新型メルセデス・ベンツGLA とGLB そのデザイン戦略をチェック より明確化された、両車のポジションと個性
- 2020/06/27
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CAR STYLING編集部 松永 大演
メルセデス・ベンツよりGLAがフルモデルチェンジ、そしてGLBがあらたなラインナップに加わり日本でも発売されることとなった。ここではそれら2台のデザインを見て行こう。見ていくことで、両車がより戦略的なデザインを採用していることがわかるはずだ。
より大人のSUVクーペに成長したGLA
実際のモデルを比較するのもいいのだが、ここではそのスケッチから狙いや個性を読み取ってみよう。とりわけGLAでは先代モデルと新型のスケッチを比較することで考察を進めたいと思う。
先代モデルが登場したのは2013年。そのスケッチをみると、かなりアグレッシブなスタイルを狙っていたことがわかる。実際のパッケージはともかく、思いとしては“できるだけオーバーハングを切り詰め、ボディを小さく見せる”ということのようだ。
初期のスケッチでは、それこそミニ四駆やチョロQのようなプロポーションともいえるほど。
またできるだけボディをそぎ落としながらも、力感をある部分、タイヤを支えるフェンダーや、エンジンを内蔵するボンネットにみなぎるパワーを浮きださせている。大きなラジエターグリルも、エンジン=心臓部の強さの表現でもある。
その中でもちょっと特徴的なのが、力強さをフェンダーまわりですべて受けるのではなく、むしろタイヤの存在感を強調する意図が見える点だ。つまり、ボディとメカニズムの方向性の「ずれ」をあえて表現しているのだと思う。
法規上、メーカーがフェンダーからはみ出るタイヤのモデルを市販化することは難しいが、ここに「デザイナーの思い」を汲み取ることができる。
初期のGLAの時代背景には、このクラスのクロスオーバーがある程度特別だったということもあり、“クーペのようなSUV”という部分を上屋と足腰の“違和感”として表現したものだ。
では、この先代モデルと比較して新型を見るとどうだろう? 実車ではそれほど大きく変わったようには思えなかった部分もあるのだが、実際のスケッチで見てみるとかなり違うことがわかるはず。
新型は極めて大人しく、ジェントルな印象だ。これはある程度SUVがクロスオーバーという存在が当たり前となったことを示している。むしろアグレッシブなものはもっと下のクラスでトライされるべきテーマで、SUVというものを特別な意識なく受け入れるライフスタイルが出来上がってきたと見るべきだろう。
その中で、どのようなポジションにあるべきか、ここにはこれからのGLAへのメッセージが込められている。
クルマの“スタンダードへ”の思いが濃厚ながらSUV色も維持
特に強く感じるのが、SUVスタイルがこれからの“当たり前のプロポーション”という認識を生みたいということだろう。
これからは、むしろ背の低いままでのセダンやクーペはスペシャルな存在であって、SUVの方が普通の存在にシフトしているように見える。
ある程度全高は高くても、伸びやかで軽快に見えるような形作りが特徴で、できるだけドアも上下方向に厚みがないように見せている。前後フェンダーもボンネットやサイドウインドウの間に間延びがないようになど、大きなタイヤと背の高さにバランスする、新たなプロポーションへのトライが見出されてきているように思える。
印象的なのはフロント周りで、できるだけ顔を分厚く見えないように、バンパー下部分を後ろに引いてブラックアウトのインテークにするなど、マスを感じさせない造形としていることが効いている。とはいえ、スケッチほど自然なスタイルにはいたらず、SUV特有のエレメントとエレメントの「間」には新たな解釈が必要かとも思われ、未だSUVテイストを持ち合わせていなくもない。
サイドビューでは、リヤドアの後方のリヤピラーにウインドウを配したシックスライトのウインドウが軽快さを表現している。荷室をしっかりと確保しているボディによって、ともするとあまりに力強く重さも感じてしまうリヤピラーとなってしまうところだが、このウインドウグラフィックによって、重さを払拭する効果もあったようだ。
しかしまだまだ過渡期であって、市場の意識との乖離も少なくないようで、フェンダーフレアのガーニッシュをブラックアウト化したり、グリル内のオーナメント周りの造形をSUV系の力強いものを採用したりと、SUVの最先端にあるEQCにはない配慮も見られる。
あるいは前述した、未だ残るSUV感は意図的なものだったのだろうか?
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