3代目ホンダ・フィット | ハイブリッドシステムを高出力モーター内蔵7速DCTの「スポーツハイブリッドi-DCD」に一新 【コスパ抜群! 一世代前の狙い目モデル】三代目ホンダ・フィット(GK3・4・5・6、GP5・6)…内外装をスポーティに一新しつつ全方位的に正常進化
- 2021/01/09
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遠藤正賢
中古車は世代が古く低年式なモデルほどお買い得かと言えばさにあらず。生産終了から年月が経つにつれ残存台数が減り、希少価値が上がることで相場が高騰することは珍しくない。
また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2013年9月に国内デビューしたホンダのBセグメント5ドアハッチバック「フィット」の三代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●本田技研工業
偉大すぎる創始者を祖とすると、その後を継ぐ子や孫は様々なプレッシャーや劣等感に苛まれて伸び悩み、最悪の場合はそこで血脈が途絶えてしまう。それは家や企業(一族経営であるなしを問わず)に限らず、クルマでさえそうだろう。2001年6月にデビューした初代フィットはまさに偉大すぎる創始者で、初代フィットが打ち立てた数々の販売記録はのちにN-BOXが誕生するまで、少なくともホンダの中で破られることは決してなかった。
実際に初代フィットは、当時においては過去最速の約6ヵ月で累計販売台数10万台を突破。2007年12月には同じく100万台を突破する大ヒット作に成長した。だが2007年10月発売の二代目はキープコンセプトのフルモデルチェンジで、デザインもホンダとしては保守的だったこともあり、初代を超えるヒット作とはなっていない。
そして2013年9月発売の三代目は、デザインが良く言えばスポーティ、悪く言えば要素が多く煩雑で子供臭く、好き嫌いが明確に別れるものに。しかしながらそうした傾向は当時のカーデザイントレンドに沿ったものであり、その根底にあるマインドはむしろ保守的とさえ言える。
だがそれ以上に保守的だったのはむしろ、パッケージングやメカニズムだろう。この三代目フィットではプラットフォームを一新しているが、小型車離れした室内空間とユーティリティをもたらすセンタータンクレイアウトを初代、二代目に続き採用。サスペンションもフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式(FF車)またはド・ディオン式(4WD車)という構成も変わらず、エンジンも小型車向け直列4気筒のL型を踏襲した。
しかしその分だけ全方位的に正常進化を遂げており、初代から指摘され続けている前席の着座位置の高さ、乗り心地の悪さ、官能性に乏しいパワートレーンとハンドリング、といった弱点は着実に解消へと向かっている。とりわけスポーティな性格が強い、そして現行四代目フィットでは廃止されてしまった、L15B型1.5L直噴DOHC i-VTECエンジンを搭載し、CVTのほか6速MTとの組み合わせも設定する「RS」において、この正常進化が大いに歓迎できるものだったのは間違いない。
とはいえ、三代目フィットのすべてが保守的だったというわけではない。2010年10月デビューの二代目後期型で追加されたハイブリッド車は、早くもシステムを一新。エンジンとトランスミッションの間に小型のモーターを挟むパラレル式の「IMA」から、シェフラー製の高出力モーター内蔵7速DCTを用いる「スポーツハイブリッドi-DCD」に切り替え、駆動用バッテリーもニッケル水素からリチウムイオンに変更している。しかしながらこのハイブリッドシステムを熟成不足の状態で市販化したため、リコールや改善対策を、デビュー後から約1年間にわたり頻発することになった。
では、そんな三代目フィットがどのように進化していったのか、モデルの変遷を以下に記す(価格はいずれも発表時点のもの(当時の税率における消費税込み))。
【2013年9月5日発表、9月6日発売】フルモデルチェンジ
グレード構成および価格は下記の通り。ホンダ自身は、
・L13B型1.3Lアトキンソンサイクルエンジンを搭載するベーシックモデル「13G」
・L15B型1.5L直噴DOHC i-VTECエンジンを搭載し内外装の質感を高めた上級モデル「15X」
・同じくL15Bを搭載し6速MTも設定するスポーティモデル「RS」
・専用のLEB型1.5Lアトキンソンサイクルエンジンにi-DCDを組み合わせた「ハイブリッド」
の大きく4タイプに分けて訴求している。
だが、「ハイブリッド・Lパッケージ」には「15X・Lパッケージ」と同じプライムスムース×ファブリックシート、「ハイブリッド・Sパッケージ」には「RS」に準じた内外装を与えるなど、極めて複雑なラインアップになっていた。
13G(FF・CVT/4WD・CVT)…126万5000円/145万4000円
13G・Fパッケージ(FF・5MT/FF・CVT/4WD・5AT)…136万円/136万円/154万9000円
13G・Lパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…146万1000円/165万円
13G・Sパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…156万円/174万9000円
15X(FF・CVT/4WD・CVT)…158万円/176万9000円
15X・Lパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…168万円/186万9000円
RS(FF・6MT/FF・CVT)…180万円/180万円
ハイブリッド(FF・7速DCT+モーター)…163万5000円
ハイブリッド・Fパッケージ(FF・7速DCT+モーター)…172万円
ハイブリッド・Lパッケージ(FF・7速DCT+モーター)…183万円
ハイブリッド・Sパッケージ(FF・7速DCT+モーター)…193万円
【2013年12月26日発売】追加モデル
プレスリリースは発行されていないものの、ハイブリッド車の全グレードに4WD車が追加された。グレード構成および価格は下記の通り。
ハイブリッド(4WD・7速DCT+モーター)…182万4000円
ハイブリッド・Fパッケージ(4WD・7速DCT+モーター)…190万9000円
ハイブリッド・Lパッケージ(4WD・7速DCT+モーター)…201万9000円
ハイブリッド・Sパッケージ(4WD・7速DCT+モーター)…211万9000円
【2014年10月9日発表、10月10日発売】一部改良
ガソリン車を一部改良。主な変更点、グレード構成および価格は下記の通り。
・「13G」「13G・Fパッケージ」を除く全車に「シティブレーキアクティブシステム」(低速域衝突被害軽減ブレーキ)およびサイド&カーテンエアバッグをセットにした「あんしんパッケージ」を標準装備
・「13G」を除く全車にIR&UVカット機能付きフロントウィンドウ、IR&スーパーUVカットフロントドアガラス、オートリトラミラーを標準装備
・「13G・Fパッケージ」にフルオートエアコンを標準装備
・「15X」と「15X・Lパッケージ」を「15XL」に集約のうえ、運転席&助手席ヒーターを標準装備
13G(FF・CVT/4WD・CVT)…129万9800円/149万4200円
13G・Fパッケージ(FF・5MT/FF・CVT/4WD・CVT)…142万円/142万円/161万4400円
13G・Lパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…155万7000円/175万1400円
13G・Sパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…165万9000円/185万3400円
15XL(FF・CVT/4WD・CVT)…172万9000円/192万3400円
RS(FF・6MT/FF・CVT)…190万6000円/190万6000円
【2014年12月18日発表、12月19日発売】一部改良
ハイブリッド車を一部改良。主な変更点、グレード構成および価格は下記の通り。
・「ハイブリッド・Lパッケージ」「ハイブリッド・Sパッケージ」に「シティブレーキアクティブシステム」(低速域衝突被害軽減ブレーキ)およびサイド&カーテンエアバッグをセットにした「あんしんパッケージ」を標準装備
・「ハイブリッド」を除く全車にIR&UVカット機能付きフロントウィンドウ、IR&スーパーUVカットフロントドアガラス、オートリトラミラーを標準装備
・ハイブリッド車専用外装色として新たにホワイトオーキッド・パール、ゴールドブラウン・メタリック、ルーセブラック・メタリックを追加
ハイブリッド(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…168万1700円/187万6100円
ハイブリッド・Fパッケージ(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…179万6000円/199万400円
ハイブリッド・Lパッケージ(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…195万9000円/215万3400円
ハイブリッド・Sパッケージ(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…205万9000円/225万3400円
【2015年9月17日発表、9月25日発売】一部改良
全車のフロントグリル、ハイブリッド車のフルホイールキャップをデザイン変更したほか、ハイブリッド車のボディカラーにプレミアムブルーオパール・メタリックとミッドナイトブルービーム・メタリックを追加。
そのほか、「13G」と「ハイブリッド」を除く全車に、
・プラズマクラスター技術搭載フルオートエアコン
・コンフォートビューパッケージ(親水/ヒーテッドドアミラー、フロントドア撥水ガラス、熱線入りフロントウインドウのセット)
・ナビ装着用スペシャルパッケージ(リアワイドカメラ、照明付オーディオリモートコントロールスイッチ、デジタルTV用プリントアンテナ(12セグ/ワンセグ)、専用ワイヤーハーネス、4スピーカーのセット)
・セキュリティアラーム
・ラゲッジルームランプ
・助手席シートバックポケット
を標準装備した。グレード構成および価格は下記の通り。
13G(FF・CVT/4WD・CVT)…129万9800円/149万4200円
13G・Fパッケージ(FF・5MT/FF・CVT/4WD・CVT)…142万5000円/142万5000円/161万9400円
13G・Lパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…156万2000円/175万6400円
13G・Sパッケージ(FF・CVT/4WD・CVT)…166万4000円/185万8400円
15XL(FF・CVT/4WD・CVT)…174万9000円/191万1000円
RS(FF・6MT/FF・CVT)…192万6000円/192万6000円
ハイブリッド(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…169万円/188万4400円
ハイブリッド・Fパッケージ(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…179万6000円/199万400円
ハイブリッド・Lパッケージ(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…195万9000円/212万1000円
ハイブリッド・Sパッケージ(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…205万9000円/222万1000円
【2015年12月17日発表、2016年1月21日発売】特別仕様車
「13G・Fパッケージ」および「ハイブリッド・Fパッケージ」をベースに、360°スーパーUV・IRカットパッケージ、運転席&助手席シートヒーター、アームレスト付きセンターコンソールボックス(アクセサリーソケット<DC12V>付き)を標準装備。
さらに専用ボディカラーとして、プレミアムクリスタルレッド・メタリック、プレミアムピンク・パール、プレミアムディープモカ・パールを設定した「コンフォートエディション」を設定した。グレード構成および価格は下記の通り。
13G・Fパッケージコンフォートエディション(FF・CVT/4WD・CVT)…145万5000円/164万9400円
ハイブリッド・Fパッケージコンフォートエディション(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…182万6000円/202万400円
【2016年9月8日発表、9月9日発売】特別仕様車
「13G・Fパッケージ」および「13G・Lパッケージ」をベースとして、ナビ装着用スペシャルパッケージを標準装備した「ファインエディション」を設定。
そのほか「13G・Fパッケージファインエディション」にはアームレスト付きセンターコンソールボックス(アクセサリーソケット<DC12V>付き)、「13G・Lパッケージファインエディション」にはプライムスムース×ファブリックコンビシートとリアセンターアームレストを標準装備している。グレード構成および価格は下記の通り。
13G・Fパッケージファインエディション(FF・CVT/4WD・CVT)…143万8000円/163万2400円
13G・Lパッケージファインエディション(FF・CVT/4WD・CVT)…159万8000円/179万2400円
【2017年6月29日発表、6月30日発売】マイナーチェンジ
ADAS(先進運転支援システム)を、従来のレーザーレーダーを用いた「シティブレーキアクティブシステム」から、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせた「ホンダセンシング」へアップデート。ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKAS(車線維持支援システム)など数多くの機能を拡充した。
また、前後バンパーやスポイラー類、LEDヘッドライトのデザインを変更してスポーティさを強調したほか、「ハイブリッド・Lホンダセンシング」には「プレミアムブラウン・インテリア」を新たに設定している。
さらに、いずれのパワートレーンもフリクション低減などの改良を行い、燃費と加速フィールを同時に改善。ボディの剛性アップおよびNVH改善、ステアリング剛性アップ、ダンパー内部バルブ構造変更などにより、走りの質感を大幅に高めている。グレード構成および価格は下記の通り。
13G・Fホンダセンシング(FF・5MT/FF・CVT/4WD・CVT)…142万5000円/142万5000円/161万9400円
13G・Lホンダセンシング(FF・CVT/4WD・CVT)…156万2000円/175万6400円
13G・Sホンダセンシング(FF・CVT/4WD・CVT)…166万4000円/185万8400円
15XL・ホンダセンシング(FF・CVT/4WD・CVT)…174万9000円/191万1000円
RS・ホンダセンシング(FF・6MT/FF・CVT)…192万6000円/192万6000円
ハイブリッド(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…169万円/188万4400円
ハイブリッド・F(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…179万6000円/199万400円
ハイブリッド・Lホンダセンシング(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…195万9000円/212万1000円
ハイブリッド・Sホンダセンシング(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…205万9000円/222万1000円
【2018年5月17日発表、5月18日発売】特別仕様車
「13G・F」および「ハイブリッド・F」をベースに、360°スーパーUV・IRカットパッケージ、運転席&助手席シートヒーター、アームレスト付きセンターコンソールボックス(アクセサリーソケット<DC12V>付き)を標準装備。
さらに専用ボディカラーとして、ブリティッシュグリーン・パール、モーニングミストブルー・メタリック、プレミアムアイボリー・パールを設定し、「プレミアムブラウン・インテリア」をオプションで選択可能とした「コンフォートエディション」を設定した。グレード構成および価格は下記の通り。
13G・Fコンフォートエディション(FF・CVT/4WD・CVT)…146万1240円/165万5640円
ハイブリッド・Fコンフォートエディション(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…184万7880円/204万2280円
【2019年7月26日発表、7月27日発売】追加モデル
ホンダアクセスが手掛けるコンプリートカーの第二弾として、「モデューロスタイル」を設定した。
「モデューロX」が走りのチューニングを主眼としているのに対し、「モデューロスタイル」はドレスアップが中心。
「13G・Lホンダセンシング」および「ハイブリッド・Lホンダセンシング」をベースとして、フロントのグリル・バンパー・フォグライトと15インチアルミホイールを専用デザインとしたほか、室内を黒でコーディネートしている。グレード構成および価格は下記の通り。
13G・モデューロスタイルホンダセンシング(FF・CVT/4WD・CVT)…189万円/208万4400円
ハイブリッド・モデューロスタイルホンダセンシング(FF・7速DCT+モーター/4WD・7速DCT+モーター)…225万7200円/241万9200円
■ホンダ・フィットRS(FF)*2013年9月発表モデル
全長×全幅×全高:3955×1695×1525mm
ホイールベース:2530mm
車両重量:1050kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1496cc
最高出力:97kW(132ps)/6600rpm
最大トルク:155Nm/4600rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式 前/後:ストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 前後:185/55R16 83V
乗車定員:5名
車両価格(当時):180万円
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