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連載コラム「酷道を奔り、険道を往く」Vol.7 房総半島は素堀りトンネルの宝庫!【房総トンネル紀行(酷道険道:千葉県)】スズキ・ハスラー

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世にも奇妙な二階建てトンネル

 ドームトンネルを抜けたところでUターンし、もう一度ドームトンネルと将棋トンネルを通って県道172号線に戻る。県道32号線を小湊鐵道に沿って南下し、養老渓谷を目指す。今回のトンネル巡りのフィナーレを飾るのは、世にも奇妙な二階建てトンネルである。

 県道81号線との交差点を右折し、養老渓谷駅を過ぎ、奥養老バンガロー入り口という小さな木製の看板を右に曲がれば、二階建てトンネルである。

 何が二階建てって、とりあえず上の写真を見ていただきたい。妙に縦に長く、途中から上の方だけ外に通じてしまっていて、なおかつそこから先は下に常識的な高さの素堀りではないトンネルが改めて設けられているのだ。何がどうしてこうなったのか?

角度のズレに途中で気づいた?

養老川の中流域にある粟又の滝。養老渓谷を代表する滝であり、養老の滝とも呼ばれている。県道81号線沿いの案内看板はごく控え目なので、注意していないと通り過ぎてしまうかも知れない。
 もしかしたら、真っ直ぐ水平に掘っていたつもりだったのに、知らないうちに上の方に向かっていることに途中で気づき、改めて下に向けて掘り直した結果、途中までは縦長という奇妙な形のトンネルになってしまったのかもしれない。そんなバカな、とも思うけれど、それくらいしか理由が思い浮かばない。

 朗報(?)なのは、この二階建てトンネルには存在意義を見出せることだ。前述の看板にあった奥養老バンガローはもちろん、弘文洞跡という観光名所にも通じているから、掘った甲斐もあるというものだ。撮影時には宅配便のトラックも行き来していた。

 ちなみに弘文洞とは、養老川沿いの崖に穴を掘って夕木川を川廻したもので、いわば川のためのトンネルという大胆なアイデアを利水事業として実現したものだったが、1979年に突如崩落してしまい、トンネルではなく谷となってしまった。それで弘文洞“跡”というわけだ。崩れてしまったとはいえ、川のトンネルとは、まさに今回の旅を締めくくるに相応しい場所ではないか。

 しかし実際に目の当たりにすると、確かに雄大な景色ではあるのだが、写真に撮るとちょっとした谷にしか見えない。撮影に十分な距離が取れず、広角気味のレンズで撮るしかないからである。というわけで掲載するのは諦めた。

素堀りトンネルはまるで洞窟───天然と人工の中間的存在だ

県道81号線と国道465号線の交差点の近くにあるやまびこの滝。洞窟の中にあるという珍しい滝だ。こうして見てみると、素堀りトンネルと雰囲気がとても似ている。
 だがトンネルざんまいの旅はもう少しだけ続く。県道81号線をさらに南下すると、洞窟のなかに滝があるという、これまた自然がつくり出した興味深い名所があるのだ。

 県道81号線と国道465号線の交差点の近くに、養老渓谷やまびこセンターというドライブインがあるのだが、その駐車場から歩いて1分ほどの、こんなところに洞窟なんてあるのかと思うような場所に、やまびこの滝はある。

 滝といっても落差は1mあるかないかほどのささやかなものだが、まず何の変哲もないドライブインの駐車場の裏手に洞窟があるという時点でちょっと驚かされる。

 そして「今日、洞窟を見たのは何度目だろう」と考えている自分に気づいてハッとする。だって、今まで見てきたのは洞窟ではなくてトンネルだったわけで、洞窟なんてこれが初めてではないか。それだけ素堀りトンネルというものは洞窟に近い風情を湛え、天然と人工の中間的な存在だということだろう。

 というわけで、今回の素堀りトンネル巡りの旅は終わりである。せっかくなので、養老の滝とも呼ばれている粟又の滝まで足を伸ばし、帰路についた。

 結局、房総半島に素堀りトンネルが多い理由はさっぱりわからなかったが、多く「残っている」理由だけはなんとなく推測できた。まぁ、そんなことはどうでもいい。都心から1時間ちょっと走るだけで古代にタイムトラベルしたような気分になれるのだから、それだけで十分にエキサイティングではないか。

<都心からは 1 時間とちょっと>東京湾アクアラインを川崎から木更津方面に向かい、館山自動車道と交差する木更津JCTを過ぎてそのまま圏央道に入り、最初のインターチェンジである木更津東ICで降りる。いつものように特定の国道や県道をひた走るのではなく、点在するさまざまな素堀りトンネルを巡る旅となった。地図中のトンネル名は、筆者が勝手につけたものなのであしからず。トンネルではないが、富士山のような末広がりの姿が美しい粟又の滝は必見だ。

【スズキ・ハスラー Xターボ 4WD】
▶全長×全幅×全高:3395×1475×1665mm
▶ホイールベース:2425mm 車両重量:870kg
▶エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ ▶総排気量:658cc
▶ボア×ストローク:64.0×68.2mm ▶最高出力:47kW(64ps)/6000rpm
▶最大トルク:95Nm/3000rpm ▶トランスミッション:CVT
▶サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇアイソレーテッド・トレーリング・リンク
▶ブレーキ:ⒻベンチレーテッドディスクⓇディスク
▶タイヤサイズ:165/60R15 ▶車両価格:171万7200円

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