火曜カーデザイン特集:日産新型ノートにみるアリアの潮流 まるでアリアみたい! 日産新型ノートのデザインを見る!
- 2020/12/29
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CAR STYLING編集部 松永 大演
日産ノートというブランドは、8年という長いスパンでも継続的に好ましい販売実績を上げてきたのだ。2012年9月より発売を開始し、その4年後の2016年12月にマイナーチェンジとともにe-POWER発売。通常4年を過ぎればフルモデルチェンジの声が聞こえて来てもいい時期でもあるが、そこから大きな加速を見せたのがノートだ。そして、そんな大人気のノートがいよいよフルモデルチェンジを果たした。
EV以上の注目度
この11月に、ようやくのフルモデルチェンジをした新型ノート。ラインナップはe-POWERのみという事実が示すように、そのパワーユニットの人気ぶりは凄まじい。エンジンを発電用と割り切り、駆動力は完全に電気モーターで得るということが、意外にもユーザーに、「充電を心配しなくていい電気自動車(EV)」という認識を広めた。(本当にEVと捉えていいかどうか、は別として…)
別の視点でいえば、ことさら環境性能に着目、つまり世のため、人のため的スタンスが一般的なEVの見え方だったのだが、このe-POWERは静かさや力強さ、経済性など、ユーザーに向けたメリットを高く印象づける「自分ごと」のモデルともなっている点が魅力なのかもしれない。
果たして新型ノートは、そうしたユーザーの期待に答える形で登場した。
何よりも、新たな日産のイメージリーダーとなるフルEVモデルと同様のデザインテイストで構成されている。これは直近で登場しているキックスとも大きく異なるもので、まさに種類の違う乗り物を主張するようにすら見える。
また重要なことは、この新型ノートが新しい日産バッジを採用した最初の市販車となる点だ。つまりは、日産の新しいトレンドをアリアとともに示すのが、この新型ノートだ。その点でいうならば、同じEV系であっても現行のリーフからも一歩進んだフェーズに存在するモデルでもある。
あえて異なるEV系ならではのデザインテイスト
では何が違ってくるのか? アリアで注目されたのは背の高いモデルなのに、実にスポーティさに満ちたバランスの良いプロポーションを見せていた点だ。これは、完全にEVならではのパッケージのなせる技で、ボンネットをできるだけコンパクトにし、キャビンをできるだけ前方にまで拡大できている点が大きいと思う。そのために、これまでの内燃機関とは異なる、全長に対してキャビンが大きなパッケージを実現できた。その大前提の中で、伸びやかな4ドアクーペスタイルを実現できている。
対する新型リーフは、前述したように志は実にEV寄りでありながらも、パッケージとしては、発電用とはいえエンジンを搭載するため、どうしても内燃機関をベースとしたレイアウトになってしまう。
そのため一見するとわからないが、ノートはリーフやアリアに比べてフロントエリアの長く大きな、旧態依然としたパッケージを持たざるを得ない。それは前輪からステアリングまでの距離を見ての通りで、そのプロポーションを整合させるためにフロントピラーが3車の中でもっとも大きく傾斜しているのがノートだ。このことを知ってしまうと、アリアのニューなプロポーションに対して、新型ノートはちょっと内燃機関の持つ生々しい印象を抱いてしまう。
とはいえ、アリア同様に面造形にはこれまでにない新たな考え方を見せているのは、紛れもない新型ノートの特徴だ。
アリアから日産では車の躍動的な表現を、動物ではないものからそのヒントを得ている。それらの表現が、割と多くの車のトレンドとしてある、生き物の筋肉的表現とは大きく異なって感じられる部分だ。
あえて消されたのでは? と思える造形の熱量
一歩進んでみると、これは個人的感想なのだが、今の一般的な躍動的表現がその筋肉的表現に命を与えるべく、人の手による表現力を強く感じるものとなっている。それに対して、アリアやノートは人=作り手の存在を感じさせない。まさに風や水の流れによって、作られた形に感じられる。これまでの日産車とも違うと感じさせるのはその部分で、情熱や魂といったものとは、また異なる世界の創造物を目指しているように思う。
その潔さがノートにも、新たな形を与えたといえるだろう。躍動的でありながら、そこに熱量を感じさせない、その表現力が新たなEVの世界観を表現しているように思う。
賛否はあるのかもしれないが、こうした試みがどんどん車のデザインを新しく進化させて行くのだろう。まだまだ車のデザインは、新たな道を見いだせるのだ、そう実感できるのが新型ノートのデザインなのだ。
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