んだトルクが出てくるまでにタイムラグがある。静粛性に欠けるとともにレスポンスも今ひとつなのだ。

 ただし、トヨタのハイブリッドもカムリ以降の新世代ではエンジンも電気系も大いに改善されており、見違えるほどのレスポンスやドライバビリティ、スポーティさまで獲得している。C-HRでも実用上はまったく問題ないが、シャシーに見合った運転の楽しさを望むのなら新世代ハイブリッドへの換装を期待するのがいいだろう。

 モデル末期になっても売れ続けているヴェゼル。その理由は飽きのこないデザインを始めいろいろとあるが、走りにもあることを再確認した。プラットフォームの世代としては古いものの、幾度かの改良によって今でも一線級なのだ。キックスやC-HRに比べると、少しだけ入力感が尖っているかな? という気がするものの、決して不快ではない。スポーティでもあってバランスに優れたシャシー性能なのだ。

 ハイブリッドシステムはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)にモーターを組み合わせた1モーター式。走らせればあまり電気感はないものの、有段ギヤのDCTらしいリニアで気持ちのいい加速をみせてくれる。ホンダらしいのはエンジンサウンドもスポーティで、アクセルを踏むドライバーを楽しませてくれること。ゼロ発進では100%電気モーターのキックスに敵わないが、エンジンを高回転まで回した時には速さでも肩を並べる。もともとスポーツカーが好きだというドライバーからは歓迎されるシステムだろう。ただし、巡航走行などからシフトダウンが必要なぐらいの加速を要求した時には、アクセルを踏み込んでからトルクが立ち上がってくるまでのタイムラグが気になることもある。シフトダウンがそれほど素早くないからだが、そんな時はパドルシフトでマニュアル操作すればストレスもない。とにかくドライバー主体で、運転操作そのものも楽しむべきモデルなのだ。先進的なe-POWERに比べると古典的だが、これはこれでアリだろう。ところが、そう遠くない将来にでてくる次期モデルはe:HEVになる見込み。1モーター式がなくなってしまうのはちょっと寂しい気もする。

 CX-30は今回の中では0.5クラスぐらい上の存在だろう。ボディサイズとしてはわずかに大きいぐらいで、街なかでの使い勝手などはそれほど変わらないだろうが、価格的には1〜2割ほど上。プチプレミアムカーといったところなのだ。

 それもあってインテリアのデザインや質感などは4車の中で圧倒的に高く、ここだけでも20〜30万円程度のエクストラコストはまったく惜しくないと思える。

 シャシー性能でもやはり0.5クラス上という印象はあり、路面からの突き上げ感を上手に丸めた質の高い動きをする。ノイズに関しても絶対的に静粛性が高いだけではなく、何かが突出して耳につくようなことがないバランスの良さが光る。

 コーナーではマツダらしいハンドリングへのこだわりがうかがえた。サスペンションが突っ張るようなことはなく、ステアリング操作に対して極めてスムーズかつ素直にコーナリング姿勢に入っていきつつ、前後のタイヤをバランス良く接地させて高い横Gを発生させる。SUVだということを忘れさせるスポーティなハンドリングだ。これを快適な乗り心地と両立させているのが高度なところでもある。

 今回は唯一ハイブリッドではなく、ディーゼル+6速ATとなるが、街なかから郊外路、高速道路での日常を想定した走行での満足度は高かった。ディーゼルとしてはエンジン音が静かな部類で、ヴェゼルと同じく有段ギヤだけあって速度や負荷に対してリニアに増減するので自然な感覚なのだ。キックスのe-POWERはエンジン音が気にならないレベルではあるものの、ブーンっと一定回転で回っていることに少しだけ違和感がある。ただし、今となってはギヤが少ない6速ATというのが惜しい。巡航からちょっと強めの加速に移ろうとする際など、シフトダウンを伴うと思いのほか回転数が高まったりするからだ。

 また、低・中回転ではトルクが厚くて頼もしいディーゼルだが、相対的にパワーはあまりないので、いざアクセル全開にしてもそれほど速くはない。それに比べるとe-POWERは超低回転から分厚いトルクがありながら、全開時のパワーも十分。日常域で感じる頼もしさが、ハイスピード域でも持続するのが魅力となっている。

TOYOTA C-HR HYBRID G

荷室容量や後席の視界など一部実用性を割り切り、SUVとは思えないスポーティなアピアランスを手に入れたC-HRは、ニュル24時間レースに参戦するほどの走行性能の高さも備える。これほど尖ったキャラクターのモデルながら、常に1、2を争う販売台数を誇る人気モデルだ。

直列4気筒DOHC/1797㏄ 
最高出力:98㎰/5200rpm[モーター:72㎰]
最大トルク:14.5㎏m/3600rpm[モーター:16.6㎏m] 
WLTCモード燃費:25.8㎞/ℓ
車両本体価格:299万5000円

ライバルの今後の動向により競争はより激化していく

 今回試乗した4台はどれも優秀で、日本のコンパクトSUVの充実ぶりを確かめることができた。シャシー性能は少しずつ違うが、トータルでは大差はない。キックス以外の3台は乗り心地に不満がない上でスポーティでもある。キックスは街なかでの乗り心地が得意。スポーティさは他ほどではないものの、シャシー制御が効果的なので楽しさがある。上質感だけはCX-30が頭ひとつ抜けている。

 パワートレーンは4車4様だった。C-HRは大きな不満はないものの、新世代のトヨタ・ハイブリッドやe-POWERに比べるとレスポンス及びドライバビリティで古さを感じる。ヴェゼルは4台の中で飛びきりスポーティだが、電動車らしさは薄い。CX-30はディーゼルらしい頼もしさがあるが、エンジンを回した時の迫力はない。

 パワートレーンではe-POWERのキックスがかなりリードしていると言えるだろう。究極はBEVだということになるが、エンジン音はかなり抑えられているので不快感は最小限であるし、充電いらずで航続距離も十分だというのはメリットになりうる。

 そう遠くないうちにヴェゼルはフルモデルチェンジでe:HEVを搭載して、キックスE-POWERとガチのライバルになりそうだし、ヤリスクロスなんていうニューカマーのデビューも控えている。マツダからはCX-30と同等クラスのBEV、MX-30が今年度内にはリリースされそう。日本のコンパクトSUVは今年から来年にかけて群雄割拠の様相を呈することになるのだ。その中でキックスが覇権を握る可能性は決して小さくはないだろう。

MAZDA CX-30 XD PROACTIVE Touring Selection(4WD)

CX-3とCX-5の間を補完し、大き過ぎず小さ過ぎない、日本の環境で使いやすいジャストサイズSUVとしてリリースされたCX-30。ライバルに比べボディサイズはわずかに大きい程度だが、室内の上質感などは大きくリードする。メインのユニットがディーゼルなのもマツダらしい。

直列4気筒DOHCディーゼルターボ/1756㏄ 
最高出力:116㎰/4000rpm
最大トルク:27.5㎏m/1600-2600rpm 
WLTCモード燃費:19.2㎞/ℓ
車両本体価格:324万5000円

モーターファン別冊・ニューモデル速報 ニューモデル速報 Vol.597 日産キックスのすべて

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試乗インプレッション「復権への先鋒」
日産の新型車攻勢の第一弾として登場したキックス。すでに世界で販売されていた車種だが、日本導入に向けe-POWER化され新デザインを纏い、ブランニューモデルに相応しいつくり込みのクルマとなった。

ライバル車比較「コンパクトSUV 覇権の行方」
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比較ライバル:VEZEL、C-HR、CX-30

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