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【ダイハツ・タフト】空に溶け込め 走ればいつでも自然と一体になれるクルマ

  • 2020/09/12
  • ニューモデル速報
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ダイハツの新しいクルマづくりの指標、DNGAの第三弾タフトは、大胆なグラストップを備えて登場した。シェードを開けば空が見える開放感は軽随一。なんでもない街乗りでも、空とひとつになった一体感に包まれる。

REPORT●岡本 幸一郎(OKAMOTO Koichiro)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
※本稿は2020年7月発売の「ダイハツ タフトのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

タフトとともに過ごす毎日が楽しいものになるように

いわゆる白ナンバーの登録車の世界ではクロスオーバーの車種がどんどん増えて市場も伸長しているが、軽自動車にはまだあまりない。ご存知のとおりダイハツも少し前までそうした車種をラインナップしていたものの、中途半端な感があったのは否めなかった。そこで今後の主力商品のひとつとなるべきDNGA第3弾となる新型車を投入した。それがこのタフトだ。

往年の車名を復活させた詳しい理由についてはここではあえて触れないが、タフトでは幅広い年代の「アクティブ志向層」をターゲットにどうあるべきかを一から考え、「安心」「安全」「心地良い」を念頭に置きつつ、さらに楽しい演出ができるようなクルマを心掛けたという。それをより良い形で実現する上でDNGAが強い味方となってくれることが期待できるのは言うまでもない。

むろん軽自動車なので、まず普段使いが大事。キャンプに行くためのクルマをつくるのではなく、日常を大事にした上で、日々乗っている時に、その延長で今度の休みにどこか出掛けたいと思えるような、非日常感を味わえるクルマにしたい。タフトが目指したのは、「毎日を楽しくしてくれる頼れる相棒」だ。

実車と対面すると、想像以上に角ばったフォルムがかえって新鮮に見える。加えて、いまどき目一杯規格内で少しでも大きく見えるようにしたクルマが多い中で、タフトは意外とコンパクトに感じられた。

また、軽自動車はバランス的にもタイヤがプアに見えるクルマが多いが、地上高が高く大径タイヤを履くタフトはそんなことはなく、しっかりと地に足が着いて見える。

開口面積の大きいフロントドアを開け、平均的な成人男性の体格である筆者が腰を下ろすと、シートの座面にちょうどオシリがくるので乗り込みやすい。

ベンチ形状ではなくサポート性を意識したことを窺わせるシートに収まると、これまであまり味わったことのない感覚に見舞われる。両脇の太いAピラーに支えられた、切り立ったフロントウインドウという景色は競合車にもあるが、タフトの場合はすべてのガラスウインドウの天地方向がやけに短い。

これは運転視界とデザインとのせめぎ合いの結果だという。デザイナーとしては鉄板感やカタマリ感を出すためには、できるだけベルトラインを上げたい。一方で、むろん安全のため必要な視界を確保するのは言うまでもないが、見切りでは、直接視界で手前のものがあまりに見えると、実は長距離運転していると疲れてしまう。そこでドライビングポジションも含めバランスを考えてちょうど良い落としどころを探ったわけだ。

オープンカーのような空との一体感を味わえる

タフトのコンセプトのひとつに、「バックパックスタイル」がある。これにより前席は「クルースペース」としての最適な機能を与えられている。その一環として与えられた、タフトの専売特許である「スカイフィールトップ」のシェードを開けると、名前の通り空と一体となったかのような開放感を味わうことができる。ダイハツがこれを「運転視界を景色に変える」と表現するのも納得だ。

反対にシェードを閉じると、車内の内張りが黒いこともあってとてもタイトな印象を受けるのだが、開発関係者によるとあえてそうしたのだという。理由は、シェードを閉めた時に閉塞感があるようにしておくことで、開けた時に一気にそれが取り払われるというギャップを楽しんでもらいたいから。要するに、スカイフィールトップをぜひ積極的に使ってほしいという意味だ。

ガラスルーフというと重量等、走りへの影響が気になるところだが、電動機構を持たないことで5㎏程度に留まる。また、剛性面でも構造的にはむしろ通常のルーフよりも高くなっているのではと考えていると開発関係者も述べていた。

エアコン吹き出しなど四角いモチーフがいくつも並んだインパネの雰囲気も独特。そして、もうひとつ特徴的なのがセンターコンソールが出っ張っていることだ。こうなっているとサイドスルーしにくいのは言うまでもなく、軽ハイトワゴンではベンチシートが好まれることから、多くの車種がそうしている。ところが、タフトはあえてドライバーをセパレートさせている。これは機能性を考えた時に、運転席に座った状態でいろいろ操作しやすいよう、あくまでドライバーを中心に設計したためだと聞いて、これまた大いに納得した。

DNGAの実力の高さは、すでに先発のタントでも確認しているが、タフトはそれよりも車重が軽く重心も低いのでいろいろ有利と言える。一方頭上のガラスルーフは重心を高めロール等の挙動を大きくし、さらには大径タイヤを履きバネ下重量が大きくなるという特徴がある。

その辺りを踏まえ、タフトがどのように味付けされているのか興味深く思っていたのだが、いろいろな要素のバランスが程良く取れているというのが第一印象。「まだ他にないジャンルのクルマなので、タフトならではの味を出していきたいと考えた。見てくれが武骨なクルマなので、走りや乗り心地もそのイメージに合わせた。乗り心地のためハンドリングを犠牲にしない」といった旨を開発関係者が述べていたことの意味するところを窺い知ることができた。

グリルレスのシンプルな顔がタフトの特徴だが、オプションでまるで別のクルマのように変貌するクロームフェイスも選べる。さらに引き締まったダークブラックメッキ仕上げ(写真右)も用意されており、自分だけの一台に仕上げられる。

見た目の無骨さとは裏腹に扱いやすい操舵感覚

ダンピングを効かせた足まわりは、結構引き締まっていて、多少のコツコツは感じるものの、ロールはよく抑えられており、大きめの振動が瞬時に収束するのも好印象だ。

アンジュレーションのある路面でややバタつくのは、車重の軽い軽自動車に大径タイヤを履かせた場合、出やすいのは否めないが、思ったほどでもない。むしろ、65偏平のタイヤの厚みもあって、路面への当たりがマイルドになり、乗り心地にとって都合が良い部分もある。

これぐらい引き締まっていると、段差を通過した際にはもっと衝撃が伝わってきてもおかしくないところ、入力を上手く緩和させている。全体としては快適性は十分に確保されている。DNGAひいてはDモノコックにより基本骨格がしっかりしたことで、サスペンションが理想的に動いている感覚が伝わってきて、入力の受け止め方が実に上手い。

外観に負けないタフさをアピールするインテリア。ポイントを絞って入れられたオレンジの縁取りが効果的だ。あえて高い位置に設けられたセンターコンソールは自然と手が届く位置にあり、使いやすい。またダイハツ車で初めて電動パーキングブレーキを採用したこともタフトのポイントだ。

ハンドリングも俊敏ながら俊敏過ぎず、これまたほど良い味付け。切り始めの応答性をあえて少し緩めて姿勢を乱しにくいようにしながらも、コブシふたつぶんほど舵角を与えたところからパッと反応良く曲がる味付けになっている。その按配が絶妙で、よく言う“意のままに操れる”感覚を味わうことができる。

操舵力はやや軽く、取り回しも良い。特に戻り側を意識したという電動パワステは、確かに揺り返しがなく、戻す時の一体感ある動きも印象的だ。しっかり感と軽快感の両方を身に付けている。

操安関連の担当者によると、タフトはひとりで乗るシーンが多いと想定しており、その時いかに気持ち良く走れるかにこだわったとのこと。そのために意識したのが、姿勢が乱れずどこからでも応答してくれるよう、リヤに荷重をしっかり乗せることで安定させるというサスペンションに仕上げることだ。操舵初期からリヤに荷重が乗ると、そこから舵を入れてもリヤが粘り、応答性が損なわれることがなく回頭性は向上する。さらには、リヤサスがしっかりしている方が、直進性も、ステア戻りも良くなるという。

また、伸び側の減衰を高めると、一見すると操安性が良く感じられるが、圧迫感が出てきて乗り心地が硬く感じられるようになってしまう。そこで、ちょうど良いギリギリのところを探った結果、現状の仕様に行き着いたのだという。

なお、足まわりのセッティングの違いは駆動方式による重量の違いに合わせてそれぞれ最適化されているのみで、エンジンによる違いはない。ターボと自然吸気では車検証の記載では前軸重に10㎏の差があるだけなので、共通とされている。それゆえ乗り味に基本的には違いはないが、そのわずかな差によるものか、心なしか全体的にターボの方が微妙にバランスが良いように感じられたことも念のためお伝えしておこう。

フロント、リヤそれぞれに役割を与えられたバックパックスタイルは、フロントはダーク系、 リヤはライト系という前後席空間の色遣いの違いにも現れている。

静粛性も申し分ない。軽自動車でここまで静かなクルマはそうそうなく、特にロードノイズがよく抑えられている。パワートレーン系の透過音も、常用する4000rpm以下は概ね抑えられており、開発陣も、これ以上は無理に抑えても他の音が目立ち出すので、バランスとしては良いと自負しているという。強いて比べるとターボの方が静かだ。

エンジンフィールは、やはりターボの方が圧倒的に力強いことは言うまでもないが、先発のタントにはターボ、自然吸気ともに搭載されたD-CVTが、タフトではコストの兼ね合いからターボのみに組み合わされた。それも効いてか、動力性能についてはあらゆる面でターボが上回る。過給域に入ると圧倒的にレスポンスに優れ、さらにそこから上にかけてのつながりも良く、ダイレクト感もある。変速比幅もハイギヤ側がD-CVTでは2割ほど大きくなるので、高速巡行に向いていることもターボを選ぶのは理にかなっている。

一方の自然吸気は、発進加速を高めるため既出モデルに対してファイナルがローギヤード化されているのが特徴。一見、燃費面では不利に感じられるが、ハイギヤードで踏み込むよりも良いという判断があったようだ。こちらも走り始めの飛び出し感と、緩加速状態から強めに加速させたい時の応答遅れはやや気になるが、性能面での大きな不満はない。日々の買い物などで低〜中速を主体とする使い方であれば十分だ。

ラゲッジは自在なアレンジがポイント。ヘッドレストを外して後席を倒すと荷室は完全フラットになり、荷物が傾くこともない。また深い床下は背の高い荷物も積むことができる上、立て掛けたフレキシブルボードのフックも使える。ただ、後席のスライド機構が備わらないのはちょっと残念。

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