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難波教授のデザインウォッチング:2019 ジュネーブショーまとめ 自動車デザインは今「西高東低」か。スバルの前デザイン部長・難波治教授が語る

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マツダCX-30

 そんななかでマツダは「日本車」という括りのなかから抜け出したと思います。ジュネーブで発表したCX-30など見ているとマツダは自分たちの表現をちゃんと熟成して高めてきていることが良くわかります。

 そして僕が説明した自動車デザインの基本がしっかりできていて、しかもその上で本当に良く作り込んでいます。それは最終的にディテールの緻密な計算や作り込みに表れていて、だからクルマ全体が完成度が高く見えるし感じるのだと思います。

 良いデザインはディテールの作りの良さででき上がると言われるのですが、まさにそういうことなんだと思いますね。ケバケバしい脅かしなどひとつも使っていない。マツダはマツダの世界観を作り出すことに成功しつつあります。

 しかし、そのマツダも、この道が高まれば高まるほどさらに課題が出てくることも充分に理解していると思います。彼らは現時点での限界にちゃんと気づいていて、間違いなく次の世代ではいま足りていないことを埋めてくるでしょう。その時にこそ求めていた本当のデザインキーが出現するのだと期待しています。

 このようにブランド(会社)の「らしさ」が浸透してくるとユーザーにはそのブランドに対する一定の評価価値ができ上がりますので、商売としてもとてもしやすくなります。「ああ、良いものを選びましたね」と思われるようになったりするのです。

 クルマの販売台数と僕が述べた造形やデザインの考え方が数値的に比例しているかといえば、自動車の商売というのはそんなに単純ではありません。ですから実際には勝てば官軍で売れてナンボの世界なのですが、僕は形で考え方を表現するデザイナーの一員ですので、このような観察の仕方や評価軸(すべて個人的な評価のモノサシですが)をもってジュネーブ・ショーで定点観測を続けてカーデザインの現状をみていると、まだしばらく冬型の天気と同じような西高東低の状況が続くのかなと感じてしまうのです。

 とてもバランス良いスマートな身体つきの人は、定番のシャツとパンツで充分にかっこいいじゃないですか。中身がしっかりとできていればこそ可能なのですね。そこが基本。そして、その上で最高の布地と最高の仕立て屋が腕をふるうことを競う。僕はこういうのが好きですね。その人なりに。

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