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ルノー・メガーヌR.S.やGTに採用されている4CONTROL(4コントロール)って何? 四輪操舵? 後輪操舵?

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ルノー・メガーヌR.S.やGTに搭載されている4コントロールなるシステム。前輪だけでなく、後輪も操舵することで旋回性能や安定性の向上に寄与するとのことだが、具体的なことはよくわからないという人も少なくないだろう。今さら聞けない4コントロールの仕組みと利点をおさらいする。

ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで7分40秒1というFF市販車世界記録を叩き出したメガーヌR.S.トロフィーR。

 2019年5月、ルノー・スポールのトップガンドライバーであるロラン・ウルゴンが駆るメガーヌR.S.がニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで7分40秒1というFF市販車世界記録を達成した。

 実際にタイムを叩き出した車両はR.S.トロフィーRというハイエンドグレードだが、このメガーヌR.S.のすべてのグレードに採用されていることで知られているのが「4コントロール」なる四輪操舵システムだ。

 同じくルノー・スポールが開発を担ったメガーヌGTにも搭載されており、いわばメガーヌの運動性能のカギを握る存在と言っていい。

 ではこの4コントロールとは、具体的にどんなものなのだろうか?

 構造はそれほど複雑ではなく、トーションビーム式サスペンションのホイール取り付け部に独立したナックルを設け、タイロッドで押し引きして舵角を与えるというもの。タイロッドはトーションビームの中央に支点を持つロッカーアームにつながっており、ロッカーアームの反対側を電動アクチュエーターで押したり引いたりする。

 これにより、後輪にも操舵角が与えられるのだ。

 低速域では逆位相(前輪と逆方向に舵角が与えられる)とすることで旋回性能を高め、高速域では同位相とすることで安定性を高める。

 逆位相は最大で2.7度、同位相は最大で1度だ。

 逆位相から同位相へ切り替わるポイントは、GTのノーマルモード、そしてR.S.のノーマルモードとスポーツモードでは60km/hで、GTのスポーツモードでは80km/h、そしてR.S.のスポーツモードでは100km/hとなる。

 R.S.のレースモードが最もアグレッシブな設定と言える。

 この逆位相と同位相の境目はハッキリとしているわけではなく、運転していて違和感を覚えることない。アクチュエーターの制御は100分の1秒単位で行われているという。

60km/h以下(GTのスポーツモード時は80km/h以下、R.S.のレースモード時は100km/h以下)では後輪は逆位相───つまり前輪と逆に操舵されて旋回力を高める。
60km/h以上(GTのスポーツモード時は80km/h以上、R.S.のレースモード時は100km/h以上)では後輪は同位相───つまり前輪と同じ方向に操舵されて安定性を高める。

 では肝心の4コントロールの効果だが、まず逆位相に関しては、とくにタイトコーナーで顕著に感じ取ることができる。予想以上にくるっと向きを変えてくれ、クルマがひとまわり小さくなったかのような錯覚を受けるのだ。最初は戸惑うかも知れないが、慣れればこの「リヤから曲がっていく」感覚はやみつきになるだろう。

 当然ながら極低速時には小回り性能にも貢献する。最小回転半径は5.2mで、ワイドタイヤを履くこのカテゴリーのモデルとしては異例に小回りが利くのだ。ちなみにライバルのホンダ・シビックタイプRは5.9mである。

 そして同位相では、高速道路での車線変更時に恩恵を感じやすい。ステアリングを切った方向に真横に並行移動するような感覚で、ミズスマシのような身のこなしを披露する。

 リヤがドッシリと安定している感覚は疲労の低減にも寄与し、長距離&長時間のドライブでは大きな差となって現れるはずだ。

4コントロールのセッティングを担当したルノー・スポールの開発ドライバー、ロラン・ウルゴン氏。「逆位相をどの速度まで使うかについては、相当な議論がありました。最終的には、ベストな設定を導き出せたと自負しています」

 面白いのは、メガーヌR.S.やGTはリヤタイヤの減りがほかのFF車よりも著しいという。ルノー・ジャポンの広報担当者からも、正規ディーラーのメカニックからも聞いた話なので間違いはないだろう。

 リヤタイヤのグリップを余すところなく使い切れる後輪操舵というシステムは、FFにこそ有用なシステムなのかもしれない。

 もうひとつ触れておくべきは、4コントロールによって旋回性能と安定性を確保できたため、R.S.にしてもGTにしても狙った性能に対してサスペンションを柔らかくすることができたという。

 運動性能と乗り心地を電制可変ダンパーを使わずに両立させたところは、いかにもルノーらしいと言えそうだ。

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