安全運転支援システムも進化したセレナe-POWERは、大ヒットが約束された完成度の高さ セレナe-POWERの「ワンペダル」は、ノートe-POWERを越えた!!【ミニバン専用e-POWER 体験試乗】
- 2018/02/28
- MotorFan編集部 西内 辰夫
Sモードの「S」はSPORTではなく「SMART」を意味する
今回試乗したのは、最上級モデルのセレナe-POWERハイウェイスターV。メーカーオプションの「セーフティパックB」、「LEDヘッドランプ」、「プレミアムインテリア」を装備している(プレミアムインテリアは、カシミヤグレージュ×インペリアルアンバーのみに装着)。
まず、e-POWERのワンペダルドライブを堪能するため「Sモード」で走り始めた。Sモードは、加速・減速ともにe-POWERの魅力が最大限に味わえるモードである。サーキットの特設コースということで、まずはアクセルを強めに踏み込んで発進したのだが、思いのほかマイルドな立ち上がり加速だった。良い意味でEV然としていないのだ。ボディが大きく重いからという理由ではなく、「ミニバンに最適な加速特性」を実現すべく、電流制御によってスムーズな発進を実現したという。
最初のコーナーでアクセルを戻す……すると、思いのほか減速が強くてコーナーの手前で失速してしまい、アクセルを踏み直す必要があった。これはクルマの性能云々ではなく、試乗開始直後はワンペダル走行が身についていなかったのが理由だ。
1kmほどのコースを1周走ると、2周目からはワンペダルで気持ちの良いドライビングが堪能できるようになった。アクセルを踏むとトルクフルでストレスなく加速していく。そしてコーナーの手前でアクセルを戻すと、自然な減速を始め、ブレーキを踏むことなくアクセルだけでクリアする。ワンペダルの操作だけで加速と減速がドライバーの支配下にあり、これがほかのクルマでは味わえない、とても気持ちの良いフィーリングだ。
次にSモードを解除して「ノーマルモード」で走ってみた。当然なのだが、アクセルペダルを戻してもほとんど減速しない。ノーマルモードは普通のAT車と同じようにセッティングされているのだが、ワンペダルを体感した直後では、いわば“空走感”を強く感じる。その結果、ブレーキを踏まないとコーナーをクリアすることができなかった。
試しに、シフトを「D」ポジションからブレーキの「B」にしたが、Sモードのような減速は得られない。ヘアピンカーブのような鋭利なコーナーをクリアするためには、やはりブレーキを踏まないとクリアできなかった。Bはあくまでも通常のAT車でのOD(オーバードライブ)OFFにあたるもので、それほど減速させない設定なのである。
そこで「B」にホールドしたまま、次のコーナーではSモードボタンを押して制動力を得ることにした。Sモードのスイッチはダッシュボード右側にあるため、走行中に操作する場合は一瞬視線を落としてボタンの位置を確認する必要がある。この操作で「DレンジSモード」となり、もう一度ボタンを押すと「DレンジECOモード」となり、さらに押すと最初のノーマルモードの「B」に戻る。Sモード、ECOモードのときに「B」は選べない。
このときに感じたのは、「B」と「Sモード」(または「ECOモード」)をシフト側で選べれば良いのでは? ということだった。つまり、シフトレバーで「D」「B」「Sモード」「ECOモード」という、4つすべての操作を完結する、という方法である。しかし、それは大きな勘違いであった。
ちなみに、Sモードの「S」はSPORTではなくSMARTのことだという。取扱説明書に書かれてはいないが、SMART=賢いモードという意味なのだ。であれば、逆にノーマルモードを廃してしまえば良い……と思うのだが、日産によると「いままでと同じように乗りたいというオーナーも一定数存在する」とのことで、ノーマルモードがデフォルトとなっているのだ。
マナーモードはどうか? ちなみに、セレナe-POWERに初採用されたマナーモードやチャージモードを選択するときには「Sモード」または「ECOモード」にしておく必要がある。広くて見通しの良いサーキットの特設コースなので、コーナーの立ち上がりでついついアクセルを踏み込んでしまったのだが、このような状態では、マナーモードであってもエンジンが始動する。つまり、強制的なEVモードではない。逆に静かな住宅街を走るイメージで、アクセルを軽く踏んでゆっくりと走れば、モーターのみの走行となる。走行できる距離は限定的ではあるが、EVに乗っている気分になる瞬間だ。
最後に「ECOモード」を体験した。Sモードとの比較では、発信するときのパワーの出方が少し抑えられたマイルドな加速となったのが分かる。ECOモードは加速時の電力消費を抑えることで、より燃費の良い走りができるわけだ。しかし、アクセルを戻したときの減速は変わらず、Sモードと同じ制御となっている。これはモードを切り換えてもドライバーに違和感を感じさせないためだ。
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