マツダの制御技術によるアップデートは体感できるか? MAZDA3のSKYACTIV-X&D1.8のアップデート版に試乗
- 2021/02/18
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世良耕太
マツダは制御技術のアップデートで走りの質を上げる試みを行なっている。その第1弾がMAZDA3で行なった商品改良の内容だ。ハードウェアではなくソフトで性能が上がる。それをドライバーは体感できるのか? 試乗して確かめてみた。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota) PHOTO◎Motor Fan illustrated
マツダは2020年11月19日に新世代商品群第1弾のMAZDA3を商品改良した。合わせて、SKYACTIV-G 2.0搭載車に6速MT車を追加。「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した記念モデルを100周年特別記念車に設定した。今回の商品改良で、ファストバックではSKYACTIV-G 1.5(2WD)、SKYACTIV-G 2.0(2WD)、SKYACTIV-X(2WD、4WD)で6速MT車が選べるようになった。
商品改良の主な内容は次の3点だ。
1. 制御技術のアップデートによる走りの進化(SKYACTIV-X、SKYACTIV-D 1.8)
2. 車両ダイナミクス性能の進化
3. 予防安全性能の進化
マツダ SKYACTIV-XとSKYACTIV-D1.8をアップデートしたMAZDA3を発表 Xは最高出力180ps→190psへ 既存ユーザーもアップデート検討中
マツダは、2019年5月に発売したMAZDA3の商品改良を行なった。改良点は多岐にわたるが、注目はSKYACTIV-XとSKYACTIV-D1.8のア...
マツダは制御技術のアップデートによって商品価値を高めていく方針を打ち出した。その第1弾がMAZDA3で行なった商品改良の内容だ。SKYACTIV-XについてはEGR(排ガス再循環:排ガスを吸気に混入させて燃焼を制御する技術)制御の精度を高めることにより、出力とトルクを向上させた。最高出力は180ps(132kW)から190ps(140kW)に、最大トルクは224Nmから240Nmにそれぞれ向上している。同時に、素早いアクセル操作に対する応答性とコントロール性を高めたという。開発に携わる技術者から、もう少し詳しく聞いてみよう。
「EGRの予測精度を上げました。予測精度を上げると何がいいのか。(SKYACTIV-Xが採用する)SPCCI(火花点火制御圧縮着火)という燃焼方式は、EGRの量によって自着火のタイミングや量をコントロールしています。そのため、EGRがどのくらい(新気に)混ざっているかは重要な情報になっています。それを予測するためにCPSという筒内圧センサーを全気筒につけています。そのCPSから得られる信号から燃焼室内の燃焼状態を解析して、EGRの量を予測しています」
今回のアップデートでは、CPSから得られる信号の処理の仕方を改善した。
「得られる信号は同じなのですが、より精度高く燃焼室の状態を検出できるようになりました。その結果、EGRの予測精度が上がり、EGRに合わせて空気の量を正確にコントロールできるようになりましたす。そうすると結果的に、アクセルの踏み込みに対して素早く空気量を立ち上げることができる。全開時には、正しいEGRが計測できているおかげで空気量を増やすことができます。その結果、全開時のトルクが上がっている。それが、今回のアップデートの内容です」
SKYACTIV-D 1.8の改良もEGRがカギを握っている。
「EGRを最適化しています。いままで少しEGRを入れすぎていたところがあり、加速のための酸素が足りない領域がありました。そこを、エミッションが悪化しない範囲で最適化しています。いままでのSKYACTIV-D 1.8はアクセルを踏んだ後にちょっと停滞感のような感じがあったと思います。その領域のEGRの最適化がかなり効いており、もたつきなく噴け上がる特性に貢献しています」
ここでアップデート版に試乗した印象を述べておくと、SKYACTIV-X搭載車もSKYACTIV-D 1.8搭載車も、「ちょっと物足りないところがあるなぁ」と感じた部分が解消されている。とくに、アクセルペダルを踏み増した際の反応についてだ。アップデート版はアクセルペダルの踏み込みに対する反応がいいし、充分な力を発揮してくれる。とくにSKYACTIV-Xはエンジン回転が上昇していくときの音も良く、気分を盛り上げる。
SKYACTIV-Xに関しては、既存のオーナーに対し無償でソフトウェアプログラムのアップデートを準備しているという。「提供の時期や方法については準備が整い次第、お客様にご案内する予定」とのことだ。マツダがMAZDA3の商品改良を発表した直後の2020年11月23日、国土交通省は「自動車の特定改造等の許可」に関する省令を新たに制定。「自動車の使用過程における適切なソフトウェアアップデートを確保する環境」が整備された。SKYACTIV-Xのソフトウェアプログラムのアップデートは国交省の許可待ちの状態。SKYACTIV-D 1.8や先進運転支援技術系のアップデートに関しても「検討していきたい」とのことだ。
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