走りとデザインの魅力を兼ね備えた標準仕様ターボ車の追加は急務 【新型スズキ・スペーシア試乗 標準NAvsカスタムターボ】乗り心地を含めて走りで選ぶならカスタムターボ一択。デザインは標準仕様の圧勝だが…。
- 2018/02/23
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遠藤正賢
パレットの後継車として2013年2月に発売されたスズキの背高軽ワゴン「スペーシア」が、2017年12月に2代目へフルモデルチェンジされた。今回試乗する機会を得たのは、NAエンジンを搭載する標準仕様の上級グレード「ハイブリッドX」と、エアロ仕様「カスタム」のターボエンジン搭載グレード「ハイブリッドXSターボ」だ。
直接のライバルとなるホンダN-BOXとダイハツ・タントに、販売面でダブルスコアの大差を付けられていた状況を打破するため、スペーシアは4年10ヵ月という短い期間で世代交代。2代目となった新型スペーシアにおける最大の変更点は、「先代は没個性的なうえ大きさのアピールが弱かった」とスズキの経営陣・開発陣が自ら認めたそのデザインだ。
スーツケースをモチーフにしたというその内外装は、フラットな中に真っ直ぐな凹凸が入れられた面と、スクエア基調ながら角が丸められたフォルムで構成。特に2トーンのボディカラーでは、ドアサッシまわりをルーフと同色に塗装するモデルが多いところ、敢えてボディ同色とすることで、スーツケースのハンドルのような造形を強調したため、その強烈な個性がより一層際立っている。それでいて、特に標準仕様は嫌みがなく、老若男女問わず親しみやすいデザインとなっているのは、スズキデザイナー陣の力量に脱帽するより他にない。
このスーツケースデザインを採用したことで、パッケージングにも少なからず変化が出ている。具体的には、フードの高さを上げ、各ガラスの角度を起こし、さらにベルトラインを高く設定。全高を50mm、ホイールベースを35mm伸ばし、室内幅を25mm、室内高を35mm広げた。さらに前後席のヒップポイントを各30mm、15mm高めて前席のカップルディスタンスを30mm、ショルダールームを25mm拡大している。
その結果、よりスクエアなフォルムとなり、ドライバーにとっては車両の四隅が把握しやすくなった。だが同乗者にとっては、サイドウィンドウの下端が上がり、囲まれ感が強くなっているため、特に小さな子供からは不評を買う可能性が高そうだ。
なお、スーツケースのモチーフをインパネアッパーボックスでも表現したことで、小物をそのまま放り込めるスペースが激減しているが、裏を返せばフタ付きの収納にしまうことで、緊急回避時や事故の際に小物が飛散するのを防ぐことができる。またディーラーオプションで、全6色から好みの色に変えられるのも嬉しいポイントだ。
全高1785mm、室内高1410mm、ホイールベース2460mmにも及ぶ新型スペーシアで、ヘッドクリアランスおよびニースペースに不足があろうはずもないが、むしろ肝心なのはシートサイズ。身長174cmの筆者には、前席は背もたれが若干短いものの座面はちょうど良く、ホールド性も過不足ないレベル。
だが、荷室側からもスライド可能になり、格納方法もワンタッチダブルフォールディング式となった後席は、やはりシートアレンジ優先で、特に背もたれは小ぶり。肩まわりが完全にはみ出てしまううえ、ヘッドレストを最上段にセットしても、支えるのは頭ではなく肩。身長160cm以下の小柄な女性や子供でなければ、追突時にむち打ち症になる危険性が高い。
一方で荷室は開口高と荷室高が拡大されたうえ、後席が軽い操作で素早く格納・復帰できるよう進化。さらに開口部下部のガーニッシュにガイドが設けられたことで、フラットなラゲッジフロアに自転車を積みやすくなっている。
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