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その名は「STARC」!次世代の日産e-POWERは3気筒ターボ1.5ℓロングストローク。最大熱効率50%/λ2.0のリーンバーン運転。

  • 2020/11/12
  • Motor Fan illustrated編集部
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日産は10月上旬にオンライン開催されたアーヘン・コロッキウムにおいて、次世代e-POWER専用エンジンの姿を発表した。

エンジン形式:1.5ℓ / 3気筒 / ターボ過給
内径x行程 (S/B比):79.7mm x 100.2mm (1.26)
コンロッド長:150.3 mm
圧縮比:13.5
最高出力発揮時エンジン回転数:4800 rpm
バルブトレーン:Roller Rocker
燃料噴射/インジェクター位置:Direct Injection/Central Injection
ターボチャージャー:Fixed Geometry Turbocharger

3気筒エンジンであることは現行HR12DEと同様、しかし違うのはロングストローク設計とし、直噴ターボ化したことである。圧縮比(幾何学的容積比)は過給ながら13.5と途方もない数字、ノッキング回避のために用いる手段のひとつがミラーサイクルである。実圧縮比が低くなるミラーサイクルには早閉じと遅閉じの2通りがあり、本機は早閉じを採用する。

発電専用エンジンということで、最高効率点をピンポイントでねらえる運転が可能。これにより各種の損失低減を実現させ、まずはストイキ運転で最大熱効率45%を図る。さらに次のステージとしてλ2.0のリーンバーン、冷却損失回復、熱回収などを駆使して50%をねらう。

将来的なリーンバーンを含め、本機はSTARCと称する新しい燃焼方式を提案している。Strong Tumble and Appropriately stretched robust ignition channelの接頭語であるSTARCの中身は、高タンブル流の燃焼室と高エネルギーの点火システムによって、高率EGR燃焼を図るもの。スロットルを持つガソリンエンジンでは低負荷時のポンピングロスが高効率への大きな妨げになり、それを補う術としてEGRが急速に普及している。ただし、「燃えかす」である排気を筒内に再循環させることで、混合気が着火しにくくなるのは不可避。そこで高エネルギーの点火装置を備えることで、着火性を高める。

高タンブル流によって、直噴インジェクタからの燃料と空気をよく混ぜ合わせ、良好な燃焼を図るのは近年のトレンドのひとつ。本機でもそれを吸気ポートのストレート形状化で大きな流動を創生する。タンブルが強くなると、点火プラグの消炎作用が懸念されるところ、先述の高エネルギー点火装置が寄与しているようだ。

直線形状のために、バルブシートには「コールドスプレイ」と称する技術でバルブシートレスとした。トヨタのレーザクラッド式と似たものだと思われる。

11月13日発売のモーターファン・イラストレーテッド Vol.170「技術の日産 Next」では、この次世代e-POWERエンジン技術について、畑村耕一博士が徹底解説。多くの図版とグラフから、同機の構成とねらいを考察する。

モーターファン・イラストレーテッド Vol.170 「技術の日産 Next」

<特集内容>
★技術TOPが語る、日産がこれから“目指すべき姿”
●研究先行技術開発 専務執行役員 浅見孝雄氏
●車両生産技術本部 常務執行役員 平田禎治氏

★“技術の日産”のカギを握るキーパーソンに徹底取材!
[パワートレーン]
#1 日産の次世代技術を全部載せた「アリア」の正体
  →高回転&静粛性に優れた新型モーターを採用
  ●車両開発主管 中嶋光氏/パワートレイン主管(EV) 軍司憲一郎氏
#2 グローバル展開を目指す「e-POWER」の第2章
  →搭載車種の拡大をにらんだ新たな技術進化
  ●e-POWERプロジェクト パワートレイン主管 仲田直樹氏
#3 夢のエンジンがついに実現!
  →可変圧縮比エンジン「VCターボ」開発秘話とメカニズム
  ●アライアンスパワートレインエンジニアリングダイレクター 木賀新一氏
#4 エンジンにできないことをやる
  →電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」の真実
  ●パワートレイン・EV技術開発本部 エキスパートリーダー 平工良三氏
[ダイナミックパフォーマンス]
#5 意のままの走りをいかにもたらすか
  →「ステア・バイ・ワイヤ」と「可変ダンパー」を統合制御
  ●シャシー開発部 主管 久保川範規氏
[自動運転/ADAS]
#6 完全自動運転の実現はまだ見えてこない
  →「プロパイロット2.0」が見据えるこれからの10年
  ●AD&ADAS先行技術開発部 戦略企画グループ部長 飯島徹也氏
[GT-R]
#7 GT-Rのテクノロジー12年の進化
  →GT-Rで培った技術が各所で引き継がれる日産のDNA
●チーフプロダクトスペシャリスト 田村宏志氏
[生産技術]
#8 モノづくりの原点は日本でやる
  →「ミラーボアコーティング」パワートレーン生産技術の進化

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