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インプレッサ/XV/レヴォーグ/WRX そして先代も インプレッサ[g4/スポーツ]とスバル車の仲間たちを大比較!Cセグメント車を比べてみた

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カローラスポーツが登場したことで、なんだか一気に盛り上がりを見せている国産Cセグメント勢。最大のライバルの一台がスバル・インプレッサである。スポーツとG4というふたつのボディをそろえ、2種のパワートレインを用意する本車は、国内販売の大勢を占めるスバルの看板車種。その特質をメカニズムから考察してみよう。

スバル・インプレッサのメカニズムを徹底解説!-スバルグローバルプラットフォーム(SGP)

思い通りに真っ直ぐに走り、リニアな操舵応答性によってクラストップレベルの危険回避性能と快適な乗り心地の両立を実現した新型インプレッサ。

 5代目にあたる現行インプレッサは2016年の登場。先代同様の2車型を用意し、5ドアハッチバックを「スポーツ」、4ドアセダンを「G4」と称する。パワートレインは1.6ℓの水平対向4気筒+CVTと、2.0ℓ水平対向4気筒+CVTの2種とし、それぞれにFWDとAWDを設定している。
 つまり、車型2×パワートレイン2×駆動方式2の8通りの車両選択が基本。加えて、2.0ℓ車には上級グレード「S」が用意されている。

 先進安全装備「EyeSight」は全車に標準装備。国内外のさまざまなクルマに触れることの多い自身の経験を振り返っても、スバルの「EyeSight」の出来は出色。システムのOn/Offは容易、制動警告の頻度やACCの作動も自然な印象で、早いうちからこの分野に着手してきた同社の見識の深さがうかがえる。社用車をお探しのご担当者さん、EyeSight装着車だと事故や衝突の可能性が低くなるかもしれませんよ。

リニアトロニックとは何か

バリエータユニットとチェーンの様子。上がドライブ、下がドリブン側。チェーン巻きかけ径を変化させることでギヤ比を無段階連続的に制御する。
リニアトロニック全景。中央部にバリエータユニットが見て取れる。

 インプレッサをはじめとするスバル車の多くは自社製のCVTである「リニアトロニック」を搭載している。CVTとは無段変速機のこと。よく言われる「○速AT」が歯車を用いて変速するのに対して、CVTは駆動/被駆動の2組のバリエータユニットと金属ベルトによって連続かつ無段で変速制御するのが特長だ。リニアトロニックはこの金属ベルトに換えてチェーンエレメントを用いている。サプライヤーはシェフラー。
 現代のパワートレインは省燃費性が大切。走行中のエンジン運転状態は可能な限り燃費最良点付近に落ち着けておきたい。ステップATはギヤ比が段数分しかないことから、ややもすると「この段とこの段のちょうど間くらいに落ち着いたらいいのに!」という状況にもなりやすい(近年のステップATが多段化著しいのはこのためだ)。しかしギヤ比が無段制御できるCVTならいかようにも燃費最良点にギヤ比をセットできるというわけだ。
 いっぽうのデメリットは伝達効率。金属ベルト(リニアトロニックならチェーン)をバリエータに押し付けておくためには相当な油圧が必要であり、さらに変速中に巻きかけ径が変化する最中にはバリエータ/ベルトの間にすべりが生じる。無段変速制御が美点なCVTだが、そのメリットを生かそうとすると伝達効率の悪化を招いてしまうというジレンマがCVTの課題のひとつである。
 スバルはこれに対して少々ユニークな手段をとる。ステップ制御である。つまり、無段変速というシステムをデジタルでとらえ、超多段ステップ式変速機として用いているというわけだ。リニアトロニックのラインアップとしては、エンジンの最大トルク容量に応じた大容量型と中容量型をラインアップ。MFi編集部で前者を大トロ、後者を中トロと呼んでいるのは余談である。

新世代ボクサーエンジンの特長

FB20型2.0ℓ水平対向4気筒エンジン。

 インプレッサに搭載されるFB16とFB20DIは、ともにロングストローク志向で設計された水平対向エンジンである。エンジンルームに搭載することを考えれば、同容積なら水平対向エンジンはボアを大きくすることでストロークを縮められる=エンジン全幅を小さくすることができる。事実、先代に当たるEJ型は極端なオーバースクエア型設計であり、燃費対策に限界が見えていたためにFA/FB型にスイッチしたという経緯がある。

 同容積で小径ボア×ロングストロークとすると、燃焼室が小さくなることで混合気が燃え終わるまでの時間を早くすることができる。ノッキングの発生を抑制できるし、燃え残りも少なくすることができる。燃焼室表面積が小さいことは冷却損失を小さくすることにもつながる。また、ストロークが長いことで吸気工程で吸った混合気をよく混ぜることができ(直噴においても同様)、着火時にきちんと燃やすことができる。

 というわけでメリットの多いロングストローク設計だが、水平対向エンジンと相性はいいとは言えない。とはいえ、FB16では1.04の、FB20DIでは1.07のストローク/ボア比を実現している。

アクティブトルクスプリットAWDの効能

アクティブトルクスプリットAWDとESCの強調制御によって、走破性を大きく高めている。

 インプレッサのAWDシステムはアクティブトルクスプリットAWD式。湿式多板クラッチ式の電子制御カップリングをプロペラシャフトに仕込む。他社で「オンデマンド式」と称される場合は通常走行時の駆動力はほぼ前輪にトルクを送っているところ、アクティブトルクスプリットAWDはイニシャルで前60:後40のトルク配分設定として、いわゆる常時AWDとしているのが特徴だ。

 前60:後40の配分は前後軸の状況に合わせてパッシブに可変、トルクを余さずホイールに伝える。前軸の空転を検知すれば後軸へのトルク配分を増し、直結状態では前50:後50の配分に、フロント寄りでは前100:後0となる。ESC(横滑り防止装置:スバルではVDCと呼称)の舵角とそれに伴うヨーレート、横G信号などを用いてアクティブに制御することも可能だ。

 積極的なスポーツドライビングのためのツールではないものの、AWDによる走行安定性を確実に実現するシステムとして1987年に登場して以来、スバル車に採用され続けている。

現行インプレッサスポーツ。全長4460 × 全幅1775 × 全高1480/軸距2670mm。
現行インプレッサG4。全長4625 × 全幅1775 × 全高1455/軸距2670mm。

 インプレッサのバリエーションおよび同セグメントのスバル車とも並べてみよう。


現行XV。全長4465 × 全幅1800 × 全高1550/軸距2670mm。
現行レヴォーグ。全長4690 × 全幅1780 × 全高1490/軸距2650mm。先代インプレッサのプラットフォームを改良したものを用いる。
現行WRX。全長4595 × 全幅1795 × 全高1475/軸距2650mm。レヴォーグと同じく、先代インプレッサ改良プラットフォームを強化して使用。
その先代、4代目インプレッサがこちら。5ドアハッチバックのスポーツのハイブリッド仕様。全長4420 × 全幅1755 × 全高1490/軸距2645mm。
さらにその先代、3代目インプレッサ。全長4415 × 全幅1740 × 全高1475/軸距2620mm。
3代目WRX STI。全長4415 × 全幅1795 × 全高1470/軸距離2625mm。

 こうして並べてみると、代を経ても著しく肥大化していないことがよくわかる。にもかかわらずNCAPのテストにおいてファイブスターを獲得するなどのパッシブセーフティ性能を有しているのは驚きだ。モーターファンロードテストにおいても、死角調査で「見えないところがない!」と皆で嘆息したのも強く印象に残っている(現行のスポーツ)。
 現行においてハイブリッド仕様はラインアップされていないが、先日登場した新型フォレスターに搭載されたe-BOXERはインプレッサにも今後展開されるだろうか。システムとしては1モータ式ハイブリッドではあるが、スバル自身はドライバビリティを重要視したパワートレインとして仕立てている模様。そのままインプレッサにポンというわけにはいかないだろうが、同じ新世代プラットフォーム・SGPを用いる姉妹車だけに実現の可能性は少なくないはずだ。

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