1.4L直4直噴ターボ搭載で最大トルクは70Nmアップの230Nmに! 新型スズキ・スイフトスポーツ、フランクフルトショーでの世界初公開とほぼ同時に日本でも正式発表!
- 2017/09/13
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遠藤正賢
スズキがグローバルでは3代目、日本国内では4代目となるBセグメントのホットハッチ・新型「スイフトスポーツ」を、9月12日から開催されたフランクフルトモーターショーで世界初公開。そして日本でもほぼ同時に正式発表した!(写真:平野陽、スズキ)
エンジンは2代目ZC31S型、3代目ZC32S型に搭載されていたM16A型1.6L直4NAから、7月26日に日本で発売されたばかりのエスクード1.4ターボに採用されたK14C型1.4L直4直噴ターボに変更。さらに、エスクード用がフラットなトルク特性なのに対し、スイフトスポーツ用は1,500rpm付近から約220Nmものトルクを立ち上げた後、さらにもう一段階トルクアップさせる特性を与えることで、最大トルクを先代スイフトスポーツの160Nmはもちろん、エスクード1.4ターボの210Nmをもしのぐ、230Nmを2,500~3,500rpmで叩き出すに至っている。
最高出力は140psと、先代スイフトスポーツおよびエスクード1.4ターボより4psのアップに留まっているが、その発生回転数は先代スイフトスポーツの6,900rpmから5,500rpmへと大幅に下げられた。
さらに、低・中負荷域にウェイストゲートバルブを閉め、タービン回転数を高く保つノーマルクローズ制御を用いることで、アクセル全閉から全開での過給応答性を2,000rpm時で0.17秒短縮。サブマフラーを先代のシングルからデュアルに変更するなどの構造・容量変更により、排気音量がエンジン回転数に対してリニアに立ち上がるよう改良されている。
吸気系では、空冷式横置きインタークーラーや大容量エアクリーナー、冷却系ではラジエーターのフルサイズ化および電動ファンのダブル化などにより、冷却性能を高めながら静粛性もアップ。エンジンマウントもペンデュラム方式とするなど、高トルクに対応しつつ軽量化した。
新型スイフトスポーツの6速MTは単にギヤレシオをクロス化するに留まらず、アルトワークス用5速MTに対し執念じみた改良を施してきたスズキらしく、細部に至るまで手が加えられている。
3速ギヤにダブルコーンシンクロを採用し、シフトノブの形状を変更、シフトレバーをショートストローク化するのみならず、シフトセレクトケーブルのフリクションを低減し、シフトレバーセレクトスプリングとシフトタワーの操作荷重を変更。
ケーブルダンパーも節度感を高めるようチューニングするなど、アルトワークス用5速MTとほぼ同様の改良メニューを与えることで、シフト操作時のダイレクト感を大幅に高めている。
また、エンジンが低回転高トルク型になったことに伴い、クラッチディスクの外径を200mmから215mm、内径を140mmから155mmにアップ。つながり始めから終わりまでのトルク伝達をより滑らかにしながら、クラッチシステムのレバー比を変更して、クラッチ操作時のコントロール性を高めつつスポーティで重厚感のあるペダルフィーリングを実現した。
なお、AT車のトランスミッションは従来のCVTから6速ATに変更。エスクード1.4ターボ用に対し、ギヤ比とトルクコンバーターの特性をよりダイレクトな加速感・変速感が味わえるものとしている。
ボディ下部にカーボン調シボ入りスポイラーが装着され精悍さが増したエクステリアは、5ナンバーサイズに留められた標準車に対しフェンダーの張り出し量を増やすことで全幅を40mm、前後トレッドを30mmアップし、全幅1735mmの3ナンバーボディに成長。フロントノーズは開口部を拡大しつつ伸ばし、リヤバンパーもボリュームアップすることで全長を50mm延長。旋回性能と直進安定性を向上させながら、よりロー&ワイドなフォルムを形成した。
ボディカラーはスイフトスポーツ伝統の専用色としてチャンピオンイエロー4を設定するほか、バーニングレッドパールメタリック、スピーディーブルーメタリック、ピュアホワイトパール、プレミアムシルバーメタリック、スーパーブラックパールの計6色をラインアップしている。
ボディは標準車と同様に、980MPa級のものを重量比17%、先代の3倍におよぶ割合で採用するなど超高張力鋼板を多用しつつ、骨格のつながりをスムーズにした新プラットフォーム「ハーテクト」を採用。さらに内外装やパワートレイン、シャシーに至るまで徹底的に重量が削減されたことで、先代スイフトスポーツに対し70kg軽量化。車重を6速MT車で970kg、6速AT車で990kgにまで減量した。
新型スイフトスポーツではさらに、リヤドア開口部上部およびテールゲート開口部下側左右に合計12点のスポット溶接打点を追加して、ボディのしっかり感を体感できるレベルで高めている。
空力性能も進化している。ルーフエンドスポイラーを装着しフロントストレイクを大型化したほか、エンジンアンダーカバー、メインフロアカバー、ラジエーター導風板を追加。空気抵抗を先代に対し約10%低減した。
「ハーテクト」採用に伴い新型スイフトではサスペンションも刷新されたが、スイフトスポーツではさらに、下記の通り細部に至るまで改良が加えられている。その結果、先代スイフトスポーツよりもロール角が約5%減少し、ステアリング操作に対する旋回応答性が約10%高められた。
【フロント・ストラット式サスペンション】
・専用ハブベアリング…旋回時のサスペンション全体の曲げ剛性を15%アップ
・モンロー製ストラット…アウター径を標準車の45mmから50mmにアップしストラット曲げ剛性をアップ
・コイルスプリング…バネ定数を標準車に対し33%アップ
・スタビライザー…バネ定数を標準車に対し50%アップ
・スタビライザーマウント…テフロンシート追加
・スタビライザージョイントバー…線径アップ
【リヤ・トーションビーム式サスペンション】
・専用トーションビーム…ねじり剛性を標準車に対し30%アップ
・専用トレーリングアーム…スイフトスポーツ専用形状の採用により、先代スイフトスポーツに対しトー剛性を約1.4倍、キャンバー剛性を約3倍にアップ
・モンロー製ダンパー…バルブ構造を見直してスムーズに減衰力を効かせることで、ロール時の姿勢変化をスムーズにしつつ接地性をアップ
・コイルスプリング…バネ定数を標準車に対し30%アップ
さらに17インチアルミホイールは、鋳造後にリム部をローラーで引き延ばして材料強度を高めるフローフォーミング成形を採用し、標準車の16インチホイールと同等の重量まで軽量化。専用の195/45R17タイヤは接地性と入力時のダンピングの良さを追求して開発されたことで路面追従性が高まり、高いグリップとしなやかな接地性能を実現した。
ブレーキはフロントのディスクが先代スイフトスポーツの272×22mmから285×24mmにアップし、耐フェード性が向上。キャリパーも大型化・高剛性化されたことでキャリパー有効径が116.5mmから123mmに拡大し、制動力強化とともに剛性感のあるペダルフィーリングを与えている。
室内はインパネやセンターコンソール、ドアアームレストに赤の専用オーナメントを採用し、メーターもタコメーターが赤、260km/hスケールのスピードメーターがシルバーの専用デザインに。その間に位置するマルチインフォメーションディスプレイには新たにブースト計と油温計が追加された。そのほか、スポーティなビジュアルとスポーツ走行時の操作性を兼ね備えた、専用のステアリングホイールとシフトノブ/セレクトレバー、ステンレス製ペダルプレートを装着している。
フロントセミバケットシートは内部構造を見直し、先代スイフトスポーツに対し1台あたり7.6kg軽量化するとともに、背もたれおよび座面のサイドサポートにパイプフレームを追加して、クッションスプリングの横方向を連結。ウレタンパッドの形状・硬さ・密度も変更することで、サポート性をより一層向上させている。
新型スイフトスポーツにも標準車と同様に「セーフティパッケージ」が設定され、安全装備の充実が図られている。フロントガラス上部の単眼カメラとレーザーレーダーにより、歩行者にも対応する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」や誤発進抑制機能(6速AT車のみ)、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト機能を実装したほか、新たに車線逸脱抑制機能を追加。
フロントロアグリル右側のミリ波レーダーによるアダプティブクルーズコントロール、SRSカーテンエアバッグ、フロントシートSRSサイドエアバッグ、リヤシートベルトプリテンショナー&フォースリミッターを「セーフティパッケージ」に標準装備し、さらに全方位モニター用カメラをオプション設定して、予防・衝突安全性能を大幅に高めることを可能にした。
先代に対し全てが一新され大幅に進化した新型スイフトスポーツの価格は、6速MT車が1,836,000円、6速AT車が1,906,200円。セーフティパッケージ装着車は1,922,400円/1,992,600円(6速MT車/6速AT車)、セーフティパッケージ・全方位モニター用カメラパッケージ装着車は1,980,720円/2,050,920円(同)と、20歳代の若い社会人にも手が届きやすい金額に抑えられている。
日本のみならず先進各国では「若者のクルマ離れ」が叫ばれて久しいが、1人でも多くの若者がこの新型スイフトスポーツを手にすることで、クルマ好きが少しでも増えることを願ってやまない。
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