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欧州に殴り込みをかけるe-POWER 次期エクストレイルにも搭載される(はず)の1.5ℓ直3可変圧縮比ターボ+e-POWERは日産反攻の足がかりとなるか 間もなく登場の新型キャシュカイ

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間もなく登場する日産キャシュカイ

2月18日に欧州で発表される日産キャシュカイは、北米ではローグスポーツ(ROGUE SPORT)、そして日本のエクストレイルとも関係が深いモデルだ。この次期キャシュカイは、日産が欧州へ初めて投入するe-POWERモデルとなる。e-POWER第2章と幕開けとなる新しいe-POWERはどんなパワートレーンになるか?

公開されているティザー画像
キャシュカイは、欧州で人気の高いクロスオーバーだ。初代は日本でもデュアリスとして販売されていた。現行モデルはCMF-C/Dプラットフォームを採用している。
間もなく発表されるキャシュカイは、1.5ℓ直3ターボエンジンを発電用に搭載するe-POWERと1.3ℓ直4直噴ターボ+12Vマイルドハイブリッドの2種類のパワートレーンを用意する。
まず注目されるのが、e-POWERである。今回のe-POWER欧州投入の成否は今後の日産を占う、と言っても過言ではないだろう。

e-POWER搭載モデルが欧州に投入されるのは、新型キャシュカイが初めて

先代ノートに1.2ℓ直3エンジン(HR12型)を発電用に使ったe-POWERが搭載され、日本で大ヒットした。その後、セレナに搭載、そしてコンパクトクロスオーバーのキックスにも搭載された。
日本で発表されたばかりの新型ノートには、新世代のe-POWERが搭載されている。新世代とはいえ、エンジンは1.2ℓ直3自然吸気のHR12型であることは変わりなかった。

ところが、新型キャシュカイに搭載するのは、1.5ℓ直3ターボエンジンなのだ。

排気量を1.2ℓから1.5ℓへ拡大したのは、高速走行や山道などでの走行が日本より多い欧州でのe-POWERを受け入れてもらうために、排気量を増やして発電量を確保しておく必要があると判断したからだ。したがって、組み合わせるリチウムイオンバッテリーの容量もノートやセレナよりも大きくしているはずだ。4-5kWh程度になるのではないだろうか。

現在わかっている情報は
排気量:1.5ℓ
エンジン型式:MR15
エンジン出力:157ps
VCR(可変圧縮比)
システムのファイナル出力(つまりモーター出力)
190ps(140kW)/330Nm
2WD
である。

市街地や郊外路は得意だが、高速道路を巡行するのは苦手なe-POWERにとって、欧州市場は不得意な市場なはず。そこへ殴り込みをかけるのだから、新しいe-POWERは、高速域での効率が大きく向上しているのだろう。

MR15型エンジンとはどんなエンジンになるのか?

日産がアーヘン・コロッキウムで発表したSTARCエンジン

MR型は1.6ℓ(MR16DDT)と2.0ℓ(MR20DD)、そして実質的にMR型の1.8ℓであるMRA8DE型がある。どれも直列4気筒エンジンだ。
では、キャシュカイが積むMR15型はどんなエンジンになるのか?
新しいMR15は、おそらくMR15DDT型で、つまりD=DOHC、D=直噴、T=ターボだろう。


ヒントは、日産が次期e-POWER用エンジンとして学会発表したこのエンジンにある。

その名は「STARC」!次世代の日産e-POWERは3気筒ターボ1.5ℓロングストローク。最大熱効率50%/λ2.0のリーンバーン運転。

日産は10月上旬にオンライン開催されたアーヘン・コロッキウムにおいて、次世代e-POWER専用エンジンの姿を発表した。

あわせて読みたい

スペックは
エンジン形式:1.5ℓ / 3気筒 / ターボ過給
内径x行程 (S/B比):79.7mm x 100.2mm (1.26)
コンロッド長:150.3 mm
圧縮比:13.5
最高出力発揮時エンジン回転数:4800 rpm
バルブトレーン:Roller Rocker
燃料噴射/インジェクター位置:Direct Injection/Central Injection
ターボチャージャー:Fixed Geometry Turbocharger
である。

このエンジンは、STARCと称する新しい燃焼方式を提案している。Strong Tumble and Appropriately stretched robust ignition channelの略語であるSTARCの中身は、高タンブル流の燃焼室と高エネルギーの点火システムによって、高率EGR燃焼を図るもの。

発電用に特化したエンジンとして開発されたはず。低速トルクも高回転域のパワーも気にしなくていい。注力するのは、最大熱効率だ。

エンジンスペックで注目したいのが、ボア×ストロークだ。
ボア×ストローク:79.7mm x 100.2mm (S/B1.26)
というロングストロークぶりだ。

2.0ℓ直4のMR20の1気筒を取り除ければ、1.5ℓ直3になるわけだが、そうするとボア×ストロークは84.0mm×90.1mm。ロングストロークではあるが、超ロングストロークではない。
1.6ℓ直4のMR16DDTのボア×ストロークが79.7mm×81.1mm。
ということは、新型キャシュカイが搭載するMR15DDTは、MR16DDTのストロークを100mm前後まで伸ばしたうえで、1気筒落としたもの、となるはずだ。

独自のリンク機構で可変圧縮比を実現するVCR。MR15DDTではどう使うのか。楽しみだ。

論文のSTARCエンジンには、ランキンサイクルの排ガスエネルギー回収装置も採用するなど、新技術てんこ盛りだが、量産のMR15DDT+e-POWERがどこまで新技術を使うのか、楽しみだ。

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