理想の2台持ち|BMW 3シリーズ&ホンダN-VAN】なんでもありのSUVを因数分解してみた答えがこの2台(瀨在仁志)
- 2021/01/20
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瀨在 仁志
モータースポーツの経験も豊富な自動車ジャーナリストの瀨在仁志さんが選んだ「理想の2台持ち」は、BMW 320d xDriveとホンダN-VAN(6MT・4WD)。1台に絞らなければならないならSUVだが、この2台を使い分けることでクルマ生活を満喫できるという。
TEXT●瀨在仁志(SEZAI Hitoshi)
1台目は力強く経済性に優れるディーゼル搭載のBMW 320d xDrive
クルマを運転することがなによりも好きだから、できれば何台だって所有してみたい。2台といわず倍ぐらい候補に挙げるならすぐに出る。普段乗りから、走りを楽しむモデル、屋根を明けて脱日常を味わったり、家族でロングドライブ、はたまた悪路を走れるタフな物まで、欲しいモデルはいくらでも出てきてしまう。
でも、都内の限られたスペースで過ごしている者にとっては、それは叶わない。高い駐車場代やスペースのことを考えると、2台だって可能性は低い。その叶わぬ夢を少しずつかき集めて1台にしたモデルが、いまが旬のSUVになるのだろう。
背が高くて乗り降りがしやすく、リアゲートを開けてシートを倒すと大きな物も積めて使い勝手も良い。少々サイズは大きめだけど、街乗りでの乗り味も悪くない。いろんな要求をかき集め、機能を満載したSUVに人気が集まるのが良くわかる。
欲しいクルマを1台選ぶなら、自分もSUVを選ぶ。お金のことなど心配しないで、ドーンと背伸びができるならメルセデスAMG G63やBMW X5 M50iで、何でもアリの走りを楽しんでみたい。もちろんガソリン代の心配もしなくて済めばの話だ。
現実には毎日のガソリン代と、その大きなボディは都会ではちょっと手に余って、稼働率がグッと低くなるのが目に浮かぶ。
このあたりが2台を選ぶ起点になる。多くの性能は欲しいけど、少しだけ欲しい機能を押さえて、それを2台のクルマに振りわける。これならガソリン代に関しても調整がきくだろうし、使い分けを行なうことでクルマ生活を満喫できるに違い無い。そう、使い分けを行なうことでG63やX5の魅力に近づけることがポイントだ。
1台はBMW 320dのXドライブ。現行モデルからボディが一回り大きくなって、5シリーズと見間違えてしまいそうなサイズ感にセダンとしての落ち着きが感じられるし、フットワークは重厚感が増して落ち着きのある走りも魅力的。4気筒ディーゼルエンジンも先代モデルからは見違えるほど振動やノイズが低減されたから、朝の一発目だけを除けばガソリン車と遜色なし。もちろん下から湧き上がってくる力強さは文句なしだ。
世界的には肩身の狭いディーゼルエンジンだけど、力強さと経済性を考えたら性能的には一級品。HVのように大きなバッテリーやモーターを積んでいないぶんだけ、軽くてハンドリング性能をいささかも失っていないのがいい。大排気量ガソリン車のSUVとまではいかなくても、走りの良さと機動力はXドライブを含めてみれば結構攻められる。
2台目は機能優先で走りも楽しいホンダN-VANの6MT車
いっぽう、普段乗りに目を向けて、なおかつ使い勝手の良さをもう1台に求めるなら、ここは基本に戻って、クルマの本質を極めたホンダN-VANの6MT・4WD仕様をチョイスしたい。
無駄を排したワンボックスボディは華燭になりすぎた最近の軽自動車からみると、まるでアスリートのようにすっきりとしたフォルムで無駄がない。6MTはN-ONEのRSのベースとなった物だから、小気味よいシフトフィールと加速フィールはホンダならではの軽快さがあるし、機能優先のパッケージングによって重さを感じにくい。
そもそも第2世代のシャシーは軽自動車とは思えぬ剛性感の高さを持ち、広さと使い勝手を実現しつつ、走りがしっかりしているのは数少ない。街乗りで気軽に使い回したり、MTを操作して、エンジンのふけ上がりを楽しむなど、チョイ乗り移動にはうってつけ。ヨンクシステムによってリヤも落ち着いているから、軽スポーツのような味わいさえ持っているのがいい。
自分の懐具合を考えたら、とても上級SUVには手が届かないけど、2台に振り分けたら、オフの走りこそ叶わなかったけど、充分に満足できる走りとクルマ生活が楽しめる。
いってみたら、なんでもありのSUVを因数分解してみた答えがこの2台。使い分けの毎日がとても楽しみだ。
【近況報告】
撮影用のために購入したスマホも最近になって、その便利さに目覚めてしまった。あれこれとアプリを入れているうちに、クレジットカードや銀行までもがスマートフォンにつながって、いまさらではあるがお財布ケータイとなった。「これひとつで何でもできるかも!」と使いたい衝動にかられる今日この頃ではあるのだが、今度は「いや、でもなくしたら心配」と、やっぱり持ち歩けないガラ携派の毎日です。アナログ派の肩書きは2021年も取れなさそうです。今年もよろしくお願いします。
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